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リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件 市橋達也被告 判決公判 「被告人を無期懲役に処する。未決勾留日数中370日をその刑に算入する」千葉地裁 堀田真哉裁判長 2011/7/21

2016-05-15 | 死刑/重刑/生命犯

 産経ニュース 2011.07.21.
英国女性殺害 判決(2011年07月21日)

【英国女性殺害 市橋被告判決(1)】求刑通り...被告は無反応、リンゼイさん両親は目に涙
 (14:30~14:40)
 《千葉県市川市のマンションで平成19年、英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=を殺害したとして、殺人などの罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の判決公判が21日、千葉地裁(堀田真哉裁判長)で始まった。逮捕されるまで2年7カ月も逃亡生活を続けるなど国内外で注目を集めた事件の判決。検察側は無期懲役を求刑しているが、6人の裁判員とプロの裁判官3人はどういう量刑判断を下すのか》
 《4日から12日まで計6日間にわたって開かれた公判では、最大の争点である殺意の有無をめぐり、検察側と弁護側が激しく対立した》
 《検察側は論告で、市橋被告がリンゼイさんの首を少なくとも3分以上圧迫したと指摘し、明確な殺意があったと主張。動機は「生きて帰せば強姦がばれると思ったから」とし、殺人と強姦致死罪が成立するとして無期懲役を求刑した》
 《一方の弁護側は「逃げようとしたリンゼイさんを押さえているうちに腕が首に入った」として「偶発的な死」を主張。乱暴から死亡までの時間が開いていることを踏まえ、傷害致死と強姦罪の適用を求めた》
 《こうした争点に加え、市橋被告の反省ぶりなど情状面や、証人、被害者参加人として公判に参加したリンゼイさんの両親の強い処罰感情も、裁判員らの量刑判断のポイントとなる》
 《市橋被告は初公判でリンゼイさんの両親に土下座して謝罪。最終陳述では、改めて殺意を否定しつつも、「何をしても許されない」「私の中は自分勝手であふれていた」「その都度ごまかしていこうとすることがこの事件につながった」などと涙で身を震わせながら反省の弁を連ねた》
 《リンゼイさんの両親は意見陳述などで、こうした市橋被告の主張や態度について、「少しでも刑を軽くするための虚偽のストーリー」「証言は計算されつくし、リハーサルされたもので、彼は悔いていない」などと強く非難。「法律上許される最高刑で処罰してほしい」と訴えた》
 《今回の裁判員は補充裁判員を含めて全員男性。女性裁判官1人を含む3人の裁判官とともに市橋被告をどう裁くのだろうか》
 《法廷は千葉地裁最大の201号。傍聴席はほぼ満席だ。午後2時34分、リンゼイさんの父、ウィリアムさんと母、ジュリアさんが入廷し、検察官席の後ろに着席した。リンゼイさんの姉妹も入廷し、傍聴席の最前列に座った》
 《起訴状によると、市橋被告は19年3月25日ごろ、自宅マンションでリンゼイさんの顔を何度も殴り、両手などをテープで縛って乱暴した上、首を絞めて殺害。同26日ごろ、リンゼイさんの遺体をベランダの浴槽に入れて土で埋めるなどして遺棄したとされる》
 《午後2時35分、堀田裁判長の指示で市橋被告が、向かって左側の扉から入ってきた。黒い長袖シャツに黒いズボン姿。髪は長くぼさぼさで、一部が 前に垂れ下がっている。これまで同様、うつむき気味で表情は暗く憔悴しきった様子だ。リンゼイさんの両親に一礼した後、証言台の後方にある長いすに座った》
 《裁判員6人も入廷し、法廷内の全員が起立、一礼をした後の午後2時36分、堀田裁判長が声を上げた》
 裁判長「それでは開廷いたします。被告人は証言台の前に来てください」
 《市橋被告は無言で立ち上がり、証言台の前にゆっくり歩み出た。手を前にぶらっとさせ、緊張した様子だ。裁判員6人も、市橋被告に視線を集中させる。堀田裁判長が続ける》
 裁判長「市橋達也被告人ですね」
  被告「はい」
 《小さい声で答える市橋被告》
 堀田裁判長「それでは、あなたに対する判決を言い渡します」
 《市橋被告は緊張しているのか、反応しない》
 《無期懲役か有期刑か。静寂に包まれた法廷内に緊張が走る。市橋被告はうつむいたままだ》
 裁判長「主文。被告人を無期懲役に処する。未決勾留日数中370日をその刑に算入する」
 《堀田裁判長の主文読み上げが終了すると同時に傍聴席の一部の報道陣は一斉に立ち上がり、速報を伝えるため慌ただしく法廷から飛び出していった》
 《傍聴席から市橋被告の表情をうかがい知ることはできないが、主文言い渡しの瞬間、市橋被告は微動だにしなかった》
 《リンゼイさんの両親の男性代理人弁護士は「当然だ」といった表情で何度もうなずき、ウィリアムさんに主文の中身を説明しているようだ。ウィリアムさんとジュリアさんは、女性通訳を介し、主文の中身を理解したのか、みるみる目に涙がたまっていった》
 《裁判員たちは一様に険しい表情で、市橋被告を見つめている》
 裁判長「もう一度言うと、被告人を無期懲役に処する。未決勾留日数中370日をその刑に算入する」
 《堀田裁判長は、間を置かずに続ける》
 「以下、理由を述べますので、そこに座って聞いてください」
 《報道陣の出入りで、傍聴席が少しざわつく中、堀田裁判長による判決理由の読み上げが始まった》

