田上富久市長が読み上げた「長崎平和宣言」 2015.8.9 慰霊にそぐわぬ政治色だ

2015-08-11 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

 産経ニュース 2015.8.11 05:04更新
【主張】長崎平和宣言 慰霊にそぐわぬ政治色だ
 犠牲者らの霊を悼み、平和を祈る場である「原爆の日」の式典で論争のある政治課題が取り上げられ、一方的な主張が入り込んだのは残念でならない。
 9日の長崎市での慰霊平和祈念式典で、田上富久同市長が読み上げた平和宣言である。
 参院で審議中の安全保障関連法案について、市長は「憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっている」と、法案成立に極めて慎重な姿勢を示した。
 慰霊と直接関係のない話題を持ち込み、明らかに政治的に偏りのある主張を宣言に織り込んでいる。国民や遺族が、心静かに犠牲者を悼む環境を損なうものではないだろうか。
 長崎の平和宣言は、被爆者や学者、マスコミ関係者、平和運動団体の代表らによる起草委員会の議論を経て、市が案文をつくる。
 問題のくだりは、市長の意思にも合致したものだったという。
 安保関連法案は国会内外で賛成、反対双方の立場から多くの意見が出ている。
 安倍晋三首相は式典でのあいさつで、この問題に言及しなかった。慰霊の式典にそぐわないと判断したためだろう。市長の平和宣言でも、同様の配慮を見せてもらいたかった。
 昨年の長崎の宣言にも政治的な要素が盛り込まれた。集団的自衛権の議論について、平和の原点が揺らぐかもしれないという「不安と懸念」が広がっている、と田上市長は指摘した。
 2年続けての政治的主張には強い違和感を覚える。
 安保関連法案への慎重姿勢は、「戦争法案」と決めつける反対派の主張に沿ったものとの印象もぬぐえない。日本に戦争の惨禍が及ぶことを抑止する目的が法案にはあるという側面に、あえて目をつむるのはおかしい。
 被爆地として、核廃絶への強い願いを込めるのは当然だ。市長は、北東アジア非核兵器地帯の設立に期待を示すなど、核抑止力に頼らない安全保障を求めた。
 それに比べ、中国や北朝鮮など再び核による惨禍をもたらしかねない国々に対し、強い懸念を示していないのはどうしてだろう。
 そうした周辺環境の悪化こそ、日本の平和が揺らいでいる大きな要因であることを、率直に受け止めてほしい。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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長崎原爆の日:平和祈念式典で市長 国会に「慎重審議を」
毎日新聞 2015年08月09日 10時42分(最終更新 08月09日 12時54分)
 長崎は9日、米軍が原爆を投下してから70年を迎えた。長崎市の平和公園で平和祈念式典が開かれ、田上富久市長は平和宣言で、安全保障関連法案について「70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっている」とし、日本政府と国会に「慎重で真摯(しんし)な審議」を求めた。一方、安倍晋三首相はあいさつで、広島の式典で触れなかった非核三原則を「堅持する」とし「『核兵器のない世界』の実現に向けて、国際社会の核軍縮の取り組みを主導していく」と述べた。安保法案には触れなかった。
 式典は午前10時35分に始まり、安倍首相ら約6700人(速報)が出席。過去最多の75カ国の代表も出席した。米国からはガテマラー国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)が政府高官として初参列した。
 田上市長は、平和宣言で「日本国憲法における平和の理念は、つらく厳しい経験と戦争の反省の中から生まれ、長崎にとっても、日本にとっても、永久に変えてはならない原点」と強調。被爆体験だけでなく、空襲や沖縄戦、アジアの人々を苦しめた戦争の記憶を忘れず、語り継ぐよう訴えた。オバマ米大統領ら各国首脳に被爆地訪問を呼びかけ、日本政府には核抑止力に頼らない安全保障の検討や被爆者援護の充実、被爆者健康手帳が取得できる被爆地域の拡大を求めた。
 また、被爆者代表の谷口稜曄(すみてる)さん(86)は平和への誓いで「今政府が進めようとしている戦争につながる安保法案は、被爆者をはじめ平和を願う多くの人が積み上げてきた核兵器廃絶の運動、思いを根底から覆すもので、許すことはできない」と述べた。
 式典では、この1年間で死亡が確認された原爆死没者3373人の名前が書かれた原爆死没者名簿4冊が新たに奉納された。奉納された死没者総数は16万8767人になった。【樋口岳大】
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