2017.1.27 05:04更新
【産経抄】新たな反日運動の始まり 1月27日
慰安婦問題を扱った学術書『帝国の慰安婦』をめぐる裁判で、著者の大学教授に無罪が言い渡されたのは意外だった。これまで、日本との歴史問題にからんだ裁判では、国民感情におもねる異様な司法判断が続いてきたからだ。
▼もっとも、この判決だけで韓国の司法はまともになりつつある、と期待した小欄が浅はかだった。韓国中部の大田地裁は昨日、長崎県対馬市の観音寺から平成24年に盗まれた「観世音菩薩坐像(かんぜおんぼさつざぞう)」について、日本に返還せず、韓国の浮石寺への引き渡しを認めてしまった。
▼数百年前に作られた仏像は、日本の海賊、倭寇(わこう)に略奪された。これが浮石寺の主張である。もちろん、証拠はどこにも存在しない。ただ一ついえるのは、日本に渡らなかったら現代まで伝わらなかった可能性が高い。14世紀後半に成立した李氏朝鮮は儒教を国教としていた。各地で仏像が破壊され、浮石寺も一時廃寺になっている。残念ながら大田地裁は、そんな歴史的背景を一切考慮しなかった。
▼日本でも明治の初期、文明開化のあおりで廃仏毀釈(きしゃく)の嵐が吹き荒れ、寺院から仏像をはじめ多くの美術品が放出された。お雇い外国人として来日したフェノロサらが、その価値を認めて収集し、米国に持ち帰った。ボストン美術館が現在、欧米で最大規模の日本美術のコレクションを誇るのはその結果である。
▼日本人はフェノロサをうらむどころか、恩人とたたえてきた。米国の美術館から仏像が盗まれて、日本の寺が所有権を主張する。あり得ない事態を想定すれば、どれほど異常な判決かよく分かる。
▼何よりこの論法に従えば、日本にある朝鮮半島由来の美術品は、すべて返還の対象となり、窃盗も正当化される。新たな反日運動の始まりである。
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〈来栖の独白〉
>日本人はフェノロサをうらむどころか、恩人とたたえてきた。
国民性の違いが端的に表れている。
加えて、「司法」の庭に、歯止めのきかぬ旺盛な国民感情が跋扈し、ポピュリズムに左右され決定されてゆく国。
こんな無茶苦茶な国を、隣国として戴く日本。
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産経ニュース 2017.1.26 07:48更新
【「帝国の慰安婦」問題】「見せしめ」色濃く 裁判過程で社会的制裁
【ソウル=名村隆寛】在宅起訴から1年以上を経て無罪判決に至った、韓国の朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授の著書「帝国の慰安婦」をめぐる刑事裁判で注目されたのは、起訴の理由となった「名誉毀損(きそん)」以前に、韓国に学術・研究・表現の自由があるのかという点と、名誉毀損の概念のとらえ方だ。
日本など他の民主主義国家で、この手の問題が提訴され民事裁判になることはあっても、起訴を経て刑事裁判にまで至ることはまず考えられない。だが、韓国でそれは現実に起こった。
「裁判に勝つのは奇跡のようなことだと思っていた」。判決公判を終え、朴氏はそう語った。それほど、無罪を勝ち取るまで困難が続いた。
著書には、資料や元慰安婦ら関係者の発言の引用が数多く盛り込まれている。検察側が名誉毀損と指摘した“問題表現”の多くにこれらの引用部分も含まれている。ただ、引用であろうが、韓国の歴史認識の“常識”にそぐわない内容は批判や非難の対象とされる。
「慰安婦=絶対的な被害者」という韓国内で形成された歴史認識、国民情緒に少しでも反することがあれば、真摯(しんし)な研究論文であれ、社会的な制裁を受け得るということだ。
朴氏は、無罪判決までの1年数カ月の間、完全に“見せしめ”にされた。支援する知識人や研究者が声明を発表したものの、法廷では元慰安婦から罵(ののし)られ、韓国メディアの多くも否定的に伝えるなどした。
昨年12月の求刑公判で朴氏が「もう魔女狩りのようなことは終わりにしてほしい」と涙声で語っていたのが印象的だった。韓国では判決以前に、世論の怒りの矛先を公衆の面前で見せしめにするような「懲らしめ」は珍しくない。だが、最終的には無罪判決が出た。
無罪判決を受け、朴氏は「新たな韓国社会を築く転換点になると思う。その認識を共有できる方が多くなればいい」と語った。ただ、表現の自由の前に立ちはだかった国民情緒という韓国社会特有の“法”が、今回の判決を機に変わっていく保証はない。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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◇ 長崎・対馬の盗難仏像、所有権を主張する韓国の寺への引き渡し命じる判決 韓国・大田地裁 仏像、日本に返さず 2017.1.26
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