【英国女性殺害 市橋被告判決(2)】「強姦時の供述、信用性低い」殺意認定 被告の主張、次々と否定
 裁判長「3月25日、被告方でリンゼイさんの顔に打撃を加え、結束バンドで両手首、両足首を拘束して抑圧し、強いて姦淫をした。26日ごろまでに殺意をもって被害者の頸部を圧迫して殺害し、リンゼイさんの遺体を浴槽に入れて土を入れた。以上の事実について証拠によって認定します」
 《堀田裁判長は「判断について説明します」と述べ、強姦時の状況に関する争点について言及する。検察側は市橋被告がリンゼイさんを強姦する際、顔を殴打した上で結束バンドや粘着テープで手首を縛り、強姦したと主張。弁護側は強姦時は殴打していないと反論していた》
 裁判長「被告は3月25日午前9時54分ごろ、玄関付近でリンゼイさんを押し倒した。上から抑えつけ、両手首、両足首を結束バンドで拘束した」
 《堀田裁判長は結束バンドの大きさは45センチ、30センチで、結束バンドで手首、足首を拘束するのに手間がかかることを指摘した上で読み上げを続ける》
 裁判長「リンゼイさんが少しでも抵抗したら、拘束は困難である。被告がリンゼイさんを拘束する際、リンゼイさんが抵抗できなかったと推認される」
  「遺体の顔、胸部、腹部などに鈍体により形成された皮下出血が多く残されていた。リンゼイさんが強姦されそうになったとき、激しく抵抗することは常識的に考えられ、被告がリンゼイさんの(傷の程度が重かった)右目を強い力で殴るなど、全身に暴行を加えたと考えるのが自然だ」
 裁判長「被告は『強姦の際は殴っておらず、上から抑えつけて数分間もみ合いになり、被害者が疲れたからか抵抗しなくなったため、服を脱がせ、結束バンドで拘束した』と供述している。2人に大きな体格差がなかったことなどを考えると、被害者は驚愕と恐怖で抵抗できなくなったと考えられる」
  《「驚愕」「恐怖」の言葉が通訳され、ジュリアさんは顔をゆがめて、うつむいた。堀田裁判長は市橋被告がリンゼイさんのコートの袖を強姦時に手で破り、リンゼイさんが死亡した後にカーディガンをハサミで切断したと述べていることについて明確な説明をしていないことなどを指摘した上で、こう述べた》
 裁判長「被告の強姦時に関する供述は信用性が低い」
 裁判長「被告は顔を殴ったことについてはリンゼイさんを強姦した後に拘束した状態で4・5畳の和室に連れて行き、リンゼイさんに『たばこを吸いたい』などと言われてイライラし、『私を帰さないと大変なことになる』と言われてカッとなり、殴ったと供述している」
  「被告は『リンゼイさんと人間関係を築いて許してもらいたかった』と述べていたのに、『リンゼイさんから帰さないと大変なことになると言われて殴った』と いうのは理解しがたい。強姦の際にリンゼイさんに抵抗された時には殴らず、拘束されて抵抗できないリンゼイさんを殴ったという供述は一貫性を欠いており、信用できない」
 裁判長「被告が強姦の手段として顔面に打撃を加えたと推認できる。傷から手の拳による打撃と考えることもできるが、足で蹴ることも想定できるため、打撃の方法は特定できない」

