【八王子ホスト失踪】捜査動かした人工歯根、迷宮入り止めた
産経新聞2013.9.20 22:15
東京都八王子市のホストクラブ経営、土田正道さん=当時(43)=が平成22年11月に失踪した事件は、ホスト仲間の玄地栄一郎容疑者(31)ら7人が死体損壊・遺棄容疑などで逮捕され、急展開した。同容疑の時効(3年)が迫る中、膠着(こうちゃく)状態だった捜査を動かす転機は、民家から見つかったインプラント(人工歯根)。警視庁捜査1課は数カ月に及ぶ執念の捜査で土田さんのものと特定した。今後の焦点は土田さんの死亡の経緯に移る。
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「土田さんの遺体が同市内の民家に運び込まれた」 今年に入り、捜査1課で未解決事件を捜査する特命捜査対策室に情報がもたらされ、同課は4月、阿部卓也容疑者(26)の父、秀樹容疑者(59)宅を家宅捜索。汚水槽から顔の骨の一部とインプラントを見つけた。
骨は劣化が激しくDNA型鑑定でも身元を特定できなかったが、インプラントは国内で約600個流通していることが判明。捜査1課は全国の歯科医院などを丹念に回り、最終的に土田さんのものと断定した。
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ホスト業界で「西東京のカリスマ」と呼ばれていた土田さんは22年11月25日、連絡が取れなくなった。 知人に「丸1日連絡が取れなくなったら警察に相談してほしい」と話しており、捜査1課は交友関係や金銭トラブルを徹底的に調べ上げ、玄地、阿部両容疑者の存在を突き止めた。
玄地容疑者は土田さんからホストクラブの経営権を譲渡され、内装費を要求されていた。阿部容疑者は土田さんのキャバクラで客引きをしていて摘発され、店が営業停止となった責任を問われ、百数十万円を支払うように迫られていた。
東京都西部の檜原村の山中では土田さんの壊れた携帯電話が見つかり、捜査1課は昨年7月に2人を器物損壊容疑で逮捕。2人とも「土田さんの行方は知らない」と主張したまま執行猶予付きの有罪判決を受けたが、裁判官が「他の何らかの犯罪との関わりについて疑念を払拭できない」と異例の言及をしていた。
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捜査1課の捜査では玄地、阿部両容疑者が家族や知人を巻き込み、土田さんの遺体を損壊、遺棄した構図が浮かび上がる。
土田さんの失踪直後、玄地容疑者の元妻の紗希(28)、妹の栄美(28)の両容疑者が強アルカリ性の業務用パイプクリーナーを大量に購入。土田さんの遺体を秀樹容疑者宅の浴槽につけて溶かし、汚水槽に流したとみられる。
クリーナーは髪の毛や油脂を溶かす成分が含まれていた。捜査幹部は「土田さんの無念の思いが、インプラントを汚水槽にとどまらせたのだろう」と話した。
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【八王子ホスト失踪】薬剤を大量購入、遺体を溶かし証拠隠滅か 新たに女2人逮捕
産経ニュース 2013.9.19 13:26
東京都八王子市のホストクラブ経営、土田正道さん=当時(43)=が平成22年から行方不明になっている事件で、警視庁捜査1課は19日、死体損壊・遺棄幇助(ほうじょ)の疑いで、いずれも同市大和田町の無職、玄地紗希(28)と、飲食店経営、栄美(28)の両容疑者を逮捕した。
捜査1課によると、紗希容疑者は死体損壊・遺棄容疑で逮捕された玄地栄一郎容疑者(31)の元妻で、栄美容疑者は実妹。2人は容疑を否認しているという。
逮捕容疑は22年11月27日から同年12月ごろまでの間、八王子市内で土田さんの遺体を損壊するために、髪の毛などを溶かす作用のある薬剤を玄地容疑者らに渡すなどしたとしている。
2人は土田さんの失踪直後に薬剤を大量に購入しており、捜査1課は玄地容疑者の指示を受け、土田さんの遺体を溶かして証拠隠滅を図るのを手助けしたとみている。
土田さんのインプラント(人工歯根)や顔の骨の一部が八王子市内の民家の汚水槽から見つかっており、捜査1課は玄地容疑者らが汚水槽につながる風呂場で、薬剤を使って土田さんの遺体を溶かした可能性があるとみている。
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◇ 【八王子ホスト土田正道さん 遺棄】遺体を鍋で煮込む…事件の修羅場
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◇ 【八王子ホスト土田正道さん 失踪事件】 8人目の容疑者(青野俊太朗)逮捕 死体損壊・死体遺棄容疑 2013-09-29
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◇ 【疑惑の濁流】東京・八王子の元カリスマホスト失踪 知人の男に裁判官がつけた異例の指摘とは?
