新日鉄・住金:合併

2011-02-03 | 社会

新日鉄・住金:合併で競争力強化 新興国需要に対応
 国内鉄鋼業界1位の新日本製鉄と3位の住友金属工業は3日、12年10月1日をめどに合併する検討に入ったと発表した。「日本企業の国際競争力強化のために戦略的な再編は積極的に行うべきだ」「日本の各業界における企業数は多すぎる。日本経済にとって再編は必要だ」--。
 3日夕、首相官邸で枝野幸男官房長官に合併の検討入りを報告した新日鉄の三村明夫会長と住金の下妻博会長は、記者団の取材に応じ、合併の狙いが競争力強化であることを強調した。
 新日鉄と住金が合併する方針を固めたのは、中国やインドなど新興国で鉄鋼需要が急拡大する中、アルセロール・ミタルなど海外の巨大メーカーと互角に競争できる態勢づくりを急ぐためだ。
 新日鉄は1970年代から約30年間、世界トップクラスの鉄鋼メーカーとして君臨していた。しかし世界の鉄鋼市場はここ数年ミタルが誕生したほか、中国企業が台頭するなど急激に変化して新日鉄の地位は低下。世界規模で合従連衡が進み、住金ともども買収対象になりかねない状況に置かれていた。
 主要な顧客である自動車や電機、建設業界などの経営環境も激変した。
 需要不足で国内市場が低迷したため、成長著しい新興国の需要を取り込むため海外進出を加速。鉄鋼メーカーとしても膨らむ一方の海外需要に応える必要性が高まった。
 また鉄鉱石などの原材料調達でもここ数年、「資源メジャー」と呼ばれる国際資本が台頭して資源市場の寡占化が進み、価格上昇が目立っている。価格交渉で日本の鉄鋼メーカーは「完全に足元を見られている」(鉄鋼関係者)状態だった。
 「経営環境は劇的に変化しており、両社の関係を強化する必要があるとの認識に至った」。3日の記者会見で、新日鉄の宗岡社長は強調した。両社の合併で世界規模の再編に一段と拍車がかかる可能性も高く、両社は合併計画をいかに迅速に実現に移すことができるかが課題となる。【宮崎泰宏】
毎日新聞 2011年2月3日 22時14分


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