1ドル=86円の円高「日本経済に大きなダメージ」 投資マネーがドルから逃げ出す深刻な“ドル不安”

2009-11-27 | 社会
円急騰 ドル独り負け、金に逃避 政府・日銀、為替介入も
産経ニュース2009.11.26 21:52
 外国為替市場で円が急伸した背景には、米景気の先行き不透明感から投資マネーがドルから逃げ出す深刻な“ドル不安”がある。逆に投資資金は商品市場に流れ、国内の金価格は26年ぶりの高値をつけた。世界を環流するマネーのうねりが、デフレ入りした日本経済に影響を与えるのは必至で、市場では、通貨当局の円売り(ドル買い)介入が行われるとの観測が広がり、政府内からも介入を示唆する発言が相次いだ。
 「円高というより、ドルが独り負けの状況だ」。大和総研の亀岡裕次シニアエコノミストが分析するように、市場ではドルの先安感を指摘する声が多い。
 市場に共通するのは、米国の金融緩和が長期化するという観測だ。昨秋の「リーマン・ショック」以降の金融危機を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを続け、市場に大量に資金が流れるようにした。これが功を奏し、「金融システム不安は脱した」(国際金融筋)ものの、足元の米経済はまだ弱い。「消費につながる雇用も低迷し、足元でFRBや政府が弱気に転じた」(エコノミスト)といわれ、金利の先安感を裏打ちしている。
 金利の低下はその国の通貨の価値を下落させることを意味する。為替市場でもは、「ヘッジファンドや機関投資家がドルを手放す動きが加速」(外資系証券)しており、亀岡氏も「年内に85円前後まで円高が進む場面もありそう」と予測する。ドルから逃避したマネーが向かうのが金や原油などの商品市場だ。金には、値上がり期待から個人マネーも流入している。
 一方、政府は3年5カ月ぶりに「デフレ宣言」を行ったが、急激な円高に警戒感は強く、経済閣僚からも、「今の景気情勢からするとマイナス」(直嶋正行経済産業相)と不安視する声が相次ぐ。
 市場の関心は、政府・日銀が平成16年3月以来、およそ5年半ぶりとなる為替介入に踏み切るかどうかに集中している。藤井裕久財務相は26日、「異常な動きに対して適切な措置を取るのは、世界共通の考え方」と語り、介入の可能性を示唆。鳩山由紀夫首相も同日、「(為替の)急激な変動は好ましくない。財務相を中心に何らかの発想は当然だ」と記者団に述べた。
 現段階では「当面は通貨当局による『口先介入』が強まる」(エコノミスト)との見方が多いが、円高が株安やデフレの進行に拍車をかければ、“実弾”介入も考えられそうだ。
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鉄連会長、1ドル=86円の円高「日本経済に大きなダメージ」
 日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日本製鉄社長)は26日の定例記者会見で、外国為替市場で円相場が1ドル=86円台の円高水準になったことについて「政府は足元の景気をよく見て、金融、財政などあらゆる対策を積極的に打つべきだ。進行を止める手立てを講じ、あるレベルに戻さないと日本経済は大きなダメージを受ける」と影響を危惧した。
 鉄鋼業界にとっては円高により原材料を円ベースで安く仕入れることができるが、「輸出比率が高くなっており、この円高水準では影響を被るため、我々にとっても大きな問題だ」と指摘した。
 来年1~3月の鉄鋼需要の見通しなどに関しては「国内では政府の景気刺激策の恩恵を受けない建築などの領域が相変わらず不振を極めている。民間の設備投資も動意が全く見られず、不透明感が払拭(ふっしょく)できない」と話した。〔NQN〕(2009/11/26 15:04)

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