中国09年国防予算6,9兆円に 21年連続2けた増

2009-03-10 | 国際
中国全人代 社会安定へ高成長は可能か(3月7日付・読売社説)
 高成長をもてはやされた中国にとって、かつてない試練の年である。
 景気減速が今後も続けば、雇用情勢が悪化し、社会不安が一層増大するだろう。そうなれば共産党政権の屋台骨を揺るがすような事態も起きかねない。
 今年は10月に建国60周年、6月に民主化弾圧の天安門事件から20年の節目を迎える。中国指導部は、何としても経済を成長軌道に戻し、安定を維持したいようだ。
 開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)の政府活動報告は、今年の経済成長の目標を「国内総生産(GDP)8%程度」とした。毎年生まれる新規労働者900万人を吸収するためには最低限必要な成長率である。
 一昨年まで5年間、2ケタ成長を誇った中国経済も昨年は9%に転落、世界的な金融危機発生後の昨年10~12月は6・8%となり、“黄信号”がともった状態だ。
 昨秋公表された4兆元(約57兆4000億円)の景気刺激策を受け、今年は、鉄道や高速道路、低所得者向け住宅建設などの公共事業、省エネ・環境対策などに予算が大きく傾斜配分された。
 地方財政の財源にするための国債も発行する見通しだ。
 一方で、農村地区に限定した家電製品購入の際の割引補助や、乗用車購入税の減税など国民の負担軽減を目指した各種の減税策が打ち出された。
 こうした財政出動のために、9500億元(約13兆6325億円)の過去最大の赤字を計上する予算となった。
 欧米諸国や日本が同時不況に陥っている時期だけに、大胆な予算を編成することで、内需拡大による景気回復へ強い意思を示したいのだろう。
 工場閉鎖などで、出稼ぎ農民2000万人が失業状態にあり、大学新卒者の未就職率も12%に達している。雇用を確保し、失業者の大量発生を防ぐことが大きな課題である。
 高成長を支えてきた輸出は、昨秋以降、不振が続いている。主要な相手だった欧米諸国の不況は深刻だ。簡単に輸出が回復する見通しはない。成長戦略の大きな不安定要因だ。
 大幅な赤字予算の中でも、国防費だけは特別扱いだった。対前年比で14・9%増と、21年間連続の2ケタ増加である。
 経済成長率をしのぐ伸びとなった説明が見当たらない。中国が「平和的発展」を目指す国であるなら、合理的な説明が必要だ。(2009年3月7日02時12分  読売新聞)
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3月4日15時30分配信 サーチナ
 中国全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星報道官は4日に行った記者会見で、2009年の国防予算案が前年比14.9%増の4806.86億元(約6.9兆円)として計上されることを明らかにした。財政支出全体に占める割合は6.3%で、過去数年より下がっているという。新華社が伝えた。
 李報道官によると、国防費の増額は軍人の待遇改善や軍装備のハイテク化などのほか、災害救援や反テロの能力向上が目的だ。
 中国の国防費は21年連続で2けたの伸びを示しており、諸外国で警戒感が高まっている。李報道官は「中国の軍事費は国内総生産(GDP)の1.4%に過ぎず、世界の国々の中でも比較的低い」と述べ、「国家の主権と領土を守るためのものであり、いかなる国に対しても脅威とはならない」と強調した。(編集担当:恩田有紀)

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