原爆の日 「平和宣言」を政治利用するな / 現実の核の脅威に目をつぶり、平和を実現することはできない

2014-08-09 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

【主張】原爆の日 「宣言」を政治利用するな
 産経ニュース 2014.8.7 03:37 
 69回目の原爆の日を迎えた広島市の慰霊式・平和祈念式で、安倍晋三首相は「核兵器廃絶に、また、世界恒久平和の実現に力を惜しまぬことを誓う」と語った。
 原爆の日は、遺族や国民が原爆犠牲者の霊を静かに弔うものだ。被爆者の平均年齢はほぼ80歳で高齢化が進んでいる。
 被爆体験や原爆の悲惨さを風化させてはならない。その思いを新たにするこの日の誓いは、より重みを増している。
 懸念されるのは、9日の長崎市の式典で予定される平和宣言だ。「集団的自衛権」の語句を盛り込み、この議論をめぐり国民の間に平和への不安が広がった、との見方を示すという。
 だが、これは政府の安全保障政策に対する一面的な見解でしかなく、政治利用と言わざるを得ない。慰霊の日の宣言にふさわしいものではない。田上富久市長には再考してもらいたい。
 長崎では、被爆者や学者、マスコミ関係者らによる起草委員会の議論を経て、市が平和宣言文を作る。当初案には集団的自衛権への言及はなかったが、起草委から異論が示されたため、市長が方向転換を図ったという。
 平和を志向するうえで、非武装中立のような軍事力に頼らない考え方も一部にある。だが、政府は自衛隊による抑止力に加え、米国との共同防衛により、国民の生命財産を守る立場をとっている。当然であり、その抑止力を強化するため、行使容認の憲法解釈の変更が必要だと判断した。
 集団的自衛権行使が日本を戦争に巻き込むという議論は、反対論の核を成すものだった。そうした主張こそ、国民の不安をあおってきた一因ではないのか。
 田上市長は「核兵器をなくし、戦争をしないという長崎の原点を伝える」のが目的だというが、そのために集団的自衛権という言葉を入れなければならない理由がよく分からない。
 核廃絶という普遍的な願いをうたう宣言に、激しい論争のあったテーマをめぐる一方の主張を盛り込むことにならないか。
 日本周辺では、中国や北朝鮮が弾道ミサイルの開発をやめない。現実の核の脅威に目をつぶり、平和を実現することはできない。
 平和宣言に特定の政治的主張を持ち込み、国民挙げての誓いの意味が損なわれてはならない。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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長崎原爆の日:田上市長「戦争しないという誓い 揺らぐ」
 毎日新聞 2014年08月09日 11時43分(最終更新 08月09日 12時41分) 
 長崎は9日、69回目の「原爆の日」を迎えた。長崎市の平和公園で平和祈念式典が開かれ、田上富久・長崎市長は平和宣言で、安倍晋三政権が7月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認を巡る議論に言及し「『戦争をしない』という誓い、平和の原点が揺らぐことに対する不安と懸念の声に真摯(し)に向き合い、耳を傾けることを強く求める」と政府に呼び掛けた。一方、安倍首相は「『核兵器のない世界』を実現するための取り組みを、さらに前に進める」と述べたが、2007年の第1次政権時に触れた「憲法の規定を順守」とする発言はなかった。
 台風11号の接近に伴い、3200人収容できる大型テントを前日に撤去するなどして迎えた。式典は午前10時35分に始まり、安倍首相ら約5900人が出席した。米国など核保有国を含め、過去最多となる海外48カ国の代表も参列し、原爆が投下された午前11時2分、全員で黙とうをささげた。
 平和宣言には、6日の広島市の平和宣言では言及されなかった「集団的自衛権」の文言が盛り込まれた。田上市長は「集団的自衛権の議論を機に、『平和国家』としての安全保障のあり方についてさまざまな意見が交わされている」とし、日本国憲法9条がうたう平和主義に触れ「『戦争をしない』という誓いは被爆国・日本の原点であり、被爆地・長崎の原点でもある」と述べた。
 そのうえで「被爆者たちが自らの体験を伝え続けた平和の原点が揺らいでいるのではないかという不安と懸念が、急ぐ議論のなかで生まれている」と、十分な議論を経ないままの憲法解釈変更への危機感をにじませ、国民の声に耳を傾けるよう政府に求めた。
 また、核兵器保有国と日本を含む「核の傘」の下にある国に対し、核兵器禁止を求める国々と協議の場を設けるよう呼び掛けた。日本政府には「核兵器の非人道性を一番理解している国として、先頭に立ってください」と訴えた。
 集団的自衛権の行使容認については、被爆者代表として「平和への誓い」を読んだ城臺(じょうだい)美弥子さん(75)も「日本国憲法を踏みにじる暴挙です」と厳しく批判した。
 安倍首相は「人類史上唯一の戦争被爆国として、核兵器の惨禍を体験した我が国には、確実に『核兵器のない世界』を実現していく責務がある。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがある」とあいさつした。集団的自衛権への言及はなく、原発問題にも触れなかった。
 式典では、この1年間で死亡が確認された被爆者3355人の氏名が書かれた原爆死没者名簿3冊が新たに奉安された。奉安された死没者の総数は16万5409人になった。【小畑英介】
 ◎上記事の著作権は[毎日新聞]に帰属します
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「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と自虐を祈り、「真の平和とは何か」を問わない日本の8月 2014-08-04 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
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