神戸発:ラジオ政論
「日本には敵わない」と思えば隣国は攻めてこない 一色正春元海上保安官が語る憲法9条の限界
JBpress 2013.01.11(金)
元海上保安官の一色正春氏をゲストに迎えた1月6日放送の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。尖閣諸島中国漁船衝突事件の映像をユーチューブに公開した「sengoku38」こと一色氏が当時を振り返ったほか、日本を取り巻く領土問題や憲法問題などについて語った。
■尖閣諸島の中国漁船衝突事件は遅かれ早かれ起きていた
中山 今回は、元海上保安官の一色正春さんにお話を伺います。一色さんといえば2010年9月7日に尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生した際、ユーチューブに衝突の映像を公開したことで大きな反響を呼びました。
それによって私たち国民は、日本の国境線で起きた真実を知ることができましたが、まずは事件が起きた時の心境をお聞かせください。
一色 漁船がぶつかったのを見た時は「とうとうここまで来たか」と思いました。
尖閣諸島の周辺海域では長年にわたり違法操業が繰り返されていましたが、日本はそれを取り締まってこなかった。
というより、取り締まってはいけないというのが政府の方針だったんです。だから、いずれこうした事態に発展するだろうと予測はしていました。
中山 一色さんは映像公開後、読売テレビに事件のことを話したそうですね。
一色 あれは一種の保険のようなものです。後で騒ぎが大きくなった時に「頭のおかしな奴がやった」と思われては困るので、映像を流出させた意図を発覚前に担保として残しておいたのです。
中山 一色さんが映像を公開したことは国民がこの問題に目を向けるうえで非常に大きな意味があったと私は思います。
一色 私自身もあの映像は広まるだろうと思っていましたが、一晩であれだけ反響があったのは予想以上でした。
またこれは誤解されがちなのですが、映像は海上保安庁が隠蔽したのではなく、時の民主党政権が隠蔽したのです。海保は言うなればただの一役所ですから、官邸から映像を出すなと命じられればその通りにせざるを得ません。
かつて北朝鮮の不審船が来た時にはその映像を公開していますし、そういう意味で海保はオープンな組織と言えます。
中山 なるほど。では次に、海上保安庁と海上自衛隊の違いについて教えてください。
一色 簡単に例えれば、海上保安庁は警察で海上自衛隊が軍隊です。今、国境警備がクローズアップされていますが、海保は海難事故の救難や灯台の設置・管理、海図の作成など、海の上での様々な役割を担います。
一方、自衛隊は国の陸海空を守ったり、災害救援活動を行います。法律上は軍隊ではありませんが、軍に準ずる組織として見るのが一番分かりやすいと思います。
中山 尖閣諸島など日本海域の防衛は、実質的に海保・海自で対処できるのでしょうか。
一色 私の考えでは、物理的には可能だと思います。ただ、問題なのは法整備、もっと言えば政権のやる気です。日本の領土を何が何でも守り抜くという気があれば、海保や海自は懸命に動きますよ。
■韓国は日中を天秤にかけて放火犯の引き渡しを拒否した?
