北海道のゴルフ場を「爆買い」する中国人。北の大地も狙われている?
日刊SPA! 2016.08.30 ニュース
近年、日本の森林や水源地、自衛隊や米軍基地に近い土地が中国系資本によって続々と買収され、問題となっている。特に日本最大の森林王国であり、また水資源も格段に豊富な北海道がそのターゲットとされてきた。だが、中国人がここに来て北海道のゴルフ場も買い漁っているという。彼らにとって北海道のゴルフ場は何が魅力なのか?
この度、北海道の実状に詳しい札幌在住の工芸家・砂澤陣氏に話を伺った。ちなみに砂澤氏は、世界的に有名な彫刻家である砂澤ビッキ氏の長男である。
■国系資本による土地買収
北海道で、近年起きている最も由々しき事態というと、外国資本、とくに中国系資本による不動産の買収です。中国の領土をめぐる問題といえば、尖閣諸島沖の活動がマスコミで取り上げられるので、国民はそちらに目を奪われていますが、その間、北海道では中国人たちが着々と土地を取得し、実質的な侵食が確実に進んでいます。
森林や水源地の買収については、やっと外国資本の買収を監視・制限する条例が制定されましたが、今も中国系資本の動きは止んでいません。中国と関係のある日本企業が買収しているケースや、中国企業が日本企業を買収し、そのまま所有権を引き継ぐケースもあり、実態把握が困難なのが実情です。
■道内ゴルフ場買収に動く中国マネー
中国の土地買収問題はさらに厄介な方向に進んでいます。今、道内ではおもにバブル期にニーズも考えずに建設されたリゾート施設やゴルフ場が、次々と中国系資本に買収されているのです。
具体的な例を上げると、2003年、594億円の負債を抱えて民事再生法の適用を受けたゴルフ場が、2011年に香港を本拠とする投資会社BOAOに買収されました。このコースは、元々、東京のマンション業者が開発したゴルフ場でしたが、そこが2003年に民事再生法を申請したため、オープンには至らず、休眠状態となっていました。その後、香港、中国の投資家が出資してこのコースとその周辺の計210ヘクタールを約30億円を投じて取得、クラブハウスの建て替えとコース改修など開発を進め、「一達国際プライベートゴルフクラブ」と改名し、2014年にオープンしました。
■「五輪強化選手用施設」発言の真意
買収した投資会社の役員は、「ここに将来、中国の五輪強化選手用の施設を作る構想がある」と語ったといいます。五輪級の選手が、最適な環境を求めて自国外で調整を行うケースは少なくありません。日本の選手らも外国で強化合宿を行っています。しかし、だからといってこの発言を「問題なし」として看過するのは間違いです。
なぜなら、相手があの共産独裁の中国だからです。投資会社役員の発言は、この施設買収が単なる一民間企業の投資行動ではなく、中国共産党との強いパイプがあることを物語っています。
■日本の大物政治家も暗躍
BOAOの元理事には蒋暁松という人物がいます。中国・海南島のリゾートを運営する中国人実業家です。過去に彼は、和歌山県の那智勝浦・太地町にあり2003年に事実上破綻した大規模年金施設「グリーンピア南紀」の跡地開発の疑惑に絡み、名前が挙がったことがあります。グリーンピア南紀の跡地開発が、通常の手続きを経ず、不明朗なままBOAOが請け負うと決められたからです。
この決定には、和歌山選出の自民党国会議員で新中派と言われる二階俊博氏の強い後押しがあったとも報じられました。北海道内で、中国系資本による明らかに不自然な不動産買収の実態が多々あるにもかかわらず、地元の政官界からほとんど懸念の声が上がらない背景には、こうした日本の中央で力をもつ政治家らが暗躍しているという事情もあるのです。
■中国人がゴルフ場を買う本当の目的
中国マネーが道内ゴルフ場の買収に意欲を見せているのは、増大している中国人観光客を対象にした、ゴルフをセットにした旅行プランの需要が高まると見ているようです。中には、金に糸目をつけずにマイ・ゴルフ場としてコースを探している富裕層もいるといいます。
さらにもう一つ、中国が道内の森林を買っているのは水資源が目的ですが、勝手に川や沢から水を採取することはできないため、牧場やゴルフ場を取得して地下水をくみ上げようという狙いもあるようです。実際、地下水のくみ上げに関しては規制がなく、水脈を探し当てれば自由に水を確保することができるのです。
また、世界的な食糧不足が確実にやってくるとして、道内で農業ができる土地を確保しておこうという思惑もあるようです。ゴルフ場を農業用地に転用する目的で取得しようというのです。我々はゴルフ場といったらゴルフ場の価値しかないと思っていますが、彼らは木や池があって整地されていて開墾の必要もない農業用地として適していると見ています。水と農業は、中国系資本が道内の土地を買収する大きな動機になっているのです。
■「中国けしからん!」と憤る前に
問題なのは、こうした問題があるにもかかわらず無為無策の行政機関と政治家です。中国の大金持ちや特権階級が、冷え切った日本の不動産市場や金の欲しい連中を見透かすように、札びらを切って土地を買収する。これを、日本社会に「中国頼み」の構図を作り上げる中国側の間接的な侵略工作の成果と見ることもできるでしょう。
しかし、そもそもこれは我々日本人、日本社会が長年にわたり自ら蒔いてきた種が結実した結果ではないでしょうか。政治家の売国的な手引きや政策決定、行政の無責任な対応……。すべては日本側の自業自得と思えてなりません。「中国けしからん!」と叫ぶ前に、自らの足元を見つめ直す。それこそが今、我々に求められていることだと私は考えます。
*【砂澤陣(すなざわ・じん)】
昭和38(1963)年生まれ。彫刻家砂澤ビッキの長男。ビッキ文様を継承するとともに、ビッキ作品の修復・保全活動、さらに自らも木工製品の制作を手がける他、注染で仕上げる「日本手拭い」の図案も手がけている。ブログ「後進民族アイヌ」でアイヌの自立を訴え、アイヌ利権とアイヌ史研究の偏向性の問題を告発し続けている。最新刊は『北海道が危ない!』(育鵬社)。
取材・文/日刊SPA!編集部
◎上記事は[日刊SPA!]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
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