【英国女性殺害 市橋被告判決(3)】「頸部圧迫3分以上...明確な殺意」 動機は「発覚を恐れたため」
 裁判長「頸部圧迫について、証拠によれば、頸部圧迫は明らかであり、リンゼイさんは顔面や体に多数のけがを負っていた。リンゼイさんの抵抗があったと常識的に考えられる」
 《弁護側は、市橋被告が逃げようとしたリンゼイさんの抵抗を抑えようとした結果、偶発的に首を絞めてリンゼイさんを死なせたと主張している》
 裁判長「証人(遺体を司法解剖した女性鑑定医)はリンゼイさんが死に至るまでには、数分以上の圧迫が必要で、頸部圧迫の痕は複数回なかったと証言してい る。リンゼイさんが部屋に入って間もない状況で殺害されたと考えるよりは、多数の粘着テープ片や(輪になった)結束バンドが見つかっていることから、強姦の後で、何回も(粘着テープ片や輪になった結束バンドを)作り、使用できる、強姦できる状況があったと考えられる。リンゼイさんが部屋に入ってから、(リンゼイさんが)比較的長い時間を生きていたと考えるのは合理的である」
 《弁護側は強姦致死罪について、強姦から死亡までの時間が開いているため成立しないとして、検察側の主張に反論している》
 裁判長「そして(弁護側は)市橋被告はリンゼイさんを強姦するときに首を絞めてはいないと言っている」
 《市橋被告はリンゼイさん殺害について、寝て起きたらリンゼイさんが拘束を解いていて、市橋被告に殴りかかって逃げようとしたので、必死に抵抗を抑えこんでいたら、リンゼイさんが動かなくなったと証言している》
 裁判長「リンゼイさんが3月26日の午前2時から3時くらいまで生きていたとする弁護側の主張は、複数の粘着テープ片や結束バンドが発見されていること、『ワルファリン』などの用語を(25日)午後11時半から(26日)午前0時半まで調べていたということと矛盾しない」
 《「ワルファリン」は市橋被告がリンゼイさんの求めに応じて、パソコンで検索していたとされるリンゼイさんの持病の薬だ》
 裁判長「リンゼイさんの遺体発見状況を考えると、強姦の際に、市橋被告が頸部を圧迫していないという主張と矛盾しない」
  「以上、前述をまとめると、市橋被告はリンゼイさんが部屋に入って間もなく、右目の周りなどにかなり強い力を加え、粘着テープや結束バンドで拘束、強姦した」
 《強姦時の事実認定の説明を終えた堀田裁判長は、続いて殺意の有無についての理由を述べていく》
  「女性鑑定医は、頸部圧迫を3分以上続けないと、死には至らないと証言している。気管など首を絞めるとリンゼイさんが死ぬということは、市橋被告は十分認識できたと考えられる」
  「市橋被告は『大声を出しながら逃げるリンゼイさんを止めようとした』『感覚的には1分間』などと供述している。しかし、女性鑑定医によると、そのようなことでは窒息死には至らない」
 《堀田裁判長は、市橋被告の供述は信用できないとした上で、リンゼイさんの首の輪状軟骨が折れていたことなどから、相当程度の強い力が3分間以上掛かっていたとされると付け加え、こう結論づけた》
 裁判長「少なくとも3分以上、市橋被告には明確な殺意があったと認定される」
 《続いて、堀田裁判長は市橋被告のリンゼイさん殺害の動機について説明していく》
 裁判長「市橋被告はリンゼイさんを強姦し、拘束して相当の時間とどめておいた。そして、強姦が発覚しないよう、対応に窮していた。そういう時に、リンゼイさんが大声をあげて逃げ出そうとしたことで、他の住人にばれるのではないかと考えた市橋被告には殺害の動機があった」

