【野田小4虐待死、父親初公判詳報】(1)「しつけ超えていた」涙声で謝罪も…罪状の事実関係は細かく認否 栗原勇一郎被告 2020.2.21

2020-02-22 | 身体・生命犯 社会

【野田小4虐待死、父親初公判詳報】(1)「しつけ超えていた」涙声で謝罪も…罪状の事実関係は細かく認否
 2020.2.21 13:03 千葉・野田女児虐待死 
 《千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が自宅浴室で死亡した虐待事件で、傷害致死罪などに問われた父、勇一郎被告(42)の裁判員裁判初公判が21日、千葉地裁で始まった》
 《事件をめぐっては、心愛さんが平成29年11月、学校のアンケートで「お父さんにぼう力を受けています」と書き、児童相談所が一時保護したが約1カ月半後に解除していたことが判明。アンケートの写しを野田市教育委員会が被告に渡していたことも発覚するなど、一連の行政対応も問題となった》
 《心愛さんの母(33)は勇一郎被告の暴行を制止しなかったとして傷害幇助罪に問われ、懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の判決が確定している》
 《千葉地裁は勇一郎被告の審理について、3月9日の結審までに公判を10回開くことを決めている。被告人質問は3月4~6日の3日間、判決は19日の予定。勇一郎被告が、死亡に至る経緯や暴行の状況をどのように語るかが注目される》 《午前11時、2人の刑務官に付き添われ勇一郎被告が入廷した。勇一郎被告は開いたままのドアを背に立ち止まり、深く頭を下げた。先を歩き始めていた刑務官が、勇一郎被告が3秒程度、礼をし続けていることに気づき振り返る。勇一郎被告は自席に向かう際も歩きながら2度頭を下げ、着席時にも深く礼。黒いスーツに青いネクタイ。黒縁眼鏡をかけ、丸刈りがそのまま伸びたような髪形だった》
 裁判長「被告人は証言台の前に立ってください」
 《勇一郎被告が無言で立ち上がり、傍聴席に頭を下げる。歩み出て検察官、裁判員らにも頭を下げて手を前に組んだ》
 裁判長「名前を何といいますか」
 勇一郎被告「栗原勇一郎と申します」
 裁判長「仕事は何をしていますか」
 勇一郎被告「無職です」 《勇一郎被告はぼそぼそと小さな声で答えていった》
 裁判長「検察官に起訴状を朗読してもらいますが、起訴事実が6件にわたっていますのでその都度、認否を確認します」
 《勇一郎被告は傷害、傷害致死、2件の暴行、2件の強要の罪に問われている。通常、まとめて罪状認否を行うことが多いが、勇一郎被告が詳細な認否をする方針のためなのか、1件ずつ行うようだ》
 《検察官が1件目の起訴状を朗読する。まずは、29年11月に心愛さんを殴ったとする暴行罪についてだ》
 裁判長「やっていないとか違っている点はありますか」
 《勇一郎被告が震える手で、手元に持っていた紙をめくった》
 勇一郎被告「罪状認否に臨むに当たり、ひとこと申し上げてもいいですか」
 裁判長「全体について用意してきたのですか」
 《裁判長が被告と弁護人に問いかける》
 勇一郎被告「私の気持ちです」
 裁判長「ではどうぞ」
 《勇一郎被告が手元の紙に視線を落としながら小さな声で話し始めた》
 勇一郎被告「ありがとうございます。事件直後から今日まで娘にしたことが、しつけを超えていたと反省してきました…」
 《ボソボソとしゃべる勇一郎被告の言葉は、はっきりと聞き取りづらい。心愛さんのことを「みーちゃん」と呼び、みんなで成長を見ることを楽しみにしていたのに、私が将来を奪ってしまった-という趣旨のことを述べているようだ》
 勇一郎被告「みーちゃんに謝ることしかできません。本当にごめんなさい。心から反省し、事件直後から(取り調べなどで)お話ししてきました。『悪いことをしたと思っていない』と話したことは、天地神明に誓ってありません」
 《勇一郎被告は手を震わせながら発言を続ける》
 「関係するすべての方々に申し訳ないと思っています。娘のためにできることは、推測や想像ではなく、向き合って事実を明らかにすることだと思います。私は知っている限りのことをお話ししたいと思います。罪状認否については、暴力はしていません」
 《涙声で話す勇一郎被告だが、暴行罪については否認した。続いて2件目の起訴状に移る。30年7月、心愛さんに大便を持たせ、その様子を撮影したという強要罪についてだ》
 勇一郎被告「間違いありません」
 《およそ父親とは思えない行為が続く。3件目は30年12月から31年1月、心愛さんの腕をつかんで床に打ち付け、顔や胸を圧迫するなどして1カ月の顔面打撲や胸骨骨折を負わせた傷害罪だ》
 勇一郎被告「両腕を引っ張り上げたことは認めますが、手を離して床に打ち付けたこと、圧迫や暴行はしていません。娘に1カ月のけがを負わせたことは知りません」
 《4件目は妻への暴行罪。検察官は、勇一郎被告が31年1月1日ごろ、妻の胸ぐらをつかんで顔を殴り、引き倒して馬乗りになった上、立ち上がった妻のももを蹴ったとする起訴状を読み上げる》
 裁判長「違っているところはありますか」
 栗原被告「顔面を平手で殴ったこと、馬乗りになったことは認めますが、胸ぐらをつかんだこと、ももをけることはしていません。罪については争いません」
 《はなをすすり上げ、涙をこらえるように答える勇一郎被告。全体は争わないが、一部の行為については認めないという主張だ》
 《5件目は、心愛さんに対する別の強要罪。検察官は31年1月5日ごろ、心愛さんが勇一郎被告を恐れていたことを利用し、「立てよ、行けよ。何やってんだよ。風呂場行けよ。行けっ」などと嫌がる心愛さんの服をつかんで廊下に出し、浴室に行かせて脱衣所に立たせ続けたと指摘する》
 裁判長「今の起訴内容に違っていることはありますか」
 勇一郎被告「間違いありません」
 《こちらの強要罪については認めた勇一郎被告。罪状認否は、最後に事件の核心となる、心愛さんに対する傷害致死罪に移る》
 《検察官は、勇一郎被告が31年1月22~24日、飢餓状態やストレスで衰弱させてもかまわないと考え、心愛さんに食事を与えず、リビングや浴室に立たせ続けたり、肌着のみで浴室に放置するなどして十分な睡眠をとらせなかったとした。また、24日には水にぬれた肌着だけを着た心愛さんに冷水を浴びせ、リビングでうつぶせにして背中に座り、両足をつかんで身体をそらせるなどし、夜には寝室に入ろうとした心愛さんを浴室に連れ込み、シャワーで顔面に冷水を浴びせて、一連の行為による飢餓状態やストレスなどで死亡させた、と説明した》
 裁判長「違っているところはありますか」
 《これに対し、勇一郎被告は1つずつ事実関係を否定していく》
 栗原被告「娘を飢餓状態にするとともにストレスを与えて畏怖させて強度に衰弱させても構わないと考えたことは一度もありません。妻に指示して食事をとらせないようにしたことは一度もありません。肌着のみで浴室に放置し、睡眠をとらせなかったこと、シャワーで冷水を浴びせたこと、リビングの床にうつぶせた背中に乗り、体を反らせたこと、シャワーで冷水を浴びせかけたことは、していません。そのほかのことについては認めます。罪については、争いません」
 《メモを見ながら早口で主張を終えた勇一郎被告。裁判長に自席に戻るように促されると、栗原被告は居並ぶ裁判官や裁判員、検察官に深く礼をして自席に戻った》


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