死刑が確定「山口 周南 連続殺人・放火事件」 保見光成被告が獄中で愛犬の死に涙 2019.7.11

2019-07-12 | 死刑/重刑/生命犯

死刑が確定した山口県の「八つ墓村事件」被告が獄中で愛犬の死に涙  詠んだ句
   今西憲之2019.7.11 20:30 週刊朝日 

   
  死刑判決を受けた保見光成(ほみこうせい)被告

    
  保見被告の愛犬「オリーブ」

 山口県周南市で2013年7月、同じ集落に住む男女5人を殺害したとして殺人などの罪に問われ、1、2審で死刑判決を受けた無職、保見光成(ほみこうせい)被告(69)の上告審判決で、最高裁は11日、被告の上告を棄却した。死刑が確定する。
 判決の前日の午後、記者は広島拘置所で保見被告と向き合っていた。これまで、何度も面会を重ねてきた保見被告。
 この日は挨拶をかわす暇もなく、いきなり「時間がないんじゃ」と自身の事件の記録を取り出し「講義」をはじめた。
 「犯人の靴とされているが、自分の持ち物とは色が違う」
 「この靴、警察で見せられた時は、新品のような感じだった。だが、裁判所に出てきた靴の写真は泥だらけ。警察と検察に証拠をねつ造された」
 捲し立てるようにこう話した。判決前日に記者にそのような話を慌ててしたところで、最高裁には届かない。
 「弁護士に話した方がいいですよ。判決前日ですから」と声をかけると、こう答えた。
 「判決が明日? 心境も何も待っているしかないわ。心境もクソもない。とにかく、時間がない」
 保見被告は死刑判決への「不安」などない素振だった。しかし、一方的に話す様子はこれまでにない慌てぶりで、話すことで不安をかき消そうとしていたのではないかと感じた。
 事件は凄惨なものだった。保見被告に襲われた家は、血の海。そこに火をつけて、焼き払われてしまい
 「目を覆いたくなるような現場だった」と当時の捜査員は言う。
 長く関東で仕事をしていた、保見被告。両親の住む山口県にUターンしたのは、事件の15年ほど前のことだった。
 しかし、長く故郷を離れていたことで、人里離れた集落の人とはうまくいかず対立。それを決定的にしたのが事件から5年ほど前の正月のこと。酒の席で集落の住民と口論になり、保見被告は胸のあたりを刃物で刺されたのだ。
 「あれは2003年正月の4日のことだ。Sという集落の男が話していると激高して、牛刀を2本持ち出し『殺してやる』と1本は喉元にあて、もう1本で俺の胸を刺した。こちらも危ないと反撃して殴ってやった」
 保見被告はこう振り返る。現場には警察も駆け付け、大騒ぎになった。しかし、Sさんは罰金刑だったという。
 「警察から小さな集落だから、コトを大きくしちゃいかんと説得された。納得はしなかったが、仕方なかった」とも言う。
 そこからますます対立が深まり、ついには「現代の八つ墓村事件」と呼ばれるほどの大事件を起こしてしまった。
 保見被告は逮捕直後、犯行を認めていたとされる。だが、その後、否認に転じた。事件について聞くとこう主張した。
 「最初、認めたのは混乱の中で『お前がやった』『犯人だろが』と刑事に言われ、パニックになって話しただけ。冷静になってからは否認していた」
 「事件の日、また自分の陰口を集落の連中が言っていると聞いた。そこで家に乗り込んで、棒で足や腰は叩いた。それだけだ。殺人、放火? そんなもんやってない。警察、検察のねつ造だ」
 事件当時、話題になったのが、保見被告が書いた詩だ。
<つけびして 煙り喜ぶ 田舎者  かつお>
 この詩を自宅前に貼り出していた。「犯行声明か」とも思われたこの詩。
 「自分の噂話をして、集落の連中が喜んでいるという意味だ。ああやって貼っておけば、何だろうと見に来て、噂話や悪口について、教えてくれることもあるのでは思った。相田みつをが好きで、ああいう詩というか短歌、狂歌はよく書いていたんだ」
 保見被告は面会に行くとその場で、いろいろな詩や川柳などを即興で詠んだ。
<妄想 追い込み 抑え込み 検察時代 なつかしむ 弁護士>
 これは自身の弁護士が検察OBで、意見が合わない時に詠んだものだ。
<ねつ造で 死刑に乾杯 警察検察 いつかこの手で懲らしめる>
<検察は ウソでかためて 突き落とす>
 捜査への批判を詩や川柳で語っていた保見被告。弱みを見られたくないという思いからか、常に強気な姿勢だった。
 だが、長く飼っていた愛犬ゴールデンレトリバー「オリーブ」の話になると目を潤ませ、言葉少なく語った。
 「自分が警察のでっち上げで捕まった。そのせいか、オリーブも保護されたが、逮捕直後に死んでしまった。捕まらなければ、生きていた、かわいそうに…」
 昨日の面会で、制限時間がオーバーするほど話そうとした保見被告に「詩などで、今の思いが浮かんだりすることはありますか」と聞くと、「今は、それどころじゃない」と焦ったように話した。
 今、拘置所の独房で「死刑確定」をどう思い浮かべているのだろうか?(今西憲之)
  ※週刊朝日オンライン限定記事

   ◎上記事は[dot.]からの転載・引用です

――――――――――――――――――――――――
山口・周南5人殺害 保見光成被告の死刑確定へ 最高裁 上告棄却 2019/7/11
「山口 周南 連続殺人・放火事件」 飼い犬の『オリーブ』、保見光成容疑者身柄確保の1分後、死ぬ
................


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。