検察の迷走・漂流 田中森一元検事をきょう強制捜査へ

2008-04-07 | 社会

現金9000万円詐欺容疑
4月7日8時28分配信 産経新聞

 石油卸商社「石橋産業」をめぐる巨額手形詐欺事件で実刑判決が確定し、収監された元検事の田中森一受刑者(64)が弁護士時代の平成14年、刑事事件の依頼者から現金9000万円をだまし取った疑いが強まり、大阪地検特捜部は6日、詐欺容疑で田中受刑者に対する強制捜査に乗り出す方針を固めた。田中受刑者はすでに大阪拘置所(大阪市)に移監されており、特捜部は7日朝、本人の取り調べに着手する。
 関係者によると、田中受刑者は14年秋、福岡県警が貸金業規制法と出資法違反の容疑で捜査対象としていた福岡市内の金融業の男性(45)から弁護の依頼を受け、預かり金名目で9000万円をだまし取った疑いが持たれている。
 田中受刑者は男性に対し、大金を所持していることが県警に発覚すれば事件への関与を疑われると指摘、「捜査が終わるまで金を自分に預けておけば、あなたは起訴されない」との趣旨の説明をしたとされる。男性は立件されなかったが、県警の捜査が終結した後も返金されないとして18年に大阪地検に告訴した。
 一方で男性は16年8月、田中受刑者に9000万円の返還を求めて大阪地裁に提訴。同地裁は同年11月、「被害者の窮状に付け込んで現金をだまし取った」と指摘し、全額支払いを命じる判決が確定したが、田中受刑者はまだ支払っていない。
 田中受刑者は今年2月、石橋産業事件で最高裁から上告を棄却され、懲役3年の実刑が確定。東京高検が3月31日に収監していた。 

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田中森一元検事 群抜く捜査能力、退官後は「闇社会の守護神」に
4月7日8時32分配信 産経新聞

 自伝出版を機に、「時の人」となった元敏腕検事が、新たな詐欺容疑で強制捜査される見通しとなった。「和解に向けて動いている。逮捕はない」。田中森一受刑者(64)は今回の容疑について周囲にこう強弁していたという。バブルを謳歌した「闇社会の守護神」は再び、カネにまつわるトラブルで刑事責任を問われるのか。
 田中受刑者は昨年6月、検察や事件の内幕を描いた自伝『反転』(幻冬舎)を出版。ベストセラーとなって以来、次々と対談本を出版するなどメディアに頻繁に登場した。だがその評価はプラス、マイナスが相半ばする。
 田中受刑者は長崎県出身。岡山大在学中に司法試験に合格し、昭和46年に検事に任官。約5年在籍した大阪地検特捜部では、阪大ワープロ汚職事件(昭和59年)や福島医大汚職事件(60年)などを担当した。
 「取り調べや情報収集力は群を抜いていた。特捜検事と呼ぶにふさわしい人だった」。大阪時代の田中受刑者を知る関係者はいう。
 一方、61年から赴任した東京地検特捜部で上司だった石川達紘弁護士は「明るくて憎めない男だが、捜査でダーティーな人物とも接触していた。捜査側の情報の取り方として王道ではなかった」と、検事としての資質に疑問も投げかける。
 昭和63年に弁護士に転身した後は、自民党有力派閥の顧問弁護士や広域暴力団最高幹部の代理人に。元特捜検事の経験を生かして裏社会の「防波堤」となり、古巣が手掛ける経済・汚職事件の舞台裏で暗躍した。
 一方逮捕、起訴された石橋産業事件(平成12年)で保釈された後も金銭トラブルが絶えなかった。東京、大阪の両地裁で貸金返還訴訟を提起され、いずれも敗訴。「丼勘定で金には無頓着」。田中受刑者を知る関係者はそう語る。
 最近は社会奉仕的な活動に力を注ぎ、昨年には「田中森一塾」を立ち上げ、若者への支援を行う奨学財団設立のため50億円を集めようと奔走。石橋産業事件で実刑が確定し収監を控えた今年3月17日、都内で開いた出版祝賀会では、涙を流しながら「模範囚で早く出てきます。男を磨き、みなさんの役に立つ男になりたい」と話していた。

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 『正義の正体』(集英社インターナショナル)より

佐藤 これまで「戦後日本は治安維持法がないから、政治犯罪はない」と思っていたのがまったくの誤りだったということです。考えてみれば、政治犯罪というのはいつの時代にも、どの国にもあるものなんですよね。でも日本では、政治犯罪や治安犯罪という形で取り上げることができないから、経済事件に一度無理矢理転換するんですよ。田中さんの事件だって、実際は田中さんの存在が特捜にとって目障りだっただけだと思うんです。それでずっとチャンスを窺って、きれいな事件として形を作って田中さんをパクりたいと考えていた。それで最終的に許永中さん絡みで逮捕されただけだと思うんですよね。

田中 要するに漂流しはじめているというわけだ。検察自体、自分たちがどこに向かって動いているのか、どうすればいいのか、もうわからなくなってしまっているんだと思うよ。

田中 結局、それは今の検察や司法だけのことではなくて、今の日本全体に当てはまる話だと思うよ。自分がどこに向かって動いているか分からない。今回の事件(守屋前防衛事務次官事件)は、そういうことの象徴の気がするよ。

 


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