亀井静香金融・郵政担当相の返済猶予制度(モラトリアム)に、全銀協会長、慎重対応求める。

2009-09-24 | 政治

返済猶予制度への慎重対応求める 全銀協会長
産経ニュース2009.9.24 19:29
 全国銀行協会(全銀協)の永易克典会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は24日の記者会見で、亀井静香金融担当相が導入を表明した中小企業などの借金返済を猶予する制度について「返済猶予制度が一律的、長期にわたって発動された例は過去にない。連立3党で協議し総合的に良い形にしてほしい」と述べ、政府に慎重な対応を求めた。
 永易会長は「貸し出しの原資は預金で、預金者や株主への責任を踏まえると一方的な議論はしづらい」とも語り、金利収入を期待する預金者らの理解を得にくいとの認識を示した。
 永易会長は、金融相が「(融資の返済を強く迫る)貸しはがしが激しい」と銀行側の姿勢を批判したことに対し「重く受け止めたい」と述べる一方で、中小企業への資金供給や住宅ローンの返済見直しに「全力を挙げている」と反論した。
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官房長官、返済猶予に慎重対応「連立3党で十分調整」
産経ニュース2009.9.24 17:59
  平野博文官房長官は24日午後の記者会見で、亀井静香金融担当相が提案している中小企業などを対象にした借入金の返済猶予制度について「(連立与党)3党で十分に調整した上で対応を決めることになる。所管大臣としてお考えになっているレベルと理解している」と述べ、慎重に対応する考えを示した。
 具体的には、関係閣僚委員会や3党党首での協議が必要になるとの考えを明らかにした。返済猶予制度は亀井氏が24日の金融庁の政務三役会議で、具体化を指示した。
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亀井金融相、モラトリアム詳細内容の詰め指示
9月24日13時25分配信 読売新聞
 金融庁は24日午前、大臣、副大臣、政務官で構成する政務三役会議を初めて開いた。
 亀井金融相は中小企業や個人への融資の返済猶予制度(モラトリアム)について、大塚耕平副大臣をトップに制度の詳細な内容を至急詰めるよう指示した。
 来月にも召集される臨時国会での法案提出に向け、大塚氏を中心に与党内の意見集約を急ぐとともに、中小企業や金融業界の意見も聴取する。
 返済猶予制度は、景気悪化の影響で受注の急減などに苦しむ中小企業や住宅ローンの返済に困っている個人を対象に「3年程度」(亀井氏)返済を猶予する制度だ。借り手側にとっては朗報だが、貸し手の金融機関にとっては業績悪化や不良債権の増加につながりかねず、反発や困惑が広がっている。 .最終更新:9月24日13時25分
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中日新聞【社説】「徳政令」発言 短慮は事態を悪くする
2009年9月22日
 亀井静香金融・郵政担当相が中小零細企業や個人の借金返済を猶予する制度を創設する方針を表明した。融資の返済が危うくなれば、銀行は貸し渋りに動く。短慮が事態を悪くする懸念が強い。
 亀井大臣は記者会見で「中小零細企業や商店は貸しはがしで黒字倒産がどんどん出ている。サラリーマンも住宅ローンの返済に苦しんでいる」と述べて、元利金の返済を三年程度猶予する仕組みをつくる考えを明らかにした。一種の「徳政令」のようなものだが、問題点が多い。
 まず、民間主体同士の契約に政府が事後的に介入し、契約内容を変えてしまうような行為が許されるのか、という基本的問題がある。強制力を伴うなら、政府が訴えられる事態も考えられる。
 効果も極めて疑問だ。貸し手の銀行は制度創設によって融資資金の返済が危うくなるようなら、融資を一層慎重にせざるをえなくなる。返済猶予で元利金が入ってこない銀行など金融機関は経営が確実に苦しくなる。すると、貸しはがし防止どころか、逆に貸し渋りを助長しかねない。
 借り手も簡単に借金返済の猶予が認められるなら、汗をかいて苦しい経営改善努力を続けるよりも、当面は模様眺めの安易な道を選ぶモラルハザード(経営倫理の喪失)が広がる懸念がある。
 その結果、本来は市場から退出すべき企業が延命し、新興企業の市場参入が難しくなれば、経済活性化も期待できなくなる。
 亀井大臣は銀行経営が苦しくなれば、国が手を差し伸べる考えも示した。銀行支援策まで制度に盛り込まれれば、銀行は逆に政府の支援をあてにして、経営不安の企業にも高利で融資するようになるかもしれない。つまり貸し手のモラルハザードも助長する。
 国民からみると、税金を元手に銀行にローリスク・ハイリターン、ぬれ手であわのビジネス機会を提供する形だ。「返済猶予」という最初の間違いが、銀行に対する事実上の補助金供与というもっと重大な過ちになる。銀行批判を繰り返してきた亀井大臣の本意にも沿わないだろう。
 中小零細企業の資金繰りを支援したいなら、既存の政府系金融機関を活用した融資制度を充実するなど、ほかにまっとうな手段はある。景気の先行きが不安とはいえ「借りたカネを返さなくてもいい」ような乱暴な政策に政府が手を染めざるをえないほど、ひどい状況とも思えない。再考を望む。

http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/56210b0371355079332b7f7e0361640d


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