中山 次の話題に移ります。靖国神社の神門に放火した疑いで日本政府が韓国政府に身柄引き渡しを求めていた中国人容疑者について、ソウル高裁が「政治犯」と認定して引き渡しの拒否を決定し、容疑者が中国に帰国したと報じられました。
この問題についてどうお考えですか。
一色 尖閣の領海侵犯と共通して言えるのは、日本の態度が相手国の増長を招いているということです。もし日本と中国の立場が反対だったら、今回のような事態にはならなかったでしょう。
要するに「日本が相手なら何をしてもいい」「口だけの抗議で済む」という過去の例からすると日中どちらの味方につくのが得なのか、韓国が判断したんだと思います。
中山 日韓の間には犯罪人引渡し条約がありますが、これを完全に無視したことになりますよね。
一色 韓国は日本に関しては法を超えたところがありますからね。日韓基本条約すら無視したり…。
例えば、今から2~3代前の日本統治時代まで遡り、当時土地を取得した人からそれを没収するようなこともやっている。我々はその辺りも踏まえて付き合っていかなければなりません。日本人の考えだけではとても理解できない国だと思いますね。
一色 また、中国にとって最大の目的はおそらく日韓が不仲になることです。日韓が手を組んで立ち向かってきた場合に一番困るのは中国ですから。今回の放火犯も、日韓の仲を悪くするためにやったら思いのほか効果があったというのが本音ではないでしょうか。
ですから今後は、日本がどうするのかが重要になってきます。型通り遺憾の意だけを表明するのか、あるいは日本側も「竹島の日」式典の開催を決行したり、国際司法裁判所への提訴に踏み切るのか。そうした具体的な対応が求められます。
中山 韓国では大統領選で朴槿恵氏が勝利を収め、2月に新政権が発足しますが、日本にとってどんな影響があると思いますか。
一色 過大な期待はしない方がいいでしょう。李明博大統領も大阪出身ということで一時は親日だと期待されましたが、結局あの国では反日を掲げなければ政治生命が失われてしまいます。だから、誰が大統領になっても基本的には変わらないはずです。
■外国を訪れて知った、“教科書では教わらない”日本の姿
中山 一色さんは在職中、外国の方と接する機会も多かったと思いますが、そこでどんなことを学びましたか。
一色 20代前半の頃は外国航路の船に乗り、色々な国を訪れましたが、例えば外国へ行った時に、日本について質問されても答えられなければ困ります。
いくら英語や外国語が話せても、自分の国を説明できなければ言葉以前の問題なんです。小学校から英語を学ぶのも一つの方法かもしれませんが、まずは日本がどういう国なのかを他国に説明できなければ話にならないと思います。
中山 外国での思い出深いエピソードがあればお聞かせください。
一色 私自身はもともと共産主義的な考えだったため、人類が皆平等で、国境もなくなって世界が平和になればいいと思っていました。しかし、色々な国を訪れるうちに現実はそんなものではないと知ったのです。
学校教育では日本が悪い国だと教えられましたが、例えばインドネシアへ行くと「第2次世界大戦後のインドネシア独立戦争の時、何百人もの日本兵がここに残ってオランダと戦ってくれた」という話をされる。
そんなことは教科書で教わらなかったわけです。色々とそうした話を聞くうちに、日本が極悪非道な国家ではないと気づくようになった体験は大きかったです。
外国に出ることが全てではないですが、日本の中にいると外が見えないですよね。以前アラブ人と話した時に「なぜ日本はあんなに米国にペコペコするのか。日本は日露戦争にも勝利したじゃないか」と言われ、改めてハッとさせられました。
東南アジアの国を訪れると「旧日本軍がいたころは良かった」と話す人もけっこういるんですよ。もちろん全てにおいて日本が良かったとは言いませんが、このように両方の意見が存在しますから、一方に偏らずどちらにも耳を傾けることが大事だと思います。
■憲法を変えなければ真の独立国にはなれない
中山 中韓をはじめ、北朝鮮やロシアなど、日本ほど敵国に囲まれている国はないので、防衛費は増額して然るべきだという意見もあります。
一色 確かに予算は増やすべきでしょうが、増やせばいいという問題でもありません。一番大事なのは人材育成です。この議論をすると憲法に行き着きますが、少なくとも「周辺国は平和を愛する国家だから攻めてくるはずがない」という考えでは上手くいかないと思います。
中山 防衛省によれば、陸自は定員に対する充足率が約92%で、現員数は定員15万人のうち14万人ほどしかおらず、欠員が多いそうですね。
