中国、麻薬密輸邦人の死刑執行へ 首相「大変残念」

2010-03-31 | 死刑/重刑(国際)

中国での麻薬密輸邦人の死刑「大変残念」 首相
産経ニュース2010.3.30 18:39
 鳩山由紀夫首相は30日夕、首相官邸で記者団に対し、麻薬密輸罪で死刑判決が確定している日本人男性の死刑執行を中国当局が通告してきたことについて、「中国当局に対して以前から関心を表明してきた。大変残念だ」と述べた。平野博文官房長官も同日の記者会見で、「(日本)国民の感情をかんがみるとあまりいい影響が出ない。そのことの懸念を表明する」と述べた。
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中国、麻薬密輸邦人の死刑執行へ 国際世論より国内事情優先
産経ニュース2010.3.30 23:09
【北京=伊藤正】中国が赤野光信死刑囚への刑執行を決めた。昨年12月の英国人死刑囚への執行では、中英間の外交問題になり、国際世論の反発も買ったが、中国政府は、外国人による密輸事件を含め麻薬犯罪が急増している状況に、強い姿勢を示す必要があったとみられる。
 中国では死刑執行は最高人民法院(最高裁)の承認を経て行われるが、対外関係に影響する外国人の処刑は、法院を指導する中国共産党中央の決定にほかならず、慎重な判断をした結果とみてよい。
 昨年処刑された英国人は、ヘロイン約4キロ、赤野死刑囚は覚醒剤約2・5キロの密輸で起訴され、有罪になった。中国人であれば、死刑確定後、直ちに執行されていたはずだ。赤野死刑囚の場合、確定から1年が経過していた。
 昨年、自国民への刑執行を通告を受けた英政府は、10回にわたり死刑囚の精神障害などを挙げ中国側と助命交渉をしたが、中国側は国内法を盾に拒否。欧州連合(EU)も反発したが、中国は意に介さなかった。
 こうした中国の強硬姿勢には、大国化により国際世論を軽視する傲慢(ごうまん)さが欧米では指摘された。その面は確かにあるが、より大きな要素は、中国国内で麻薬犯罪が急増し、その対策に厳罰で臨んでいる事情がある。
 中国統計年鑑によると、2008年に摘発された麻薬犯罪は約27万件に上るが、これは氷山の一角といわれている。この中には外国人が絡んだ密輸事件も数多く、麻薬密輸で逮捕される外国人は年間平均数十人から百人超と中国メディアは伝えている。
 摘発された外国人の国籍は十数カ国に及ぶが、その中で中国当局は、日中の犯罪組織がからんだ日本人の運び屋の摘発に力を入れてきた。赤野死刑囚だけでなく死刑判決が確定している他の3邦人も組織的な運び屋グループとされている。
 大量の麻薬の密輸で死刑判決を受けながら、外国人の刑執行がないことを中国のネット世論は強く批判してきた。例えば、昨年の英国人の処刑については、あるサイトのアンケートに97%が支持を表明した。
 赤野死刑囚の執行通告に日本政府が助命を要請しても、中国が応じる可能性はほぼない。しかし、中国の決定に沈黙していれば、残る3邦人の死刑も相次いで執行される公算が大きい。それは、国際社会から批判されている中国の「死刑乱発」を黙認することにもなる。

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