「本気の安保論」 普天間基地 新聞報道/正確な知識・情報が伝わらない『毎日』/新鮮で説得力のある『産経』

2012-04-29 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

<NET IB NEWS「本気の安保論」日本政策研究センター研究員 濱口和久
今さら騒音問題ではないだろう~普天間基地報道(前)
2012年4月26日 14:00
<戦場と学校を一緒にする呆れた報道>
  4月に入り、毎日新聞は、米軍普天間基地に隣接する宜野湾市立普天間第2小学校の米軍機騒音問題をたびたび取り上げている。
  2日、7日は1面で。8日にはオピニオン欄で「授業かき乱す『戦場の音』」という見出しを付けて、「入り乱れるヘリと航空機の爆音のなかで、ふとアフガンニスタンの戦場風景を思い出す。2年前の春、米軍に従軍取材した。砂ぼこりを上げて上昇し、旋回する米軍機。あの乾いた『戦場の音』だ」とまで述べている。13日にもコラム『記者の目』で大々的に扱い、「もうこれ以上、子どもたちを犠牲にするな」と主張している。
 普天間基地を離発着する米軍機の騒音で、授業が中断し、第2小学校の子どもたちの教育に支障をきたしている。あるいは、平成16年(2004)に起きた沖縄国際大学へのヘリ墜落事故を例にあげ、墜落の危険性を繰り返し強調している。
 一連の記事は、いずれも大治朋子編集委員の署名入りの記事だ。第2小学校の騒音問題や墜落事故の危険性については、今に始まった話ではないのに、なぜ、この時期に1面やオピニオン欄で大きく取り上げる必要があるのか、甚だ疑問に感じる。
<伊波氏の責任をなぜ追及しないのか>
  軍用空港と民間空港との違いはあるが、伊丹空港、福岡空港も同じように住宅密集地のなかに空港が存在する。そばには学校や病院もある。1日の離発着回数は両空港とも普天基地よりもはるかに多く、墜落事故の可能性も普天間基地よりはるかに確率は高い。
  そもそも第2小学校については、騒音もなく、安全に子どもたちが教育を受けることができるように、移転の話が何度も俎上にあがりながら、潰されてきた経緯がある。
 宜野湾市長選挙が平成24年(2012)2月12日に行なわれ、佐喜真淳氏が現職の伊波洋一氏を900票差で破り約26年ぶりに保守系の市長が誕生したが、伊波氏は従来から普天間基地を対米闘争拠点として温存し、逆に基地の固定化を目論んでいた人物の急先鋒であった。
  伊波氏は、移転すれば基地に反対する材料が減ると考え、口では第2小学校の危険性を声高に叫びながら、子どもたちを人質にとって政治的に利用してきたのである。
 このことは宜野湾市では公然の秘密となっているにもかかわらず、大治編集委員は、伊波氏の責任論にはまったく記事のなかでは触れていない。
  単に現状固定化状態での普天間基地の騒音問題を強調するだけでは、女性特有の情緒的な「戦争反対・反基地」の態度と同じではないのか。まったくマスコミとしての責任を果たしていない報道姿勢である。

今さら騒音問題ではないだろう~普天間基地報道(後)
2012年4月27日 14:00
<現実論を読者に示した産経新聞>
  産経新聞(4月7日付)は「普天間問題打開へ、嘉手納暫定移設案は検討の価値あり」と題する高橋昌之記者のコラムを掲載している。
  このなかで、民主党議員の有志がまとめた嘉手納基地への移設案は、あくまで「暫定」で、「近い将来には県外、国外への移設を追及する」ことを前提としている。移設の際には訓練や基地機能の一部を県外に分散し、懸念されている騒音も増大させないことが盛り込まれているため、普天間の嘉手納暫定移設案は、問題を打開する可能性をもった有効な案のひとつだと述べている。
 さらに高橋記者は、沖縄の方々も現在のまま、県外、国外への移転を主張して、何も進まないよりは、より実現可能な負担軽減につながる案の受け入れに踏み出してみてはどうか、とも提案している。
  昨年(2011)5月、米国上院軍事委員会のカール・レビン委員長(民主党)、ジョン・マケイン筆頭委員(共和党)、ジム・ウエブ外交委員会東アジア太平洋小委員長という有力3上院議員が、名護市辺野古への移設は「実現不可能」として、国防総省に対し、嘉手納基地への移設を検討するよう求めていたことなどもコラムで紹介している。
<基地問題に対するスタンス>
  両者の記事は、即、毎日、産経の基地問題に対する従来からのスタンスを如実に示している内容だ。毎日の偏った報道だけでは、普天間基地問題に対する正確な知識・情報は読者には伝わらない。
  具体的な問題解決の一案を読者に示している高橋記者のコラムのほうが、新鮮で説得力のある「普天間基地論」ではないだろうか。
(了)  *強調(太字・着色)、リンクは来栖
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