【安保新時代】(上) 安倍晋三首相「ようやくここまで来た」

2015-09-19 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

 産経ニュース 2015.9.19 09:34更新
【安保新時代】(上)首相「ようやくここまで来た」
 「明日までには終わるね」
 18日午前の閣議前、安倍晋三首相は官邸閣僚応接室で、隣に座る甘利明経済財政担当相に笑顔で語りかけた。集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法案の採決を目前に、首相の表情には活力がみなぎっていた。
 権利は保有はするものの憲法上認められないとされてきた集団的自衛権の行使を可能にすることは、首相のライフワークの柱の一つだ。第1次政権では平成19年5月に有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」を設置。集団的自衛権の行使容認に向け検討を進めたが、自身の退陣により頓挫していた。
 「首相は何のために一度辞め、罵声や揶揄中傷を浴びながらも再起を目指したか。やり残したことがあったからだ」
 周囲は振り返る。そうして臨んだ3年前の24年9月の自民党総裁選。首相は出馬会見で「現在、私たちの美しい海や領土が侵されようとしている。日本の領土、領海、何より日本人の命は断固として守る」と表明し、公約に「集団的自衛権の行使を可能に」と掲げて党員の支持を集めた。
 ただ、24年12月の第2次政権発足後も、首相は拙速に事を進めようとはしなかった。
 安保政策は国の主権に関わる最重要課題だが、一般の国民には分かりづらく人気がない。「まずは国民生活に密着する経済の再生」と見定め、大胆な金融緩和など「アベノミクス」を推進し、政権基盤が安定したところで集団的自衛権の問題に着手するシナリオを作成した。
 「国政選挙のない27年の通常国会で安保関連法案を成立させるのは第2次政権発足時から決まっていた」
 首相周辺は政権の方針をこう打ち明ける。
 集団的自衛権の行使容認に向けては、25年2月に安保法制懇を再び設置。自民、公明両党の与党協議も同時並行で進め、慎重に政策決定プロセスを踏んだ。
 安保法制の見直し自体に対する国民の支持は、多数を占めており、首相も時間をかければ集団的自衛権の行使容認について国民の理解は得られると考えていた。
 だが、一部メディアの反対キャンペーンが、予想以上に世論へ浸透する。安保関連法案を「戦争法案」とレッテル貼りし、「徴兵制が復活」「戦争に巻き込まれる」と不安をあおった。報道各社の世論調査で「今国会で安保関連法案を成立させるべきだ」との意見は最後まで広がらなかった。
 ただ、24年12月の第2次政権発足後も、首相は拙速に事を進めようとはしなかった。
 安保政策は国の主権に関わる最重要課題だが、一般の国民には分かりづらく人気がない。「まずは国民生活に密着する経済の再生」と見定め、大胆な金融緩和など「アベノミクス」を推進し、政権基盤が安定したところで集団的自衛権の問題に着手するシナリオを作成した。
 「国政選挙のない27年の通常国会で安保関連法案を成立させるのは第2次政権発足時から決まっていた」
 首相周辺は政権の方針をこう打ち明ける。
 集団的自衛権の行使容認に向けては、25年2月に安保法制懇を再び設置。自民、公明両党の与党協議も同時並行で進め、慎重に政策決定プロセスを踏んだ。
 安保法制の見直し自体に対する国民の支持は、多数を占めており、首相も時間をかければ集団的自衛権の行使容認について国民の理解は得られると考えていた。
 だが、一部メディアの反対キャンペーンが、予想以上に世論へ浸透する。安保関連法案を「戦争法案」とレッテル貼りし、「徴兵制が復活」「戦争に巻き込まれる」と不安をあおった。報道各社の世論調査で「今国会で安保関連法案を成立させるべきだ」との意見は最後まで広がらなかった。
 衆院本会議でも18日午後、野党5党が共同提出した安倍晋三内閣不信任決議案の趣旨説明で、民主党の枝野幸男幹事長は1時間44分にわたり、「安倍晋三首相は多くの国民が反対しているにもかかわらず、違憲法案を採決した。ブレーキをかけることができない暴走状態だ」などと訴えた。
 このとき維新の党で拍手を送ったのは野党再編に前向きな議員が中心だった。松野頼久代表らが目指す野党再編を成就させるには安保政策の一致が不可欠なだけに、今回の野党共闘をきっかけに再編を推進させたいとの思いがにじんだ。
 しかし、維新の党が国会提出した対案は集団的自衛権の行使容認とも受け取られている。一方、民主党の岡田克也代表は安倍首相との党首討論で「集団的自衛権はいらない」と断言している。にわかに実現した野党共闘が将来的な野党再編に結びつく保証はない。
 さらに、維新の党では今回の共闘が民主党との連携に慎重な大阪系議員と松野氏らとの温度差も広げた。大阪系議員は、大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長が10月にも結成する新党への参加が確実視され、成立後に党分裂への動きが本格化することは間違いない。今回、一枚岩になって成立阻止に動いたのは、安保関連法案の与党との修正協議が不調に終わったという結果論にすぎない。
 大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は18日、大阪系議員が不信任決議案の提出に同調したことについて、こう言い切った。
 「最後までルールを守って新たな出発をすべきだ。立つ鳥跡を濁さずだ」
*「ポスト安倍」号砲
 一方、自民党では安保関連法の成立が「ポスト安倍」レースの号砲となりそうだ。
 「次の総裁選に向け、環境を整えたい」。石破茂地方創生担当相は今月8日、党内グループ「無派閥連絡会」の幹部を前にこう述べ、派閥結成を表明した。昨年9月、安全保障法制担当相への就任を拒絶し、首相との間に残ったしこりも安保関連法成立でノーサイドとなると踏んだようだ。次期総裁選をにらんで党内の基盤固めに乗り出す。
 岸田文雄外相(岸田派会長)も動き出している。外交・安保の要として首相を支えてきた岸田氏もこれで一区切りとなる。先の総裁選でギクシャクした同派名誉会長の古賀誠元幹事長との関係を改善し、派内の足場を固める考えだ。
 安保関連法案をめぐっては自公両党の連立関係に緊張が走る場面もあった。
 「平和の党」として集団的自衛権の行使に否定的だった公明党が容認にかじを切る上で、武力行使を国の存立に関わる自衛措置に限定する新要件を設定。憲法9条の政府解釈との整合性維持に腐心しながら支持母体の創価学会を説得した。
 だが、衆院憲法審査会で自民党推薦の憲法学者が安保関連法案を「違憲」と指摘。礒崎陽輔首相補佐官の「法的安定性は関係ない」との発言も飛び出した。公明党の怒りは頂点に達し、今後の政権運営に微妙な影を落としている。
 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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祝! 安保関連法成立 2015.9.19.未明…集団的自衛権、限定行使可能に 安倍首相「戦争を未然に防ぐため」 
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安保法制論議…政治を語る際に避けなければならないのは、宗教家や法律家の発想を持ち込むこと 櫻田淳  
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『約束の日 安倍晋三試論』小川榮太郎著 幻冬舎文庫 平成25年7月20日 初版発行 
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