“小沢ガールズ”の熱い夏

2012-08-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

“小沢ガールズ”の熱い夏!剛腕の命運いかに
zakzak2012.08.15
 民主党時代に大量当選し、新党「国民の生活が第一」に移った女性議員、通称「小沢ガールズ」が選挙区での生き残りをかけ悪戦苦闘している。政権交代の追い風を受け脚光を浴びた平成21年の前回選挙とは打って変わって、逆風が吹いているからだ。「生活」代表の小沢一郎はお盆の地元活動の徹底を命じた。小沢仕込みの“どぶ板”戦術で国会に戻ってくることはできるのか。
 「行ってらっしゃい!」
 横浜市鶴見区のJR鶴見駅西口。8月6日、「生活」の衆院議員、岡本英子(47)は、通勤客に細い腕を懸命に振りながら笑顔で声をかけた。
 白のポロシャツ姿は、サラリーマンで混み合う駅前で人目を引くため。小沢の顔入りで「増税反対」と書いた黄色の真新しいビラを手渡していく。街頭活動の主眼はあくまで名前と顔を売り込むことにある。
 岡本は横浜市議4期の経験があるが、現在の神奈川3区(横浜市鶴見区、神奈川区)は当時の選挙地盤とは異なる。初当選した前回選挙は落下傘候補に近かった。
 6月の消費税増税法の衆院採決前後には小沢系の「広告塔」としてメディアへの露出が続いたが、それも一段落。地道な日常活動で顔を売っておかなければ、都市部の選挙では勝ち上がれないとの危機感がある。
 「なぜ小沢さんと一緒なのか」
 事務所には「生活」入りしたことを批判する声も届く。政治資金規正法違反事件の刑事被告人でもある小沢への風当たりは弱まっていない。
 岡本は、「今の民主党は本来の民主党ではない。本来の民主党を取り戻そうとする小沢氏に付いた」と理解を求める。ただ、民主党を支援する連合傘下の労働組合などと、いかにこれまでのような良好な関係を維持するかなど課題は多い。
 それでも岡本は「あの小沢さんの新党だからどう化けるかわからない期待があるみたいよ」と、「小沢ブランド」に期待を寄せる。
  × × ×
 元祖「小沢ガールズ」といわれる埼玉7区(川越、富士見、ふじみ野市)の小宮山泰子(47)は11日夜、地元の盆踊り大会に、あえてジャケット姿で現れた。浴衣姿の女性に取り囲まれたとき、遠目でも存在を分かってもらうためだ。
 小宮山の周りに集まってきた浴衣姿の女性有権者から受けたのは、想像を超える激励だった。
 「民主党を辞めてよかったわねえ。がんばって!」
 小宮山は民主党時代に衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた目玉政策が軒並み撤回・修正に追い込まれたことを振り返り、「『詐欺だ』『嘘つきだ』とさんざん罵倒された去年より反応がいい。増税は主婦層の反発が強い」と声を弾ませる。離党に悔いはない。
 とはいえ、前回のような追い風が期待できない以上、「どぶ板」を旨とする小沢流の実践しかない。
 岡本、小宮山と対照的なのは前回選挙で、公明党代表を打ち負かした東京12区(北区と足立区の一部)の青木愛(46)だ。夏祭りに積極的に顔を出した形跡は見あたらず、地元から「存在感がまるでない」との声が漏れる。
 8月上旬に北区で総会を開いた行政書士関係の団体の関係者によれば、事前の案内状を出したが、青木から出席の可否の返事は来なかった。会合前日に事務所に電話で問い合わせると急(きゅう)遽(きょ)、秘書の代理出席が決まったという。
 小沢と一緒のポスターは貼られているが、姿を見せない青木。事務所は産経新聞の取材に対し、業界団体からの招待状には「通常どおり対応している」と強調したものの、「日程は一切公開していない。取材にも応じかねる」と回答した。
 議席奪還に意欲を燃やす公明党陣営は困惑気味だ。都本部幹部はこうつぶやいた。
 「動きがさっぱり見えない。何もやっていないということはないだろうが…」
  × × × 
 「生活」は、民主党に比べ女性議員の占める割合が高い。民主党は衆参ともに女性は1割程度なのに対し、生活は衆院37人のうち9人と2割を超す。参院も12人のうち4人が女性だ。ガールズの浮沈が小沢の影響力を左右する側面がある。
 そんな小沢とたもとを分かち、民主党に残ったガールズもいる。長崎2区(長崎市の一部など)の福田衣里子(31)や、石川2区(小松市など)で落選し比例復活した田中美絵子(36)らだ。
 岡本らは政党支持率が低迷しジリ貧の民主党に見切りを付けたわけだが、「生活」にも展望があるわけではない。そもそも、ガールズが二手に分かれたこと自体、「剛腕」と呼ばれる小沢の力が先細りしていることを象徴している。(山本雄史、佐々木美恵)=敬称略


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