《座間9人殺害》 白石隆浩被告が獄中で明かした「女性を集めるのに“自殺”ではなく“さみしい”“疲れた”で検索した」#2

2020-11-02 | 死刑/重刑/生命犯

《座間9人殺害》白石被告が獄中で明かした「女性を集めるのに“自殺”ではなく“さみしい”“疲れた”で検索した」
 #2 小野 一光 
genre : ニュース, 社会 
 9月30日に、東京地裁立川支部で初公判が開かれ、現在も裁判が続いている「座間9人連続殺害事件」。白石隆浩被告が強盗・強制性交殺人罪などに問われている。
 2017年8月からの約2カ月間に、SNSで自殺に関する投稿をした当時15~26歳の男女9人を誘い出して殺害し、自宅で遺体を解体。遺体の大部分は遺棄されていたが、頭部などは自宅のクーラーボックスから発見された。この世間を震撼させた凶悪事件の加害者である白石被告は一体どんな人物で、如何にして犯行に及んだのか――。
 ノンフィクションライターの小野一光氏は、立川拘置所(東京都立川市)で白石被告と11回にわたって面会し、その対面記録を「週刊実話」(日本ジャーナル出版)に連載している。本記事では同誌2020年9月24日号に掲載された連載第6回から転載する。
 ※本稿にはショッキングな表現が多出します。ご注意下さい。

拘置所から”獄中結婚相手募集”
「記事、先週金曜日に読みました。それで、こんなことなら言っとけばよかったってことがあって…」
 白石隆浩との面会6回目の8月3日、彼は小誌に掲載された、この連載の第1回目を初めて読んだことを口にした。私としては反応が気になるところだが、そこで彼が切り出したのは、予想もしない言葉だった。
「これ、持ち込み企画なんですけど、僕の“獄中結婚相手募集”って出してもらえないですかねえ。せっかくああいう記事が出るんなら、誰かいい人が見つけられたらと思って…」
 聞けば、以前は手紙を送ってきたり、差し入れをしてくる女性が何人かいたそうだが、女性週刊誌に記事が出て以来、ぱたりと止んだのだそうだ。私は聞く。
「獄中結婚を考えるのは、(死刑の)確定後のことを考えて?」
「そうですね。死刑が確定すると、家族以外の誰にも会えなくなるじゃないですか。だから、誰かと結婚してたほうがいいかなって…」
 この記事は時系列で出すため、タイムラグが生じることを彼に伝えた。そのうえで今回の掲載に至る。
 続いて私は、前回の話題で出た、彼のスカウト時代の生活について質問した。
「スカウトを始めるとき、それまでの座間市のアパートを引き払って、東池袋にある家賃8万円のマンションに引っ越しました。8階建ての6階で、8畳に風呂トイレ別の部屋です」
 前のアパートの家賃が2万1000円だと聞いていた私は、「8万円って高くない?」と尋ねる。
「サラリーマン時代の貯金もあったんで…。でも、結果オーライでしたね。女の子を部屋に連れ込むと、みんな『いい部屋』って言ってましたから」
「スカウトの仕事はどうやって覚えたの?」
「最初のスカウト会社で全部教わりました。まず、女の子と知り合って、(風俗の)仕事をさせるまでのLINEのやり取りを見せてもらって、マネをするんです」

新宿でのスカウトは「ボロい商売」
 そこにはいくつかのコツがあるそうだ。
「基本的には、相手の要望にはすべて応えるようにするんです。『(1日)5万円稼ぎたい』や『個室待機がいい』とか言ってくるんで、会社にある(風俗店の)リストと照らし合わせて、合う店に紹介したり、女の子の顔とかスタイルがいいと、『こういう子なんでお願いできませんか』って、店との交渉もしてました」
 とはいえ、最初のうちはうまくいかず、成果が出せないことから5カ月でクビになり、別のスカウト会社に転職している。そこは社内での事務仕事もあり、女の子をスカウトできなくても固定給が入ったという。
「基本給が20万円で、あとは歩合です。女の子の稼ぎの15%と、それから顧問料として、女の子が店に1日出勤したら5000円が支払われていました。ボロい商売ですよね。考えられないですよ」
 だが白石は、そんなに仕事ができるほうではなかったと自ら語る。
「もう全然ダメでしたね。一番稼いで月に30万円くらいですから。まず僕にやる気がなかった。女の子を口説くのが上手くなかったし、外見がイケてないし…」
「いやでも、そんなことはないんじゃない?」
「いやあ所詮、座間や横浜と、新宿のレベルの違いですよ。新宿はホストやってますみたいな、見た目のイケメンがいっぱいいて、あんなんに勝てないですよ」
 そう謙遜するが、スカウトの仕事自体は気に入っていたようだ。
「基本給が出て、すごいイイ仕事だと思ってました。スカウトって、極端な話、ソファで寝転がって、女の子と連絡取れればいいんですから。楽して儲かる仕事ということですよ」
「でも、(職業安定法違反容疑で)逮捕という代償を負ったでしょ?」
「あーーっ…」
 そう唸った白石は、残念そうな顔をして続ける。
「あのときに捕まったのが大きかったですね。捕まってないと、犯罪とかせずにスカウトやってたし…」
 逮捕されて裁判で執行猶予が付いたことで、自分の生活が変わったのだと語る。
「執行猶予中だからスカウトの仕事に戻れなくて、だけど、まともに働こうという気にまったくなれなくて、窃盗とか詐欺とかの悪いことをして稼ごうと思ったんですけど、やり方が思いつかなかったんですよね。それで、ヒモになるくらいしか思いつかなかったから、SNSで女性を探して、食わせてもらおうと…」

「被害者は"自殺"で募集したんじゃない」
 そこで白石は思いもしないことを言った。
「外(世間)では、僕が被害者を“自殺”で募集したとあるけど、事実じゃないんですよね。具体的には“死にたい”や“さみしい”“疲れた”で検索したんです。そういう精神的に弱ってる子だと口説けるって、安易な考えだったんです」
 さらに彼は続ける。
「それで2人目の子と知り合って、貯金があるとわかって、殺しちゃったんです」
「ちょっと待って。じゃあ1人目の子って?」
「SNSで知り合ったんですけど、当時32歳のマッサージ師の子です。この女性は8月頭から10月半ばまで付き合ってました。彼女は殺してないですね」
 8月頭から10月半ばといえば、まさに白石が殺人に手を染め、7人目(起訴状の殺害日は9月30日頃)か8人目(同10月18日頃)の被害者に手をかけていた時期に被っている。
 この“新情報”を聞いたところで、残念ながら面会時間のリミットが訪れた。

 ◎上記事は[文春オンライン]からの転載・引用です


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