全面可視:小沢ネット会見、13万人が視聴/ 演説「私には夢があります」2010/9/15記事再録

2010-11-05 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

〈来栖の独白〉
 折に触れ思い起こす演説がある。折りに触れというより、小沢一郎氏の名前に接するたびに必ずといって思い起こす。「私には夢がある」という演説である。小沢さんは、衆院選初出馬の頃から、官僚政治の打破を主張してきたという。あの田中角栄氏ですら手を出せなかった検察庁人事、それを政治家の手に戻そうとした。それら理念、政策は、遠い歳月を経て変わっていない。これが、霞が関を根底から揺らがせ、メディアが走狗となって、小沢粛清へ向かわせた。政権交代も、菅・仙谷形骸内閣となった。
 しかし、ここにきて、私は一筋の光明をみる。時代は変わろうとしている。かくも力を誇ったメディアであるが、早晩ネットに取って代わられるだろう。そのことをはっきりした形で見せてくれたのが、小沢氏によるネット会見だった。小沢氏は言う。ネット上なら「多くの人にオープンで、意見も反論もできる」と。ただ一つ、憂慮する。小沢氏の年齢である。ネットの時代が、もう2、3年でも早くにやってきてほしかった・・・。
 憲法13条に根ざした、小沢さんの清清しい演説をいま一度思い起こしたい。「政局の人」どころではない。一貫して「政策の人」「理念の人」であることを再認識させる。
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代表選(民主党大会)での小沢一郎氏の演説(前段省略)

