少年法の厳罰化、高まる支持の声 2022/4/7 神戸新聞NEXT

2022-04-07 | 少年 社会

「普通に生きてたら殺人とかしない」 少年法の厳罰化高まる支持の声 一方、米国では
 2022/4/7(木) 7:45配信 神戸新聞NEXT

 今年1月、広島拘置所。待合室のような場所で長いすに腰を掛けると、しばらくして制服姿の職員が近づいてきた。「確定しているため、(面会)できません」
 確定死刑囚はごく一部の例外を除き、外の人間と会うことはできない。送った手紙も渡されないという。
 1999年に起きた山口県光市の母子殺害事件。若い母親と赤ちゃんの命を奪ったとされる大月孝行死刑囚は、社会と隔絶されている。事件当時18歳と30日の確定死刑囚。判決確定から10年がたつ。いつ執行されるか分からないまま月日を重ね、41歳になった。
 「誤った判決だ。事実の認定と、成育歴を巡る問題が正しく検討されていない」。曲折を経た裁判で大月死刑囚を弁護した足立修一弁護士は、極刑に反対する。昨年12月にも接見し、裁判のやり直しを求める「再審」手続きなどを話したという。
 足立さんは、大月死刑囚が少年期に実母の自殺を経験し、父から体罰を受けていた事実から、「受けた虐待などが、彼の刑事責任能力に影響を及ぼした可能性がある」と説明。「少年A」が逮捕された97年の神戸連続児童殺傷事件に触れ、「神戸のように、家裁が医療少年院に送る道もあったはず」と話した。

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 「故意に命を奪ったなら死で償え」。交流サイト(SNS)では、少年に結果責任を問う声が高まりを見せている。今年3月末には、こんな投稿があった。
 「少年法いらんと思う。(中略)俺学生だけど普通に生きてたら殺人とかしない。法を守らないのに法に守られるのはおかしい」
 法学系の大学教員らに尋ねると、少年法の厳罰化に賛同する学生は少なくない。しかし、殺人事件に限らず、犯罪に関わった少年たちは、SNS投稿者が「普通に生きてたら」と考えるような成育環境とは限らない。
 山口直也・立命館大法科大学院教授(少年法)は、近年の米国少年司法の動きに注目する。
 山口さんによると、18歳未満を少年とみなす米国では、連邦最高裁が2005年に「犯行時18歳未満への死刑は違憲」とする判決を出した。これを境に、それまでの「少年厳罰化」の流れが逆流を始めたという。
 その裁判には、全米精神医学会と全米心理学会が、「25歳ごろまでの脳は未成熟」とする意見書を提出した。脳科学の視点から、少年が犯した罪の責任見直しを迫った。その後、虐待などの厳しい成育環境が脳に与える影響を指摘する研究者も出てきたという。
 ニューヨーク州とノースカロライナ州は、刑事手続きでの成人の対象を「16歳以上」から「18歳以上」に引き上げた。少年法適用年齢を段階的に、20歳未満に引き上げる方針の州もある。
 日本では、18、19歳に刑事裁判を受けさせる対象事件が拡大した。山口さんは「日本の少年年齢の見直しは、保護主義に傾く米国と逆の方を向いている」と指摘する。(霍見真一郎)

 最終更新:神戸新聞NEXT

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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* 【改正少年法】光市母子殺害、犯行時は18歳30日 
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* 18、19歳「重大事件」で実名 「推知報道」が可能となる2022年4月の改正少年法施行に合わせ 


光母子殺害 上告棄却 元少年の死刑確定へ 被害2人で初めて 最高裁「酌量すべき点ない」
(2012年02月21日掲載)
  中国新聞デジタル 2019/11/7 (最終更新: 2020/3/16)
 1999年4月の光市母子殺害事件で殺人と女性暴行致死、窃盗の罪に問われ、差し戻し控訴審で死刑とされた元少年の大月孝行被告(30)の差し戻し上告審判決が20日、最高裁第1小法廷であった。金築誠志裁判長は「刑事責任はあまりにも重大で、死刑を是認せざるを得ない」として、弁護側の上告を棄却した。大月被告の死刑が確定する。
 犯行時少年の死刑が確定すると、故永山則夫元死刑囚による連続4人射殺事件で83年に最高裁が示した「永山基準」以降4例目。殺害被害者が2人のケースは初となる。大月被告は犯行時18歳と30日だった。
 金築裁判長は「何ら落ち度のない被害者の尊厳を踏みにじった冷酷、残虐で非人間的な犯行。動機や経緯に酌量すべき点は全く認められない」と断罪。「遺族の被害感情は峻烈(しゅんれつ)を極めている。平穏で幸せな生活を送っていた家庭の母子が、白昼、自宅で惨殺された事件として社会に大きな衝撃を与えた」と強調した。
 さらに、差し戻し控訴審で大月被告が「被害者に甘えようと抱きついた」「(死後の乱暴は)復活の儀式」などと全面否認に転じたことについて、「不合理な弁解を述べ、真摯(しんし)な反省の情はうかがえない」と指弾した。
 金築裁判長ら4人中3人の多数意見による結論。宮川光治裁判官(弁護士出身)は、死刑事件では極めて異例の反対意見を述べ「父親の暴力や母親の自殺などが精神形成に与えた影響をどう評価するかは重要なポイント」と指摘。「年齢に比べて精神的成熟度が相当程度低い事実を認定できれば、死刑回避の事情に該当し得る」として広島高裁に再び審理を差し戻すよう主張した。
 大月被告は99年4月14日、光市のアパートの会社員本村洋さん(35)方で、妻弥生さん=当時(23)=の首を両手で強く絞めつけて殺害し、乱暴。長女夕夏ちゃん=同(11カ月)=も床にたたきつけるなどした上、首をひもで絞めて殺害し、弥生さんの財布を盗んだ。
 最高裁判決に対し、宣告翌日から10日以内に訂正を申し立てることができるが、2000~11年末に認められた例はないという。被告は判決前に大月姓に変わったが、その事情について関係者はコメントしていない。
 遺族の本村さんの話 死刑判決が下されたことは大変満足している。うれしさや喜びの感情は一切ない。厳粛な気持ちで受け止めないといけない。被告には犯した罪の重さを悔いる日々が来ると思うが、そこを乗り越え、死刑を受け入れてもらいたい。犯罪被害者の権利拡充の運動で法整備が進んだのが何よりうれしい。(2人には)私と家庭を持ってくれ、子どもとして生まれてくれたことに感謝している。(松本恭治)

 ◎上記事は[中国新聞デジタル]からの転載・引用です
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