一色 今これだけ不景気で就職難だというならば、予算だけでなく思い切って自衛隊の定員も増やしてはどうでしょうか。
戦国武将の武田信玄が「人は城」という言葉を遺したように、まずは人材をしっかり確保する必要があります。一人前の兵士を育てるには年数がかかりますから、戦争の有無に関係なく「備えあれば憂いなし」だと私は思います。
自衛隊で通用する人材なら民間でも十分に通用するでしょうし、現実に即応しながら必要最小限の予算で最大の効力を発揮する方法を模索すべきです。
中山 防衛をめぐっては在日米軍の再編なども取り沙汰されていますが、日米安全保障条約における日米関係についてはどうあるべきだと思いますか。
一色 それは国の方向性の問題だと思います。日本が米国から自立するのか、それともずっと庇護の下にいるのかという決断になりますが、もし自立するなら戦闘機も武器も全て自国で開発しなければなりません。
今は日本の暗号も通信も全て米軍に負うていますから、日本は世界の中で米国とだけは戦争ができないのです。米国に全部握られている状態で米軍を追い出そうとするのは無茶でしょう。
10年単位になるでしょうが、徐々にシフトしながら最終的に出ていってもらう。その上で自国を防衛するのが独立国としてのあり方ではないでしょうか。
中山 なるほど。では今の日本の国防に欠けているのは何だと思いますか。
一色 一言で言えば憲法です。憲法を変えなければ何も変わりません。改正に至るまでにやるべきことも多いでしょうが、根源的な問題は憲法にあります。
中国やロシアの領空・領海侵犯も、隣国としてはいわば当然の行為なんです。大切なのは日本がそれを跳ね返すだけの力を持つこと。
相手国から「この国には敵わない」と思われるだけの装備や気構えがあれば、攻めてこないんです。憲法9条の下で平和を主張しているだけでは、隙を与えるだけだと思います。新政権にはその辺りの改革も期待したいですね。
また、有権者の方にとっては「内閣総理大臣が自衛隊の最高の指揮監督権を有する」という意識を持つことが大事です。国の運命はこの人に委ねるんだと。もはや米国が守ってくれたり、総理が力不足でも何とかなる時代ではなくなっています。
先日の衆議院総選挙の投票率の低さには驚きました。今までは誰が政治をやっても同じと言われていましたが、とんでもない人に任せると取り返しのつかないことになると民主党政権の3年3カ月で証明された。
にもかかわらず、投票に行かないのは理解できません。「票を入れるところがない」という声も聞きますが、ある物の中から選択するしかないと思います。
中山 最後に、未来の日本を担う子どもたちにメッセージをお願いします。
一色 まずは日本の歴史を知るべきです。今、我々が生きているのは先祖からこの国を受け継いできたからであり、今度は自分たちが子孫に渡していかなければなりません。そのために重要なのは言葉や歴史ですから、しっかり学んで継承していってほしいですね。
『中山泰秀のやすトラダムス』 1月6日 24:00-25:00放送 *強調(太字・着色)は、来栖
=========================================
◆ 田母神俊雄著『田母神国軍 たったこれだけで日本は普通の国になる』(産経新聞出版)
p166~
わが国は戦後、アメリカに守ってもらうことを前提としてきましたので、自らやり返すという意思がありません。従ってやり返すための攻撃力も自衛隊は持っていないのです。専守防衛では抑止力にならないのです。
今後、多くの新興国の勃興によりアメリカの相対的国力はどんどん低下していくと思います。アメリカの抑止力は次第に弱くなっていくのです。そのような情勢下で、我が国の防衛がこれまでどおりアメリカの抑止力に全面的に依存することは無理があると思います。日中間の尖閣諸島における小競り合いでも、アメリカは中国と争うことがアメリカの国益に合致しないと判断したときは、日本を守らないと思います。
独立国家は、自分の国を自分で守ることが必要です。日本は世界のGDPの10%近くを占める経済大国なのです。(略)
そのためには、いま自衛隊に欠けている攻撃力を整備する必要があります。それがやられたらやり返すという明確な意思表示であり、我が国に対する侵略を抑止するのです。
具体的には諸外国が持っている空母、戦略爆撃機、地対地ミサイル、艦対地ミサイルを持つべきです。
p167~
現在、日本の自衛隊は空母を持っていません。
なぜ持っていないのかと言えば、空母が攻撃のための戦闘機を運ぶものだからです。隣国が空母を持つというのに、日本にはないのですから、我が国がどれほど自衛隊に攻撃力を持たせたくないかわかろうというものでしょう。