 さて、今回の立候補にあたっては、今日の危機的な政治経済事情の中で、果たして自分にその資質があるだろうか、政治の最高責任者として国民の生活を守るというその責任を果たすことができるだろうか、と本当に悩み、自問自答いたしました。それにもかかわらず立候補を決意をしたのは、今、政治を変えなければもう間に合わないという、私の切実な思いを正々堂々、世に問いかけたかったからであります。
 思い起こせば、私は27歳で衆議院議員に初めて立候補した際、選挙公報にこうつづりました。「このままでは日本の行く末は暗澹たるものになる。こうした弊害をなくすため、まず官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さなければならない」と。意志なき政治の行き着く先には国の滅亡しかありません。日本は敗戦を経て本質は変わっていないのではないか。若かりしころの、感じたその思いは初当選以来、いまなお変わっておりません。
 今日、わが国はデフレによる経済の収縮、少子高齢化の既存の社会制度のギャップによる不安など、経済も社会も危機的な状況に陥っております。
 世界で最も層が厚かった中間所得層が解体され、ごく少数の富裕層と数多くの低所得層への分化が急速に進んでおります。日本が誇った社会保障制度も崩れつつある中、2年後には団塊の世代が年金受給者となる日を迎えます。
 今、日本は、最も大事にされなければならないお年寄りがいなくなっても誰も気づかず、また、就職できない多くの若者が絶望感にさいなまされ、若い親が育児を放棄しわが子を虐待する。もはや高度成長がいろいろな問題を覆い隠してくれた時期はとうに過ぎ去って、社会の仕組みそのものが壊れています。そしてまた、日本人の精神風土も興廃し始めていると思います。
 今、ここで政治を見直し、行政を見直し、国のあり方を見直さなければ、もう日本を立て直すことができないのではないかと思います。多くの国民の皆さんも同じように感じていたのだと思います。昨年、われわれ民主党に一縷の思いを託し、政権交代を実現させていただきました。しかしもう1年が過ぎ、残された任期はあと3年であります。
 私たちは今、直ちにこの3年間を国の集中治療期間と位置づけ、徹底した改革を断行し、実行していかなければなりません。しかしその改革は明治維新以来140年続く官僚主導の政治を、根っこから国民主導、政治主導に変えなければとても成し遂げられるものではありません。私の頭の中を占めているのはその思いなのであります。
 しかし、私は官僚無用論を言っているわけではありません。日本の官僚機構は世界に冠たる人材の集まっているところであると考えております。問題は政治家がその官僚をスタッフとして使いこなし、政治家が自分の責任で政策の決定と執行の責任を負えるかどうかということであります。
 私は40代でたまたま国務大臣、自民党幹事長に就任するという機会があり、国家はどう運営されているのか、その実態を権力の中枢でつぶさに見続けて参りました。そこで見た官僚主導の、例えば予算作りでは、各省のシェアが十年一日のごとくほとんど変わることがありませんでした。官僚組織というのはそういうものであります。
 その中で私は、自民党の中にいながらこの改革は無理であることを骨身に染みて分かりました。だからこそ、政権与党である自民党を飛び出して、真にしがらみのない政党を作り、政権を変えるしかないという決意をもってこの17年間、政治活動を続けて参りました。
 改めて申しあげます。昨年、政権交代が実現したのは、こんな日本を何とか変えてくれ、という国民の悲痛なまでの叫びからだったはずであります。この声に応えようと、菅総理大臣始め閣僚の皆さんが一生懸命に取り組んでおられることを否定をするものではありません。
 しかし、政治と行政の無駄を徹底的に省き、そこから絞り出した財源を国民の生活に返すという、去年の衆院選挙マニフェストの理念はだんだん隅においやられつつあるのではないでしょうか。実際に来年度の予算編成は、概算要求で一律10%カット。これではこれまでの自民党中心の政権と変わりません。財政規律を重視するという、そういうことは大事なことではありますけれども、要は官僚の抵抗で無駄を削減できず、結局マニフェストを転換して国民に負担をお願いするだけではないでしょうか。これでは本当の意味で国民の生活は変わりません。
 私には夢があります。役所が企画した、まるで金太郎あめのような町ではなく、地域の特色にあった町作りの中で、お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人たちが集う都市が調和を保ち、どこでも一家だんらんの姿が見られる日本。その一方で個人個人が自らの意見を持ち、諸外国とも堂々と渡り合う自立した国家日本。そのような日本に作り直したいというのが、私の夢であります。
 日本人は千年以上前から共生の知恵として、和の文化を築きました。われわれには共生の理念と政策を世界に発信できる能力と資格が十分にあります。誰にもチャンスとぬくもりがある、豊かな日本を作るために、自立した国民から選ばれた自立した政治家が自らの見識と自らの責任で政策を決定し実行に移さなければなりません。
 そして、霞ヶ関で集中している権限と財源を地方に解き放ち、国民の手に取り戻さなければなりません。そのため、国のひも付き補助金を順次すべて地方への一括交付金に改めます。これにより、地方では自主的な町作りやインフラ整備が可能になります。国、地方を通じた大きな節約効果と、そして地域経済の活性化が期待できます。また、地域での雇用が生み出され、若者がふるさとに帰り、仕事に就くこともできるようになります。
 国民の皆さんにご負担をお願いするのは、ここにいる皆さんがありとあらゆる知恵を絞って、できることすべてに取り組んでからでいいはずであります。そしてそれが、昨年の総選挙で民主党と国民との約束でなかったでしょうか。
 衆議院の解散総選挙はこうした改革に与えられた任期を費やして、その結果を出してからのことであります。官僚支配の140年のうち、40年間、私は衆院議員として戦い抜いてきました。そしてようやく官僚機構と対立できる政権の誕生にかかわることができました。われわれは国民の生活が第一の政治の幕開けにやっとこぎつけたのであります。
 官僚依存の政治に逆戻りさせるわけにはいきません。それはとりもなおさず、政治の歴史を20世紀に後戻りさせることになるからであります。私は代表になってもできないことはできないと正直に言うつもりであります。しかし、約束したことは必ず守ります。
 こう断言できるのは官僚の壁を突破して、国民の生活が第一の政治を実行するのは、最後は政治家の志であり、改革のきずなで結ばれている皆さんとなら、長い時代の壁を突破できると信じるからであります。そして私自身は、民主党の代表すなわち国の最終責任者として、すべての責任を取る覚悟があります。
 今回の選挙の結果は私にはわかりません。皆さんにこうして訴えるのも、私にとっては最後の機会になるかもしれません。従って最後にもう一つだけ付け加えさせてください。
 明治維新の偉業を達成するまでに多くの志を持った人たちの命が失われました。また、わが民主党においても、昨年の政権交代をみることなく、志半ばで亡くなった同志もおります。このことに思いをはせるとき、私は自らの政治生命の総決算として最後のご奉公をする決意であります。そして同志の皆さんとともに、日本を官僚の国から国民の国へ立て直し、次の世代に松明を引き継ぎたいと思います。
 そのために私は政治生命はおろか、自らの一命をかけて全力で頑張る決意であります。皆さんのご指示、ご理解をお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。
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憲法第13条
 「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」

