戦後75年
「戦争を知らない子供たち」50年
中日新聞 2020年8月23日 日曜日 朝刊
冒頭画像;インタビューに答える北山修さん=東京都港区で(五十嵐文人撮影)
歌うこと 喜びに満ちている
作詞家きたやまおさむさん
ちょうど五十年前の八月二十三日、戦後生まれの若者の心をつかむフォークソングが登場した。「戦争を知らない子供たち」。作詞したきたやまおさむ(北山修)さん(74)が本紙のインタビューに応じ、戦争の時に役に立たない「めめしさ」を歌詞に込めた、と語った。
きたやまさんの父は元軍医。満州に出征したが、病気の治療のため帰国。「自分は生き延びたという罪悪感を抱えていた」。京都駅前に医院を開業し、休まず働き続けていたという。
一九四六年生まれのきたやまさんは、戦後に持ち込まれた米国文化に憧れ、音楽に夢中になった。父に「チャラチャラした態度で帰ってくるな」と注意されることもあった。
戦争体験がない世代の葛藤を表したのが、「戦争を知らない子供たち」。きたやまさんによると、この歌に軍歌のようなたくましさはない。むしろ「めめしい。戦うわけでもなく、無力で臆病」と話す。それが反戦歌なのかもしれないという。
戦後75年を迎えたこの夏、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、人の心が荒まないかを心配する。「大事にしたいのは、希望を失わないで生きていくための歌。歌うことは喜びに満ち満ちたもの」と述べた。
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)