四方を海で囲まれた日本にとって、いつでも攻撃に出る用意があるという姿勢をとるためには空母が重要不可欠です。
中国は、通常型の国産空母の建造に乗り出しています。つまり、中国は着実に「恫喝」の準備を進めているのです。
このまま指をくわえてみていれば、いずれ中国の空母が東シナ海に出ようとしたとき、日本は何の対抗措置もとれないということになります。
中国との軍事力のバランスをとるためには、日本も空母を3隻は持たなければならないと私は思います。アメリカの第7艦隊に配備された原子力空母ジョージ・ワシントンと同じクラスの10万トン級相当を想定して、3隻です。もちろん、艦載機も必要です。
ただし、アメリカ海軍のように遠海を巡回させる必要はありません。日本周辺に置いておけば、それだけで抑止力になります。
p168~
例えば尖閣諸島や南沙・西沙諸島といった、中国が太平洋に進出するために通過しなければならないルートに置けばいいわけです。その地域に空母が存在し、海と空を支配することが、中国に対する抑止になる。(略)
p169~
我が国が核武装を目指す場合、国内的な合意を取ることが相当に難しいし、また核武装国はこれを邪魔しようとするでしょう。(略)
日本の核アレルギーは相当なもので、核をアメリカに落とされたことも忘れてしまっているほどですが、1番の問題は、国民も政治家も核兵器がどういう兵器なのか、わかっていないということです。核兵器は先制攻撃に利用するものだと思われていますが、国際社会では「核兵器は防御の兵器」というのが常識です。
核兵器はその破壊力があまりにも強大であるために、核戦争に勝者はいません。核で先制攻撃したところで必ず報復されますから、これもまた負けに等しい。
ですから核は、「やれるならやってみろ、だけどやったら報復するぞ」と思わせておいて、実際は誰も使いはしないし、使わせもしないという“防御的”な兵器なのです。
また、核兵器は、これまでの通常兵器のように戦力の均衡というものを必要としません。通常兵器の場合は、相手国が100で自国が1というほどの戦力差をつけられていれば、たとえ1を持っていようとも何の抑止にもなりません。しかし、核の場合は、アメリカやロシアがそれを何千発保有していようが、インドや北朝鮮が数発持つだけで十分に抑止力になります。
日本の場合は、核武装について議論をするだけでも、核抑止力は向上します。外交交渉力も向上するのです。それだけでも、国際社会の中で日本の発言力は高まります。しかし、「核武装はしません」と公言した途端に、世界中から相手にされなくなるのです。(略)
アメリカもロシアも、自分たち以外の国に核武装をさせたくないのが本音です。NPTという枠組みで世界的に核軍縮を呼びかけていますが、あれはタテマエでしかありません。アメリカもロシアも「核を廃絶する方向に行くよ」と単なるジェスチャーをしているの過ぎないのです。
「私たちも核廃絶に向けて努力するのだから、いまから核武装しようとは考えないでください」ということで、本音は、「皆さんが核武装を考えなければ、私たち核保有国の優位は永遠に続きます」と言っているわけです。
そんな核保有国の意図もわからずに、日本の首相はそれにまともに乗っかってしまう。2009年9月、ニューヨークの国連本部で開かれた核軍縮・核不拡散に関する安全保障理事会の会合で、鳩山由紀夫首相(当時)は非核三原則を堅持すると改めて宣言しました。
鳩山さん本人は心の底から、そうすれば世界から尊敬されると思っているのだから重症です。当然ながら、世界中の国が、「馬鹿な首相もいるな」と思ったはずです。誰も言わないけれど、世界中の失笑を買ったのは明らかです。
あの場では、「日本は唯一の被爆国だからこそ、二度と核攻撃されないためにも核武装する権利がある」と言うべきでした。鳩山氏、ひいては日本の政治家は、「国際政治を動かしているのが核兵器だ」ということを全く理解していないのだから、呆れるばかりです。
===================================
尖閣衝突映像「今も秘密と思っていない」 元保安官語る
2011年2月12日 朝日新聞
沖縄・尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した映像を、ネットの動画投稿サイトに流出させた元海上保安官、一色正春氏(44)が朝日新聞社のインタビューに応じた。
――捜査が終わって起訴猶予となった。流出させて間違いなかったと今も思う?