追記2011/02/20Sun.
 なつこさんのステキなイラスト、使用させて戴きました。
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小沢一郎 ネット会見の狙い
「日刊ゲンダイ」 2010年11月4日 掲載
なぜ、このタイミング?
●菅政権をバッサリ
 民主党の小沢一郎元代表が3日、インターネットサイト「ニコニコ動画」の生中継に登場し、1時間半にわたって視聴者からの質問に答えた。ネット番組に出演した理由を「多くの人にオープンで、意見も反論もできる」と語った小沢。その背景には「新聞テレビは正確に報じない」という痛烈な皮肉がある。コケにされた大マスコミはいいツラの皮だったが、それよりも何よりも痛快だったのが、迷走する菅政権への苦言だ。
 一連の中ロ外交の失策については、「自分なら船長を釈放しなかった」「検察に(超法規的な)政治判断をさせたら法治国家でなくなってしまう」「きちんとした筋論であれば、向こうは言うことを聞きます」と正論をズバリ。
 ロシアについても、「私はゴルバチョフ元大統領に『北方領土に一方的に侵略して占領したのはソビエトだ』と言ったんです」というエピソードを披露。
 そのうえで「日本政府としての主張をきちんとしないといけない。彼らは自己主張しない人間を軽蔑(けいべつ)する」「外交は首脳同士が直接会ってやるべき。面と向かってしゃべらず、悪口を言うから、信用をなくすのです」と前原、枝野を切り捨てていた。
 こりゃ、現政権はグーの音も出なかったのではないか。なんだかんだいって、各国首脳と太いパイプを持ち、もっとも豊富な外交経験を誇っているのは民主党では小沢ひとりになるのである。
 民主党が自粛している企業献金の再開を言い出した岡田幹事長に対しても手厳しかった。
「分かりません、彼の真意は」と一蹴。論評にも値しないということだろうが、それにしても気になるのは、なぜ小沢がこの時期にこんな発言をしたのかだ。番組の司会役を務めた政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、「菅政権に対する反撃のノロシだと感じました」とこう言う。
「小沢さんの説明でまず、はっきり分かったのは、岡田さんは国会に出てくれとか言いながら、直接、会えていないこと。また出てくれというのも、秘書を通じた伝言で、その要望にしたって党でまとまっているのかどうかもはっきりしないわけですよ。それじゃあ、岡田幹事長は何をやっているんだろう、能力があるのかという話になっていくと思いますよ。菅首相の迷走外交についても痛快に切っていたし、改めて菅首相、岡田幹事長の不安点がクローズアップされたのではないでしょうか。小沢氏は自らが民主党を割って出ないことも明言しました。このタイミングで政権批判を展開したのは、いつまでもオレを失政隠しに使うんじゃないという牽制と、自分がやはり出て行って、今の民主党政権の閉塞感を打破しなければならない。こう考え始めたとみていいのではないでしょうか」
 この日は祝日にもかかわらず、13万人が番組を視聴したという。強制起訴が迫り、小沢の政治生命は不安視されたが、ネットを通じた草の根で、小沢支持が息を吹き返し、それが一気に広まりつつある。菅は気が気じゃないだろう。
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小沢氏ニコニコ動画会見/ネットはオープン。意見も反論もできる。新聞テレビは正確に報じない
民主党大会 小沢氏演説=この理念に沿った政治をこの国が渇望しないはずがない2010-09-15 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 
小沢さんが無罪を勝ち得て復権するのは、ずっとずっと先になってしまう。「政治」が失われる。 
大林宏検事総長「小沢氏を有罪とする証拠はない」/検察審に知ってほしい小沢土地取引の真実


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