インターネット・ツールが革命を起こした/チュニジア青年ブアジジさんの死には、ちゃんと名前がある

2011-02-20 | 国際
中日春秋
2011年2月19日
 その死には、ちゃんと名前がある。モハメド・ブアジジ。野菜売りをしていた二十六歳のチュニジア青年▼亡くなったのは昨年十二月十七日。故郷の街の路上で無許可で商売をしていて、女性警官に野菜や秤(はかり)を没収された揚げ句、平手打ちされる。彼は悲憤慷慨(ひふんこうがい)、抗議に行った県庁前で、焼身自殺を遂げる▼これが引き金となって、民衆は怒りを爆発。腐敗した独裁体制への抗議デモは、ついに大統領を放逐し「ジャスミン革命」が成る。それが刺激となり、次にはエジプトで民衆が大統領を退陣へ追い込む。さらにはバーレーン、リビアなどへ「革命」気運は広がっている▼その行動が何に火をつけることになるのか。我が身に火を放った時、ブアジジさん自身も、それを知らなかっただろう。でも今、中東を覆う民衆の怒りの炎は確かに、このたった一人の死が点火した▼ある日は死者数二十五人、翌日は十八人、その翌日は三十三人…。戦争や紛争で、例えばそんなふうに、人の死が「誰」でなく、一括(くく)りの「数」として積み重なっていくことも少なくない地域だ。ブアジジさんの死は、そんな「数としての死」への否(いな)、のようにも思える▼その死には、ちゃんと名前がある。祖国には、既に「ブアジジ通り」ができた。チュニジアと関係の深いフランスのパリ市も、その名を冠する通りや広場を市内につくるという。
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ネットが革命を起こした~アラブ・若者たちの攻防~
011年2月20日(日) 午後9時00分~9時49分 NHKスペシャル
 エジプトやチュニジアで相次いだ長期政権の崩壊。大きな役割を果たしたのが“フェイスブック”や“ツイッター”など、新たなインターネット・ツールを駆使して言論統制の壁を破った若者たちだ。弾圧によって押さえつけられた民衆の怒りは、ネットでどのように増幅し、それを潰そうとした政権に対して若者たちはどう闘ったのか。初めて語る中核メンバーや政府関係者への取材を通して政権崩壊までの知られざる攻防に迫る。
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〈来栖の独白〉
 小沢一郎氏のネット出演や尖閣ビデオ流出、ウィキリークス等、ネット時代の到来は、私自身この書斎にいて直接に感じ、歓迎していた。
 が、チュニジアやエジプトなど中東に於ける「革命」は、ファイスブックやツイッターの威力を更に知らしめた。時代の大きな変化を痛感させられた。国による情報の隠蔽・言論封殺、巨大メディアによる情報の歪曲は、もはや許されない。

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