秘密かどうかにこだわるのなら、あれは秘密ではない。秘密というのなら、ちゃんと起訴して公判で争えばいい。上の指示でそう判断したのだろうから検察を批判するわけではないが、むちゃくちゃな理屈だ。「秘密を破ったから悪かった。だけど罰するまでには至らない」という検察の垂れ流し情報だけを載せるのはフェアではない。
――映像は、巡視艇「うらなみ」の乗組員も見られるようになっていた。
だから、最初は秘密でもなんでもなかった。秘密になる理由も分からない。むしろ隠したことによるデメリットがあると思う。それを論じずに「秘密だから秘密」というのはいかがなものか。
――今後どのようなことをしたい?
何もまだ決めていない。思いつくまま生きているから。計画性がないから、こんな風になる。
――那覇地検が船長の釈放を判断する前後、どのように事件をみていた?
18日に出版する本(「何かのために sengoku38の告白」朝日新聞出版刊)の中に事細かに書いてある。
――ネットの拡散力をどう感じた?
やはり速い。速いし、そこに偏見とか主観が介在しない。それがテレビ局にできるかといったらできない。
――とは言え、米CNNには映像を送っている。
日本のマスコミが信用できないから、という消去法。この事件に対する報道を見ても、同じことをやろうとする人間がほかにいても、メディアに持っていくかというと持っていかないでしょう。
――同僚が偶然見つけた映像を見た?
まあ、そうですね。
――自分で得た情報でなく、偶然手に入った映像を流したことに罪悪感は?
自分で撮ったやつやないと流したらアカンちゅうことですか? それは考えない。
――尖閣警備に携わった経験はないと思うが、普段の仕事を通じて国境警備について思いを持つに至った?
仕事だから関心を持つのは当然。日本人だから国境のことに関心を持つのは当然。それをいつからどういうきっかけでとかは覚えていない。
――日本の国境に赴いたことは?
竹島(島根県)は「竹島哨戒」という警備の応援で、この目で見たことがある。近づいていったら韓国軍が来るが。あそこは日本なので国境というか分からないが。
――中国へは?
24年前に上海、20年ぐらい前に瀋陽と大連に。海保の前に勤めていた海運会社の仕事で。船を下りたところに小銃を持った兵士が立っている。そういうところは世界では珍しくない。湾岸戦争当時も機関銃を持った軍が守っていた。
――紛争地帯でどういう思いを?
仕事だから行くだけ。アルジェリアにはクーデターの3日後に行った。大丈夫かは行ってみて、目で見ないと分からない。
――そういう経験で尖閣問題の見方は変わる?
人の考えはよく分からないが、取締船に民間の漁船が意味もなくわざとぶつかってくる。それは特殊な経験がなくても異常さが分かるのでは。
――著書に「侵略を開始した中国」というくだりがある。中国が大きくなる危機感はどこで感じた?
いま言ったようなことが既成事実化して、それが罪に問われない。それが繰り返されると、日本の領土でも何でもなくなってしまう。主権を自ら放棄しているから。
――海保内で訴えるなど、公務員の身分を失わずに済む手段は考えなかった?
それは無理。私の頭では思いつかなかった。ましてや非公開は海保の決定ではない。もっと上の決定を変えられるのなら、逆に教えてほしい。
――仮に新聞があなたから入手して報じたら、今も身分はそのままでは?
