石原慎太郎氏が猪瀬知事と2度も会談した理由
dot.(更新 2013/12/25 07:00)
医療法人「徳洲会」グループから5千万円を受け取りながら、追求をかわし続けていた東京都の猪瀬直樹知事(67)がついに辞職を表明した。だが、これは終わりの始まりだ。東京地検特捜部は徳洲会マネーの闇献金疑惑の本格捜査に乗り出した。ターゲットは猪瀬氏、そして国会議員だ。
“徳洲会マネー”の恩恵にあずかった人物として、石原慎太郎氏の他、阿部知子衆院議員、山田正彦前衆院議員、鳩山由紀夫元首相など複数の政治家の名前が報道された。
捜査の行方を左右しそうなのが、12月3日、警視庁などに業務上横領容疑で逮捕された徳洲会元幹部の能宗(のうそう)克行容疑者の証言だ。“金庫番”として徳洲会を支えてきた能宗氏は、組織の内紛で失脚。2013年1月に徳洲会内での懲罰委員会にかけられた際の反論書では、政界にばらまいた“徳洲会マネー”の全容について、83ページにわたって詳細に暴露していたのだ。
本誌が入手した反論書には、今回、猪瀬氏に引導を渡した石原氏の名前もある。
〈石原慎太郎知事にも億単位の資金提供がされており、かき集めたその資金の中には、税金から拠出された(自由連合の)政党助成金も含まれており、他から現金を持ってきて穴埋めしました〉
石原氏の名前は早い段階から捜査関係者の間で挙がっていたという。検察関係者がこう明かす。
「能宗氏が徳田氏の告発について最初にある大物検察OBに相談にいったのが約2年前。能宗氏はこの時、石原氏や亀井静香氏の名前を挙げていたようです。13年1月に猪瀬氏の5千万円の話が出てきたことで、この検察OBが別の弁護士を通じて特捜部に持ち込んだといいます」
猪瀬氏と近い人物は、18日に行われた石原氏と安倍首相らとの昼食会について、こんな見方を示した。
「あのタイミングで安倍首相と会食し“引導役”を引き受けたことは、石原氏の処世術の巧みさを感じる。検察の“ターゲット”にならないよう、政権との親密さをアピールする意味もあったのではないか。5千万円を返しにいった猪瀬氏の特別秘書は、元は石原氏の秘書。猪瀬氏が百条委員会にかけられれば、石原都政時代のことも追及される危険がありましたからね」
石原事務所は「徳洲会から金銭的な面倒をみてもらったことはありません」と文書で回答を寄せた。
2014年、政界にどんな波乱が巻き起こるのだろうか。
※週刊朝日 2014年1月3・10日号
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