大阪ミナミ 2人殺害の通り魔事件 礒飛京三被告 無期確定へ 裁判員の死刑破棄5件目 最高裁 2019/12/2

2019-12-03 | 死刑/重刑/生命犯

大阪・心斎橋通り魔の無期確定へ 裁判員の死刑破棄5件目 最高裁
 産経新聞 2019.12.2 15:19  裁判員10年 考 
 大阪・心斎橋の路上で平成24年6月、通行人の男女2人を無差別に刺殺したとして殺人罪などに問われ、1審裁判員裁判の死刑判決が2審で破棄され無期懲役となった礒飛(いそひ)京三被告(44)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕(ひろし)裁判長)は2日、検察、弁護側双方の上告を棄却した。2審判決が確定する。裁判員裁判の死刑判決破棄事件5件全てが確定することになった。
 第1小法廷は、今回の事件について、場当たり的で衝動的な犯行だったことがうかがえると指摘。「無差別殺人遂行の意思が極めて強固だったとは認められず、生命軽視の度合いも甚だしく顕著だったとはいえない」とした。
 また、死刑が究極の刑罰であり、その適用は慎重に行わなければならないという観点と公平性の観点を踏まえ、犯情を総合的に評価した結果、死刑を回避した2審判決については「著しく正義に反すると認められない」と判断した。
 国民の日常感覚や常識を判決に反映させることを目的に導入された裁判員制度だが、死刑については、上級審で量刑の判断基準となっている「永山基準」や先例が重視され、計画性の低さなどを被告の有利な事情とみて、死刑が回避される傾向が顕著になっている。
 礒飛被告は公判で起訴内容を認め、「『刺せ』という声(幻聴)に従おうと思った」と動機を説明しており、争点は刑事責任能力の程度と量刑だった。
1審大阪地裁は、礒飛被告は犯行当時、覚醒剤使用の後遺症による幻聴があったと認めながらも、犯行への影響は限定的で完全責任能力があったと判断。「死刑を回避する事情は見いだせず、生命をもって罪を償わせるほかない」として求刑通り死刑を選択した。
 これに対し、2審大阪高裁は、凶器を購入したのが犯行直前だったことなどから「犯行の計画性は低く、精神障害の影響も否定できない」と判断。幻聴の影響に加え、計画性の低さを重視し「死刑が究極の刑罰で真にやむを得ない場合に限って許されるという基本原則を適用すると、死刑の選択は躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ない」として、1審の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡していた。
 判決によると、礒飛被告は24年6月10日午後1時ごろ、大阪市中央区東心斎橋の路上で、音楽プロデューサーの南野信吾さん=当時(42)=を包丁で刺して殺害。近くにいた飲食店経営、佐々木トシさん=同(66)=も刺殺した。

  ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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大阪 ミナミ 2人殺害の通り魔事件 無期懲役確定へ 最高裁
 NHK NEWS WEB 2019年12月2日 16時41分
 7年前、大阪 ミナミの繁華街で2人が殺害された通り魔事件で、1審の裁判員裁判で死刑が言い渡されたあと、2審で無期懲役となった被告に対し、最高裁判所は2審に続いて無期懲役を言い渡し、判決が確定することになりました。
 住所不定 無職の礒飛京三被告(44)は平成24年、大阪 心斎橋の繁華街で、当時42歳の男性と66歳の女性を包丁で刺し、殺害した罪に問われました。
 裁判員裁判で審理された1審が死刑を言い渡したのに対し、2審は「計画性が低く、覚醒剤中毒の後遺症による幻聴の影響がある」として死刑を取り消し、無期懲役としていました。
 2日の判決で最高裁判所第1小法廷の小池裕裁判長は「幻聴が一因になったことは考慮すべき要素だ。また場当たり的で衝動的な犯行だったことがうかがわれる」と指摘しました。
 そのうえで「被害者2人の無差別殺人で、刑事責任は誠に重大だが、死刑が究極の刑罰で、慎重に適用しなければならないことや、公平性の観点を踏まえると無期懲役が甚だしく不当とは言えない」として2審に続いて無期懲役を言い渡し、判決が確定することになりました。
裁判員裁判による死刑判決を2審が取り消したケースでは、最高裁はいずれも2審の判断を維持していて、今回が5件目です。

被害者の妻「2人の命を軽視する判決」
 判決のあと、被害者の1人でイベント会社のプロデューサーだった南野信吾さん(当時42)の妻の有紀さん(49)と14歳の長女が会見しました。
 有紀さんは「命の重さが平等であるならば、何の落ち度も無い2人の命を奪った被告は2度死ななくてはならないと思います。夫は被告に生きる権利を奪われたのに、裁判所はなぜ、みずからの意思で覚醒剤を使用して罪を重ねた被告をかばい、2人の命を軽視するのでしょうか」と訴えました。
 また14歳の長女は「今までずっとがんばってきたお母さんや妹たち、お父さんの友達の努力や、1審の時にがんばってくれた裁判員の人たちの気持ちがむだになってしまいました。私たちが大人になった時に同じことが繰り返されないために裁判員制度の意味をもう一度考えてほしい」と話していました。

 ◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です


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