それはない。ばれていなかったらいまも犯人捜しは続いているだろう。私も何カ月も周りの人間にうそをついて勤務できない。そこまでずぶとくはない。発覚するまでの3、4日でさえ心苦しかった。
――「sengoku38」というハンドルネームの意味は?
秘密です。想像して遊んでほしい。いろんな考えができるので。遊び心といったらちょっとあれだけど。
――保安官として尖閣周辺の警備をやってみたい?
実際にできることとできないことがある。行きたいか行きたくないかという単純な質問には答えられない。国境警備は1人でできる話ではない。国境警備だけが海上保安庁かというと違う。
==========================
もはやタレント!? 尖閣ビデオ流出の元海上保安官
日刊ゲンダイ2011年2月15日
講演でジョーク連発
この男はどこまで英雄気取りなのか。独断で「尖閣ビデオ」を流出させた「sengoku38」こと一色正春・元海上保安官(44)。14日、都内の日本外国特派員協会で、1時間半にわたり講演したのだ。
冒頭、笑顔を見せながら、「少し緊張しています。こういう席に立つのは(自分の)結婚式以来です」と挨拶し、笑いを誘った。会場には100人以上の外国人記者がいたせいか、一色はサービス満点だった。まず経歴紹介では――。
「30歳で海上保安庁に入りました。一貫して船に乗り、警備・救難業務に従事していました。仕事内容をあまり詳しく言うと、また国家公務員法違反に問われるので伏せておきます」
12月に海保を辞職し、家族で引っ越したことについては――。
「子供に関しては、引っ越したことでポケットモンスターというアニメが見られなくなって、三日三晩泣かれたことだけが、父親としてふがいなかったと思っています」
懲戒処分を受けたことを、笑いのネタにしているのだからどうしようもない。一連のマスコミ報道については――。
「最初は反論を考えたが、そのうちに面倒くさくなった。具体的に何があったのかは、この本を読んでいただければ分かります」
チャッカリ、近く出版される著書をPR。もう開いた口がふさがらない。また、流出させたことについて、一色は「いろいろ考えて国民のために行動した」「公開して良かった」などと改めて正当性を主張、また中国については「日本に侵略を開始したとも受け取れる行動をとり始めた」と述べた。会場には東京都知事の石原慎太郎も駆けつけ、「愛国的な行動に敬意と感謝を表す。退職したのは残念」とヨイショしてみせた。
軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が言う。
「海上保安官や自衛隊は、政府の指示には徹底して従う必要がある。対外関係では、微妙な駆け引きや大局的な判断が必要な場合も多いからです。勝手に個人の判断で動けば、国に大害を招くこともあり得ます。一部の人が、一色氏を英雄として扱うことで、後に続く者が出るのではないかと懸念しています」
そんな識者の声など、まるで耳にも入っていない元海上保安官。講演で記者から“政界進出の可能性”を聞かれると、「考えたこともありません。そういう話もありません」と否定してみせた。この言葉だけは冗談でないことを願う。
========================================
◆ 尖閣映像流出・一色正春元海上保安官、「創生日本」(会長安倍晋三元首相)主催の国会議員の集まりで講演 2011-02-10 |
◆ わずか数時間で日本は中国に占領されるぞ 2011-02-04
◆ 中国の漁業監視船、再び尖閣へ 中国は国内法で尖閣諸島や西沙・南沙諸島を中国領土だと主張 2011-01-28
◆ 新防衛大綱;「動的防衛力」へ/田母神俊雄著『田母神国軍』 2010-12-17
◆ 一色正春元保安官 尖閣ビデオ流出 2010-12-25
◆ 経済発展によるカネで軍拡を続ける中国 2010年度の国防予算は日本円で6兆292億円 2011-01-10
----------------------------------------
------------------------------------------
◇ 「九条守れば攻撃されず。攻撃すれば世界中から非難される」~世界の動向に疎い福島瑞穂氏の錯誤と無責任
...........