GM債務株式化は債権者の賛成得られず、オペル提携に中国企業が名乗り

2009-05-27 | 国際

 [デトロイト/ニューヨーク 26日 ロイター] 米ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>は、26日深夜の期限控え、経営再建計画の柱となる債務の株式化で依然として債権者から合意を取り付けることができず、数日以内に米国企業史上最大規模の破産法適用を申請する事例になる可能性が強まっている。
 破産法適用の申請は、米最大の自動車会社でかつて米国製造業を代表する企業とされていたGMにとっては痛恨極まりない事態となる。
 GMを担当しているモルガン・キーガンのクレジットアナリストは「これは病院到着時死亡のようなもので、後は医師を待って死亡を宣言してもらうだけだ。これがまさに起きている」と述べた。
 GMは、26日深夜の期限までに債務の株式化で債券保有者の90%から賛成を取り付ける必要があるが、関係筋がロイターに語ったところによると、まだその段階には程遠いとされる。
 25日正午までに関係筋が明らかにしたところによると、債務の株式化に賛成している債券者の比率は「1ケタ台の前半」。
 GMが提示した債券と株式の交換に応じた債券保有者は、これまでのところ債券総額270億ドルの10%を大きく下回る水準にとどまっているという。
 GMの提案を受け入れたのは1ケタ台前半で、主に約60億ドルの債券を保有する個人投資家という。
 GMは総額の90%に当たる240億ドルを株式化できなければ破産法の適用申請を余儀なくされる可能性があるとしている。
 債券保有者はGM債務を減免する引き換えに受け取るGM新会社の株式取り分が10%しかないことに異を唱えている。
 GMはこれについてコメントを控えている。同社は債務の株式化の結果について27日に詳細を発表するとしている。
 関係筋によると、GMは6月1日以降ではなく、27日午前零時過ぎに破産法適用を申請する可能性がある。
 ギブズ大統領報道官は26日、GMの債務削減と事業再編に向けた努力は、6月1日の期限まで続けられるとの見通しを示した。
 同報道官は「(政府が設定した期限まで)まだ1週間ある。明らかに多くの利害関係者が犠牲を払っている。クライスラーのときと同様に、こうした作業は期限ぎりぎりまで続くと考えている」と述べた。
 関係筋によると、政府は、ゼネラル・モーターズGMの債権者との協議について、債権者は公平な提示を受けているが、支持を得るために引き続き協議を続ける意向がある。
 関係筋は「できることは全て行う」と述べ、債権者との協議を26日深夜の期限を過ぎても継続する意向があることを示唆した。
 <全米自動車労組幹部とVEBAめぐり合意>
 一方、GMは26日、全米自動車労組(UAW)の幹部と退職者向けの医療基金などに関して合意した。関係筋がロイターに明らかにしたところによると、UAWは再建後のGMの普通株17.5%を受け取ることで合意。さらに、65億ドル相当の優先株や25億ドル相当の証券を受け取る。GMは以前、UAWに対して39%の普通株提供を提案していたが、新たな合意内容では、UAWにとってのリスクは以前よりも低くなる。
 UAWは、合意内容の詳細を説明したGM従業員への文書で「GMは現時点で破たん寸前の状態にある」と指摘した。一般の組合員は27日と28日に今回の合意についての投票を行う。関係筋によると、UAW幹部は26日の会合でロン・ゲトルフィンガー委員長が説明したGMとの合意内容を全会一致で支持した。
 <米政府はGMの大株主になっても経営に関与しない方針か>
 米政府は、GM再編で大株主となった場合、積極的な株主とはならない見込み。
 ある交渉に近い関係筋は「われわれは消極的だ。この状況下ではある意味不本意な株主ということになる。株主となる期間が短期となることと、できる限り消極的な株主となることを望んでいる」と述べた。
 政府がGMの過半数以上の株式を保有する場合、日常の経営には関与せず、政府関係者を取締役会に送り込むこともないという。
 GMが連邦破産法を申請した場合、世界的なネットワークの複雑さから再建はクライスラーより時間がかかるとみられている。ただ政府は、納税者の利益維持が確実になった時点で、株式放出を望む見通し。
 関係筋は「他の株主と納税者の双方にとって公正な方法で、できるだけ早く株式を手放すことになるだろう」と述べている。
 <個人投資家も破産申請にらんだ動き>
 債務株式化案受け入れの期限が26日夜に迫るなか、米政府との協議に当たっている債券保有者委員会から傘下グループのメンバーが離脱した。
 離脱したのは個人投資家で形成される債券保有者グループのメンバーで元GM従業員のジム・グレイブス氏。
 同氏は、個人投資家で形成される債券保有者グループが発表した声明の中で、債務を新生GMの10%株式と交換する案を検討する委員会の委員を務めることができなくなったことを明らかにした。 同グループはまた、債務交換案が失敗に終わり、GMが破産法適用を申請することを想定し、債権者委員会を形成するため、法的代理人を求める計画という。 
 <オペル提携に中国企業が名乗り、優先交渉先は27日に選定へ> 
 ドイツのグッテンベルク経済技術相は26日、GM傘下のオペル買収を目指す3社に対し、条件の引き上げを求めた。また、27日の優先提携先選定を直前に控え、第4の候補として中国の北京汽車工業(BAIC)が名乗りをあげた。
 同相は26日、フィアット<FIA.MI>のマルキオンネ最高経営責任者(CEO)との会談後記者団に対し、同社の提案は真剣なものだがマグナ<Mga>やRHJインターナショナル<RHJI.BR>も依然競り合っていると発言した。
 また経済技術省によると、中国のBAICも買収案を提出した。これにより、3社で繰り広げられていたオペル買収合戦は4社による争いとなった。
 オペルの提携先についてはGMが最終的に決定するが、いずれの提案でも政府は数十億ユーロ規模のローン保証を求められており、意思決定で大きな役割を演じるとみられている。 
 オペルは国内4工場で2万5000人の従業員を抱え、同社の命運は9月27日に控えた総選挙の行方を左右しかねない。
 メルケル首相は27日に優先提携先1―2社を選定する会議を開催する。一部閣僚のほかオペルの工場を抱える州の代表、GMおよび提携候補3社のトップも出席する予定。
 フィアットのマルキオンネCEOは26日にメルケル首相、グッテンベルク経済技術相、シュタインマイヤー外相と会談したが、楽観的な見方は示していない。またマグナとRHJはオペル本部で労組幹部と会合を行った。


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