無関係な「黒川人事」と「検察庁法改正」で騒ぐ左派…著名人を操った野党やマスコミ 2020.5.16

2020-05-16 | 政治

【ニュースの核心】無関係な「黒川人事」と「検察庁法改正」で騒ぐ左派… 無垢な著名人を操った野党やマスコミは罪深い
 2020.5.16
 政府が通常国会に提出している検察庁法改正案について、野党や左派マスコミが反対している。彼らが「中立公正であるべき検察に対する政府の介入だ」などと叫んだので、先週末、いわゆる「著名人」もツイッターで反対の声を上げる騒ぎになった。
 だが、彼らは何か勘違いしているのではないか。というより、「ためにする」議論とはこのことだ。
 そもそも、この話は検察庁法だけを改正するのではない。自衛隊員や会計検査院検査官も含めて、国家公務員全体の定年延長や待遇改善のために、多くの関係法改正案がまとめて提出されている。
 なぜ、国家公務員の定年を延長するのか、と言えば、民間と同じく年金支給開始年齢が引き上げられるからだ。
 検察官だけ定年延長しないとなったら、彼らだって労働者なのだから、怒るだろう。それはともかく、左派が騒いでいるのは、次のような理屈であるらしい。
 「黒川弘務・東京高検検事長は『政権に近い』と言われている。1月末の閣議決定で、2月だった定年を8月まで半年間延長したうえ、今度は法律まで変えてしまえば、いまの稲田伸夫検事総長が退官した後、黒川氏を後釜の総長に据えられる。安倍晋三政権は自分の意のままに検察を動かそうとしているのだ」
 これは一見、もっともらしく聞こえる。国会で野党に追及された大臣にも答弁の言い間違いがあったので「疑惑」に輪をかけた。だが、根本のところが間違っている。
 稲田検事総長の任期は、65歳の誕生日を迎える2021年8月までだ。稲田氏が誕生日まで総長を務めれば、黒川氏の目はなくなる。検事総長は「就任2年(7月)で退任」という不文律があるらしいが、左派マスコミが報じたように、本当に「法務検察も危機と思っている」なら、そんな慣例にとらわれている場合ではないはずだ。
 そもそも、定年延長を定めた改正検察庁法案が今国会で成立したとして、施行されるのは「22年4月1日」である。これは、検事長らにも適用される国家公務員法改正案の附則第1条で事前に決まっている。
 そうだとすれば、黒川氏は改正法施行までには、65歳を過ぎて退任してしまうので、いずれにせよ、総長就任の可能性はなくなってしまうのだ。つまり、検察庁法の改正と黒川氏の就任問題は、まったく関係ない。
 大体、法律に基づく制度改革と検察庁人事の話をごっちゃにして議論する方がおかしい。
 「一般には、法施行日のような細かい話は分からないだろう」とタカをくくって、左派が宣伝し、それに「著名人」が乗ったのだとしたら、実に残念だ。
 かねて「著名人」には左派ファンが多いと知ってはいたが、私は「無垢な(?)彼ら」を操った野党やマスコミの方が罪深い、と思う。
 私が新聞記者時代、法改正と聞いても、改正案の本文どころか、簡略化した要綱さえ読んだことがない記者がほとんどだった。彼らの不勉強と紋切り型の記事に振り回される読者が気の毒になる。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ)
 ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

 ◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です


検察定年法、混乱の全真相解明! 「左派野党・メディアこそが人事介入では」八幡和郎氏が考察
 zakzak 2020.5.15 

 新型コロナウイルス対策が注目された後半国会で、検察官の定年延長を含む国家公務員法改正案が焦点に浮上している。インターネット上の世論を受けるかたちで左派野党やメディアは攻勢を強め、与党は沈静化に腐心している。衆院内閣委員会は15日午後、森雅子法相も出席して、質疑を実施する。与党は審議後、採決を求める方針だが、野党の抵抗は必至だ。この難解な問題をどう理解すべきか。評論家の八幡和郎氏が解説・考察した。

    ◇

 この問題は、森法相が、黒川弘務・東京高検検事長を、稲田伸夫検事総長の後任とすることを念頭に、黒川氏が定年を迎える(今年2月)前の勇退を求めたが、稲田氏が固辞したことに発端があるとされる。
 稲田氏としては、京都で4月に開催予定だった国連犯罪防止刑事司法会議(=新型コロナで延期)を現職で迎えたかったといわれる。ただ、「林真琴・名古屋高検検事長を後任にしたかった」との見方もある。
 そこで、法務省幹部(検事出身)が、黒川氏の定年を半年延長する知恵を出して、お茶を濁そうとしたようだ。
 検事総長に限らず、人事院総裁や公正取引委員会委員長については、「人事は内閣が決めるが、職務には原則干渉しない」ことで、民主主義の原則と職務の中立性のバランスが取られてきた。だから、検事総長が勇退勧告を固辞したり、後任が誰かに固執したとすればおかしい。
 一方、森法相は他にも対抗策があるのに、「黒川氏の定年延長」という個人を特別扱いにする方法を選んだのはセンスとしてよくなかった
 この件と、国家公務員法改正案に束ねられた検察庁法改正案の定年延長は本来は無関係だった。だが、かねてよりの懸案(=内閣が認めた場合の役職定年延長など)をついでに片付けようと余計なことをした。
 そこを、「検察独立王国を死守したい一派」と、「林氏に近く、安倍晋三政権打倒につなげたい左派野党やメディア」に印象操作のチャンスを与えることになった。
 検察庁法改正案が成立しなくて(年金受給などで)困るのは検事さんたちなので、多くの国民にとってはどうでもいいことだ。ただ、法律改正が阻止されては、司法に対する民主主義的コントロールが否定される由々しき事態となる。
 日本の検察は、カルロス・ゴーン事件で世界中から批判されたように、自白偏重の「人質司法」で、検察に起訴されたらほぼ無罪になるチャンスはない。しかも長期拘留されて、その間は仕事ができないので無罪になっても失ったものは取り返せない。
 民主主義的コントロールが否定されて、「封建時代的な司法」を改革する芽を封じてしまって、本当にいいのか。与党だけでなく、野党やジャーナリズムも考えてもらいたいものだ。

 ◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です


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