産経新聞 2012.10.6 20:00
「カネのことでトラブルを抱えている」。東京都八王子市のホストクラブ元経営者、土田正道さん(45)は平成22年11月、友人にこう言い残して行方不明になった。それから約1年10カ月。土田さんの携帯電話を壊して捨てたとして、器物損壊罪に問われた知人の男(25)は9月の公判で、失踪への関与をきっぱりと否定したが、裁判官から他の犯罪への関与を疑わせる異例の指摘をつけられた。どうやって携帯電話を手に入れ、なぜ捨てたのか…。男の説明では、捜査関係者だけでなく、裁判官も納得させられなかったようだ。
*あいまいな犯行動機…裁判官「疑念を拭えず」
「土田さんがどこにいるのかは知らない。証拠隠滅に手を貸したつもりもなかった」。9月19日に東京地裁立川支部で開かれた初公判で、男は検察側の被告人質問にこう弁明した。
男が問われていたのは、ホストクラブ経営、玄地栄一郎被告(30)=同罪で公判中=と共謀し、22年11月25日、土田さんの携帯電話を両手で折るなどして壊し、東京都檜原村の山中に埋めたというものだ。
男は起訴内容を全面的に認め、「玄地被告に頼まれ、携帯電話を捨てた」と主張した。交際相手に車を運転させ、途中、携帯電話の電源を入れたり切ったりを繰り返しながら移動し、指紋をふき取った上で捨てたことにまで言及した。
ただ、携帯電話の入手方法については「玄地被告から『ポストに入っているから処分してほしい』といわれた。普段から世話になっていたので断られなかった」と説明し、「土田さんから取り上げたわけではない」と訴えた。
9月26日の判決公判で、深見玲子裁判官は懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)の有罪判決を言い渡した。ただ、続いて読み上げた判決理由には、男にとって厳しい言葉が並べられていた。
「共犯者の依頼で犯行に及んだとあいまいな供述をするのみで、動機は定かではない」
「他の何らかの犯罪との関わりについての疑念を払拭できない」
判決理由を聞いた捜査関係者は「公判で本当のことを話しているとは思っていない」と同調した。
*「カネでトラブル」…八王子駅近くで消えた足取り
土田さんは22年11月25日朝、妻に「仕事に出かける。週末には帰る」と告げて、八王子市内の自宅を出た。午前中には妻と何度か電話。仕事の約束をしていたという友人にも電話で「少し遅れる」などと連絡したが、午後以降は全く連絡が取れなくなった。
数日後、妻はこの友人に連絡。その際、土田さんが「カネのことでトラブルを抱えている。丸1日連絡が取れなかったら警察や弁護士に相談してほしい」と友人に打ち明けていたことを聞かされ、警視庁八王子署に捜索願を出した。
捜査1課は、土田さんが事件に巻き込まれた可能性が高いとみて捜査を開始。失踪当日の昼過ぎ、JR八王子駅近くの防犯カメラに、土田さんがコインパーキングに車を止め、駅方向に歩いて向かう姿が映っていたが、その後の足取りはつかめなかった。
ただ、土田さんが言い残した「トラブル」については、複数の情報が寄せられた。その中から、ホストクラブの経営などをめぐってトラブルになっていた玄地被告と男が浮上した。
公判での検察側の冒頭陳述によると、玄地被告は土田さんと共同経営していたホストクラブの経営権を譲渡されたが、土田さんに内装費の一部を支払わなければならなかった。
男は21年5月ごろから、土田さんの運転手をやりながら土田さんが経営するキャバクラの従業員を務めていた。ところが、同年12月に客引きをしていて警視庁に検挙され、店が営業停止になったため、土田さんから店の改修費を請求されていたという。
何より、玄地被告が経営権を譲られたホストクラブは、土田さんの姿が最後に確認されたコインパーキングから数件隣にあった。
同課が任意で男に事情を聴いたところ、土田さんの携帯電話を捨てたことを認め、供述通りに檜原村の山中から携帯電話が見つかった。それが土田さんのものと確認されたため、同課は2人の逮捕に踏み切った。
捜査関係者によると、男は土田さんの失踪当日にホストクラブに行ったことは認めたが、2人とも「土田さんには会っていない」と供述しているという。それなら、どうやって携帯電話を入手したのか。その疑問は解消されていない。
*「西東京のカリスマ」…後輩には厳しい面も
「仕事に対してまじめで、女性客への気遣いがすごい。ホストという仕事がまさに天職だった」
土田さんと20年以上の付き合いがある飲食店経営の男性はこう話す。
知り合ったころの土田さんは数多くいるホストの1人に過ぎなかったが、徐々に頭角を現し、数年後には店舗の経営を任された。経営者としても手腕を発揮し、ホストクラブやキャバクラなど複数の店舗を手がけ、「西東京のカリスマ」と呼ぶ人もいた。
一方で、後輩らには厳しく当たることもあったという。別の知人男性は「売り上げにはうるさかった。土田さんから厳しくされ、辞めていったホストは数え切れない」と振り返る。
この男性によると、玄地被告は地元のホスト関係者の間では、土田さんの後継者とみられていた。男性は「ホストを紹介する雑誌にメーンで載った土田さんの横に、玄地被告が小さく載っていた。『次はこの人が来る』というように紹介されていた」と話す。
玄地被告は9月21日に開かれた初公判で、「関係ない」と起訴内容を全面的に否認した。第2回公判は11月7日で、男らが証人として出廷する予定だ。
*上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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◇ 【八王子ホスト土田正道さん 遺棄】 拘置所でホストクラブ元店長・玄地栄一郎被告 自殺 …自絞死…
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