【英国女性殺害 市橋被告判決(4)完】再び土下座しようとするも...鬼の形相で父、リンゼイさんの写真向け続ける
 裁判長「被告人は救急車を呼んでおらず、死亡を受け入れていたと考えられる。(リンゼイさんの)目の焦点が合っていないことから心臓マッサージや人工呼吸をしたというが、肋骨(ろっこつ)は折れておらず、救命に資するような行為とはいえない」
 《これまでの公判で、弁護側は「肋骨が折れるほどの強い心臓マッサージは専門家にしかできない」と反論していたが、裁判所はこの主張を退けた》
 裁判長「さらに救急車を呼んでおらず、心臓マッサージをしていたとしても、殺意がなかったとはいえない。頸部圧迫時に殺意があったと認めることができる」
 《続いて堀田裁判長は、検察側と弁護側の間で争点となっていた強姦致死罪の適用について説明を続ける。検察側は強姦から、リンゼイさんが死亡するまでに時間差があったとしても、強姦致死罪が成立すると訴えてきた》
 裁判長「被告は19年3月25日午前9時45分過ぎに(市橋被告の自宅マンションに)リンゼイさんが入室後間もなく強姦した。発覚を恐れ、結束バ ンドで拘束し、4畳半の室内に置いた浴槽に入れた。翌26日午前2時か3時ごろ、リンゼイさんが逃げようとしたため頸部を圧迫した」
  「犯行の発覚を恐れて頸部を圧迫しており、強姦してから時間が経過している。強姦致死罪は成立せず、強姦罪が成立することになる」
 《この争点については、弁護側の主張が認められた》
 裁判長「本件では、証人や通訳の費用は被告人に負担させない。本件で、リンゼイさんは強姦され、人格を踏みにじられており、結果が重いということは言うに及ばない。22歳でさまざまな可能性があった。無念や苦しさは計り知れない」
  「傷は無残で暴行の激しさを物語っている。両足を結束して土の中に埋めており、人格に対する敬意は感じられない」
 《検察側は公判で、リンゼイさんの遺体を発見した警察官の供述調書を朗読。浴室の浴槽が外れていることに気付いた刑事らはベランダで浴槽を見つけたといい、供述調書によると「浴槽に詰まっていた土を軽くなでると、白い肌色の皮膚が見えた」という》
 裁判長「犯行態様は悪質。性欲を満たすために強姦し、発覚を恐れて殺害し、遺体を遺棄した。身勝手きわまりない」
 裁判長「被告は本件後、2年7カ月にわたって逃亡し、リンゼイさんの両親が来日したことを知っても意に介さず、整形して逃亡を続け、真相解明を妨げた」
 裁判長「犯行後の様態も悪質で、遺族の悲嘆は言い表すことができず、峻烈な処罰感情がある」
 裁判長「(市橋被告は)公判前整理手続きでも、客観的事実に反する不自然な供述をしている。本件に向き合おうとしていないと言わざるを得ず、真摯な反省は感じられない」
 《市橋被告は初公判で、入廷直後にリンゼイさんの両親に向かっていきなり土下座している。裁判所にはこのような態度も"謝罪"とは映らなかったようだ》
 裁判長「被害弁償に逃亡生活を記した手記の利益を充てるなど、リンゼイさんの遺族に対する心情の配慮はない。刑事責任は非常に重いと言わざるを得ない」
 裁判長「犯行態様は被害者に肉体的にも精神的にも苦痛を与えるなど悪質で、動機も身勝手だ。ただ、計画性はなく、殺意も極めて強固といえず、無期懲役が相当である」
 《午後4時過ぎ、堀田裁判長が閉廷を告げた。裁判所職員らが退廷を促すが、傍聴人や記者らは市橋被告の様子を見つめている》
 《証言台から立った市橋被告は、突然倒れ込もうとしたが、周囲の職員がそれを許さない。土下座しようとしたのだろうか》
 《ウィリアムさんは、スーツの胸ポケットからリンゼイさんの写真を取り出し、市橋被告に鬼の形相で向け続けた》
 《市橋被告は職員らに抱え込まれたまま、弱々しい足取りで法廷を後にした》
 《市橋被告の退廷後、ウィリアムさんはジュリアさんの胸元に顔を埋めた。顔を紅潮させ、泣いているようだった》

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です 
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