社会で居場所を失いつつある75歳以上の後期高齢者の姿を描いた映画「PLAN 75」2022.06.16

2022-06-16 | 本/演劇…など

 中日新聞 11面  Culture  2022.06.16

不寛容な社会で「生」を全肯定 映画「PLAN 75」早川千絵監督

 社会で居場所を失いつつある75歳以上の後期高齢者の姿を描いた「PLAN 75」の公開が、17日から名古屋・名駅のミッドランドスクエアシネマなどで始まる。
 カンヌ国際映画祭で、新人監督賞カメラドールで次点の特別表彰を受けた。長編デビュー作での快挙となった早川千絵監督は「誰も排除しない社会であれば、幸せな老いを迎えられる」と語った。
 少子高齢化の解決策として、満75歳以後は生死を自分で選択できる制度「プラン75」が施行されたという設定。主人公のミチ(倍賞千恵子)は夫と死別後、ホテルの客室清掃の仕事をしながら一人暮らしを続けてきたが、78歳の高齢が理由で失職する。
 制度を歓迎する空気の中で、同世代の知人たちはそれぞれに人生の終末を選択。ミチは制度の利用を決心する。役所の申請窓口で淡々と制度を勧めるヒロム(磯村勇斗)や電話相談係の瑤子(河合優実)、施設で最期を迎える人たちを世話する介護職のフィリピン人など、業務に従事する若者たちの心情も描いた。
 「自己責任という言葉がよく使われるようになり、日本の社会全体が不寛容になっているような気がしていた」と早川監督。2016年7月に相模原市の障碍者施設「津久井やまゆり園」で起きた入所者殺傷事件にショックを受けたことが、製作の端緒になった。「不寛容な社会の中で、人が生きるということを全肯定したかった」
 「PLAN 75」は、同じくカンヌに韓国映画を出品し、主演が韓国人初の男優賞を受賞した是枝裕和監督が、18年に総合監修を務めたオムニバス映画の一編を再構築した。「見方によって受け止め方がかなり違ってくる。見た人も共作者となってもらえるような作品だと思う」
(花井康子)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し


* 映画『PLAN 75』フランス人を魅了した倍賞千恵子の「凛とした美しさ」 2022/05/30 
相模原事件 優生思想


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