日経新聞 社説1 政府・日銀は後手に回らず緊密な連携を(12/2)
政府が第2次補正予算に盛り込む経済対策の方針を閣議了解したのと足並みをそろえて、日銀は追加的な金融緩和を決めた。今回の緩和策はまどろこしい印象がぬぐえない。政府と緊密に連携し、後手に回らぬ対応が求められる。
政府が日本経済についてデフレと認定した11月20日、日銀は金融政策を変更しなかった。政府もデフレを宣言しただけで、対策を打ち出そうとしなかった。
時間を空費するうちに、中東のドバイ発の国際金融市場の動揺が広がり、円高が加速し、株価が大幅安となった。市場に背中を押される格好で政府は経済対策の前倒しを余儀なくされ、日銀も追加緩和に動いた。決定しない政策当局に代わり、マーケットが決断を促したといえる。
問題は一連の対策が市場を安定させ、企業や家計の心理を好転させるのに役立つかである。この点で、日銀が打ち出した策は技術的との感を否定できない。国債、社債、コマーシャルペーパー(CP)など、日銀が適格と認める資産を担保に期間3カ月物の資金を、0.1%の金利で供給するというものだ。10兆円という資金供給量も明示した。
「期間3カ月のやや長めの資金を供給することで、金融緩和の効果を高める。量的緩和といってもよい」と白川方明日銀総裁は言う。一方で、今回の策をいつまで続けるかは明言せず、政策効果についても自信なげだ。何よりデフレの解消に向けた決然たる意思が伝わってこない。
円高や株安を食い止め、景気の二番底を防ぐという明確なメッセージになるかは微妙だ。政府からの要請が強まる前に日銀が行動したのは確かだが、パンチ力の乏しい策を小出しにしても、市場から次の一手を催促されるだけにならないか。
ひとつの焦点は、第2次補正などで国債発行額を増やした場合、日銀が流通市場から国債の買い切りを増やすかどうかだろう。白川総裁は1日の記者会見でも、中央銀行による財政赤字の穴埋めを意味する「マネタイゼーション」を強く否定した。
とはいえ、今回の緩和策で国債を担保とした資金供給を打ち出したのは、投資家が国債を保有しやすい環境を整えたともみられる。
景気対策のために、これからも財政の出番は続く。日銀としては財政が効果的に使われるよう政府に注文をつけたうえで、必要なら国債の買い切りを積み増すことも視野に収めるべきだ。2日に会談する鳩山由紀夫首相と白川日銀総裁は、緊密な連携行動を確認してほしい。
政府が第2次補正予算に盛り込む経済対策の方針を閣議了解したのと足並みをそろえて、日銀は追加的な金融緩和を決めた。今回の緩和策はまどろこしい印象がぬぐえない。政府と緊密に連携し、後手に回らぬ対応が求められる。
政府が日本経済についてデフレと認定した11月20日、日銀は金融政策を変更しなかった。政府もデフレを宣言しただけで、対策を打ち出そうとしなかった。
時間を空費するうちに、中東のドバイ発の国際金融市場の動揺が広がり、円高が加速し、株価が大幅安となった。市場に背中を押される格好で政府は経済対策の前倒しを余儀なくされ、日銀も追加緩和に動いた。決定しない政策当局に代わり、マーケットが決断を促したといえる。
問題は一連の対策が市場を安定させ、企業や家計の心理を好転させるのに役立つかである。この点で、日銀が打ち出した策は技術的との感を否定できない。国債、社債、コマーシャルペーパー(CP)など、日銀が適格と認める資産を担保に期間3カ月物の資金を、0.1%の金利で供給するというものだ。10兆円という資金供給量も明示した。
「期間3カ月のやや長めの資金を供給することで、金融緩和の効果を高める。量的緩和といってもよい」と白川方明日銀総裁は言う。一方で、今回の策をいつまで続けるかは明言せず、政策効果についても自信なげだ。何よりデフレの解消に向けた決然たる意思が伝わってこない。
円高や株安を食い止め、景気の二番底を防ぐという明確なメッセージになるかは微妙だ。政府からの要請が強まる前に日銀が行動したのは確かだが、パンチ力の乏しい策を小出しにしても、市場から次の一手を催促されるだけにならないか。
ひとつの焦点は、第2次補正などで国債発行額を増やした場合、日銀が流通市場から国債の買い切りを増やすかどうかだろう。白川総裁は1日の記者会見でも、中央銀行による財政赤字の穴埋めを意味する「マネタイゼーション」を強く否定した。
とはいえ、今回の緩和策で国債を担保とした資金供給を打ち出したのは、投資家が国債を保有しやすい環境を整えたともみられる。
景気対策のために、これからも財政の出番は続く。日銀としては財政が効果的に使われるよう政府に注文をつけたうえで、必要なら国債の買い切りを積み増すことも視野に収めるべきだ。2日に会談する鳩山由紀夫首相と白川日銀総裁は、緊密な連携行動を確認してほしい。