年に何度か福永武彦著『草の花』を手にとる 2024.02.25

2024-02-25 | 文化 思索

〈来栖の独白〉 2024.02.25. Sun.
 今でも、年に何度か福永武彦著『草の花』を手にとる。暗記している部分だが、読み返す。

 聖書は無論のこと、私の生涯に深い影響を与えた作家・作品である。

 必ず読む『草の花』の最終。

 何かのブログだったが、以下をセンチメンタルと評している人もいたが、そうではないだろう。人間の正体(神髄)であろう。人は、死ぬまで、この正体に泣き続ける(表に出さずとも)。

 藤木、と僕は心の中で呼び掛けた。藤木、君は僕を愛してはくれなかった。そして君の妹は、僕を愛してはくれなかった。僕は一人きりで死ぬだろう・・・・。
 次第に速力を早くする夜汽車の窓に倚って、僕はいつまでも、冷たい窓硝子に顔を当てていた。


* 「Chopinと福永武彦と」


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