「みんな」が政界再編の触媒に 小選挙区で第3極淘汰の法則
zakzak 2012.12.21 連載:「日本」の解き方
衆院選の結果、自民294議席(小選挙区237、比例57、以下同)、公明31(9、22)、民主57(27、30)、維新54(14、40)、みんな18(4、14)、未来9(2、7)となった。自公で衆院3分の2を超える中、維新とみんなの党は存在意義を示すことができるのか、惨敗した未来に生き残り策はあるのか。
比例の数字に比べて、小選挙区では大きな差がついているのが特徴だ。前々回の衆院選で自民大勝、前回が民主大勝、そして今回は自民大勝と振れ幅が大きい。
第2極の民主党も次回の衆院選で揺り戻しがあれば大量当選の可能性はある。では、第3極はどうなるのだろうか。
政治学で「デュベルジェの法則」というものがある。小選挙区では候補者数は2人に収束していくというものだ。要するに3番目の人は候補者になりにくいのだ。そうであれば、小選挙区制では第3極がなかなか存続し得ないことになる。
もちろん現状の小選挙区300・比例180という制度は完全な小選挙区制ではなく、比例部分があるので理論通りにならないが、今回の総選挙でも、第3極が小選挙区で不利なのは否めない。実際、多くの弱小政党が消えていった。
デュベルジェの法則を詳しく見ると、小選挙区で第3位グループは当選の可能性が少ないので、投票しなくなって、淘汰される。たとえば、未来は今回の衆院選で淘汰される方向になっている。残った第3極の行動としては第2極を脅かす以外に手がない。その一つが政策を一致させて多数派工作をすることだ。
維新とみんながその方向なのかどうかは、オリジナル維新と旧太陽の党との関係がキーだ。投開票の16日夜、首相指名について、石原慎太郎代表は党代表に、橋下徹代表代行は安倍晋三自民党総裁に投票すると、意見が分かれた。その後、党代表に投票すると軌道修正があったが、二枚看板のギクシャクが目立つ。
維新の旧太陽メンバーは、政治経験も豊富で党運営にも長けているが、その顔ぶれを見ると、条件反射的に既得権の臭いが感じられる。だからどうしても、既得権と戦う姿勢が出ていたオリジナル維新と合流後、維新は違うモノに見られてしまう。
維新の旧太陽メンバーは自民党への復党を望んでいるという噂もある。もし旧太陽が抜けてオリジナル維新になると、みんなとの合流話が出てきても不思議ではない。
来年は7月に参院選がある。今回の衆院選で、小政党の淘汰、合従連衡が行われ、政界再編の動きが加速した。この動きは参院選まで続くと見るのが自然だ。
未来は小沢神話がなくなり、個々の議員は生き残りに必死になるだろう。その際、みんなが救命ボートになるかもしれない。いずれにしても、政策がぶれないみんなは第3極の中で、政官再編の触媒的な役割を果たすのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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◆ 落日 小沢王国-いわての審判 「岩手県南は小沢先生の金城湯池だと思っていたが、違った」 河北新報 2012-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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