米国防総省高官 沖合に50メートル程度移動する微修正に応じる考え

2009-10-19 | 政治
普天間移設、できねば「日米関係に打撃」 米高官が警告
朝日新聞2009年10月18日20時9分
 【ワシントン=伊藤宏】米国防総省高官は在沖米軍の普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、名護市辺野古崎を移設先とする現行計画の大幅変更は認めないとしたうえで、沖合に50メートル程度移動する微修正に応じる考えを示した。現計画が実行できなければ「日米の信頼関係に打撃になる」と警告し、県外や国外移設も模索する鳩山政権に早期の合意履行を迫った。
 ゲーツ国防長官の20日の訪日を前に記者団に語った。現計画は06年、海兵隊のグアム移転や、沖縄県内のほかの米軍基地や施設の返還などと「パッケージ」として日米両政府が合意。その後、沖縄県の仲井真弘多知事が沖合への移動を求めており、鳩山政権は辺野古崎が移設先に選ばれた経緯を検証している。
 高官は「新政権が今の合意がどのようにできたか、再び目を向けるのは自然なことだが、我々は合意は履行する価値が十分あると確信している」と指摘。計画の大幅変更は「ほかにさまざまな決定が続くことになる」として米軍再編のほかの合意内容にも影響すると指摘、「現行の合意の履行を期待する」と繰り返した。
 沖合への移動については「もし知事が50メートルの移動を求めるなら、それは知事と日本政府の問題だ」と理解を示し、「それを日本政府が米国に提案したら、現行の合意の枠組みのなかで検討するだろう」と語った。
 日本政府の検討では、環境影響評価(アセスメント)をやり直さずに施設を移動できるのは55メートル程度。高官発言は、50メートル程度の移動であれば、環境アセスなどの手続き変更を伴わず、これまでの合意の枠組みで計画を実行できるとの考えを示したものだ。
 一方、インド洋での自衛隊の補給支援活動について「非常に価値のあるものだが、日本が活動を継続できないのであれば別な方法での貢献を支持する」と述べ、派遣期限を迎える来年1月の自衛隊撤退に理解を示した。鳩山政権はこの活動に代わる新たなアフガニスタン支援策のとりまとめを急いでいるが、高官は「軍事的なものである必要はない」と語り、民生や治安面での貢献に期待感を示した。
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(10/18)米国防総省高官の発言要旨 「インド洋撤収なら他の貢献策を」
 米国防総省高官の発言要旨は次の通り。
 ■アフガニスタン
 (海上自衛隊のインド洋撤収について)日本が言ってきたことは理解しているし、他の貢献策を探していることも理解している。給油活動を継続できないならアフガンへの他の貢献策を探すよう促したい。ゲーツ国防長官は(米側の要求の)いかなるメニューも持参しない。(新たな貢献策は)軍である必要はなく、開発や(アフガン軍や警察の)訓練など価値ある貢献はたくさんある。
 ■米軍再編
 再編合意は15年にのぼる交渉と調査の産物だ。(在沖縄海兵隊のグアム移転は)兵舎をある島から単に他に移すということをはるかに上回り、同盟軍の戦略的再配置という文脈で理解しなければならない。2月にはクリントン国務長官が初外遊で(日本の資金負担を定めた)グアム移転協定に署名している。
 (日本の)新政権が過去の経緯を検証するのは自然なことだ。我々はこの再編合意の価値に自信を持っている。(米軍普天間基地のキャンプ・シュワブ沿岸部移設を巡り、沖縄県知事が沖合移動を要望した件は)もし知事が(代替の)飛行場を50メートル動かしたいのであれば、彼と日本の中央政府の間の問題だ。日本政府から米国に(修正の)提案があれば合意の枠組み内で、もちろん熟考する。
 (米軍再編合意を履行できなければ)双方の信頼への打撃になる。来年は日米安全保障条約(改定)から50年。再編合意は1972年の沖縄返還以来、同盟にとっての最大の出来事になる。
 ■北朝鮮問題
 北朝鮮は核、ミサイル双方の開発を継続していると分析している。米国で常に関心を集めるのは長距離ミサイルだが、韓国、日本には短距離ミサイルがはるかに大きな脅威だ。同盟国が(米国の防衛力に)いかなる疑念も抱かぬよう必要な行動はすべて取るつもりだ。これには拡大抑止も含む。(日本などが)核の選択肢を求める必要はないと(の判断に)つながることを願う。
 我々は最近(北朝鮮からの)挑発を経験している。政権交代のときにこうしたことが起きると言う人もいる。いま突然、我々は魅力的な局面に至った。金正日(総書記)は韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領の平壌訪問を招請。中国の温家宝首相は訪朝。北朝鮮は『米国と最初に会話できるならば6カ国協議に喜んで戻る』と言う。米朝協議の用意はある。だが米国が単独で何かをすることはない。北朝鮮は明らかに核保有国になることを試みているが、我々は決して容認しない。
(ワシントン=弟子丸幸子)

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