成人式 人生力強く、自分大切に 岡山少年院、門出で更生誓う/岡山
毎日新聞2016年1月23日 地方版 岡山県
◎ 直立して桑田裕院長(壇上)の言葉を聞く新成人=岡山市南区箕島の岡山少年院で、瀬谷健介撮影
家庭裁判所から保護処分となった少年らの矯正教育を行う岡山少年院(南区箕島)で22日、一足遅れの成人式が開かれ、新成人11人が大人の仲間入りを祝った。一度は犯罪に走ったものの、社会復帰を目指して更生に励む新成人たちは「今日を節目として、これからの人生を力強く日々前進することを誓う」と決意を新たにしていた。【瀬谷健介】
「人生を80年とすると4分の1が過ぎた。時間に例えると午前6時でまだ夜明け前。自分の人生をこれから堂々と歩けるようになりたい」。式で壇上に上がり、誓いを述べた新成人の1人はそう力強く語った。
同少年院によると、新成人は、殺人や窃盗などの罪を犯し、院に昨秋入ったばかりの人もいれば、来月出院を控える人もいて、それぞれに抱える事情は異なる。この日の式には、新成人以外の在院者約45人や新成人の保護者らも出席し、進行を見守った。
私語一つない会場に入場した新成人は、背筋をぴんと伸ばし、足取りもしっかりとしていた。最前列に座り、それぞれ名前を呼ばれると、大きな声で返事をし、振り返って深く一礼した。
桑田裕院長は式辞で、「これからの人生は平たんではないかもしれない。だが、温かい気持ちを持って自分も大切に夢と目標に向かって挑戦してほしい」と語りかけた。
誓いの言葉は全員が述べた。妻子を持つある新成人は「ここを出た後は、妻や母をはじめ大切な人たちを守り、愛する娘へ親として大きな背中を見せられるような生き方を誓います」と涙を浮かべた。「母さん、心配させてごめん。20年間立派に育ててくれてありがとう。自分を犠牲にしてでも大切な人たちを守れるような大人になる」と親への感謝を語る新成人も。見守る保護者の中にも、ハンカチで目頭を押さえる人の姿があった。
◎上記事は[毎日新聞]からの転載・引用です
.................