中1男女殺害事件 黙秘の被告が初めて語った事実と長文の手紙
2018年10月12日 17時52分
3年前、大阪 寝屋川市の中学1年生の男女が殺害された事件で、殺人の罪に問われている山田浩二被告(48)。ことし8月中旬から11日までに7回、大阪拘置所でNHKの記者の取材に応じました。また長文の手紙を1通、記者に送り、現在の心境や事件について初めて言及しました。その内容をまとめました。
初めて記者が面会して取材したのは8月17日。面会室に現れた山田被告は3年前に逮捕されたときに比べ、かなり痩せた印象で、頭を丸刈りにしてマスクをかけていました。記者が事前に連絡しないまま突然訪ねたことに対し「非常識すぎる」といらだち、警戒心を隠しませんでした。
事件について尋ねようとすると。
被告『事件が事件なだけに、自分だけの判断で話すことはできない。ここで話せば3年間黙秘を続けてきた意味が崩れてしまう』
答えませんでした。一方で。
被告『ことし4月に弁護士以外との面会が許されるようになってから、家族や知人、自分とこれまで関係が深かった人たちも含め、誰も面会に来なかった』
こう話して寂しそうな表情も見せました。
■長文の手紙
こうした面会が2回続いたあとの9月中旬、山田被告から1通の手紙が届きました。7枚の便せんが1万2000字余りの特徴的な小さな文字でびっしりと埋め尽くされていました。
そこには、事件に関するこれまでの報道に事実と異なる点が多いとか、威圧的な取り調べを受け、屈辱的な暴言を浴びせられたといった不満が書かれていました。
さらに黙秘を続けている理由について『きっかけは逮捕された日の夜に弁護士が面会に来て、弁護方針として取り調べには一切応じないよう言われたのでその指示どおりにしたんです。弁護士に「刑事や検事はあなたを死刑にするのが仕事です」と言われるとやはりビビリます』と説明していました。
そのうえで、世間の人たちに黙秘する権利が理解されず、ひきょうな人間だと思われているのであれば不本意だとつづられていました。
取材にどこまで話すべきか迷う気持ちも書かれていました。
『いまだに黙秘を通し、ご遺族に対する謝罪の言葉や姿勢すら発信できていない私が、のうのうと取材に応じていいのか』
この手紙のあと、山田被告は週1回のペースで取材に応じるようになり、現在の心境や事件について少しずつ話しはじめました。
■3回目の面会『関与している 謝罪したい』
被告『今いちばんの不安は、裁判です。裁判員裁判にかけられるのは人生で初めての経験です。傍聴席も満席になるでしょう。非常に不安な気持ちです。もし死刑になったらどうなるのかとかいろいろ考えます。ただ自分としてはどんな形であれ、遺族の方にはきちんと謝罪をしたいと思っています。ぶっちゃけ事件に関与しているのは事実です。どう関与したかは言えませんが、自分が間違いなく関与した事件で人が亡くなっているのは事実です。謝罪はすべきだし、しなければいけません』
■4回目の面会 『あの日はいろいろあった』
記者『事件のあった日、ずっと2人と一緒だったんですか? どんな言葉で声をかけて会話し、何か食べたりしたんですか』
被告『食べていないです。あの日は本当にいろいろな出来事が起きすぎました。それどころじゃなかったんです』
記者『いろいろな出来事? それは何でしょうか?』
被告『言えません。でもあの日はいろいろあったんです』
■6回目の面会 核心部分に触れる
そして今月4日、6回目の面会で、山田被告はこれまで口を濁していた核心部分について触れました。この日、誰が2人の命を奪ったのか、記者は考えられる3つの可能性を示して問いかけました。提示した最初の2つは第三者など被告以外の犯行、3つ目は被告の犯行でした。山田被告はゆっくりとした口調で答えました。
被告『あなたなら言っても大丈夫な気がしますので正直に言います。あなたが言った、1つ目と2つ目は間違っています。意味がわかりますか』
記者『つまり、あなたが殺害したということですか』
被告『そうなりますよね』
記者『以前言っていたいろいろな出来事がきっかけで?』
被告『まさにそのとおりです。いろいろな出来事が重なったうえでのことでした』
山田被告は第三者による犯行の可能性を否定し、みずから被害者を死なせたと説明しました。被告は本当のことを話しているのか、故意に2人を死なせたのか。11日、改めて聞きました。
記者『本当にあなたが2人を死なせたのか?』
被告『はい』
記者『2人ともですか?』
被告『2人です。でも前も言ったでしょう。本当にいろいろあったんですよ』
記者『殺意はなく、結果的に亡くなってしまったということですか?』
被告『そうです。ただ詳しくは言えません』
被害者との間に何があったのか、それ以上は最後まで話そうとしませんでした。
来月1日から山田被告の裁判が始まります。山田被告は、法廷で亡くなった2人や遺族に謝罪したいという気持ちもあると話し、黙秘するかどうかも含めて裁判にどのように臨むかは弁護士と相談すると説明しています。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です *強調(=太字)は来栖
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* 大阪寝屋川 中1男女殺害事件 山田浩二被告「自分が2人を死なせた」NHK NEWS 2018/10/12
* 寝屋川の中1男女殺害 山田浩二被告 初公判は2018/11/1 判決は12月19日
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