ALS嘱託殺人事件 「なぜ生きなければ」 ALS女性、ブログにつづった苦しみ

2020-08-13 | Life 死と隣合わせ

「なぜ生きなければ」ALS女性、ブログにつづった苦しみ
 iZa 2020.7.27 19:44
 ALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者に薬物を投与し殺害したとして、2人の医師が嘱託殺人容疑で逮捕された事件。事件で亡くなった女性は開設したブログに「なぜこんなにしんどい思いをしてまで生きていないといけないのか、私には分からない」などとつづり、ALS患者として生きることの苦しさを1年以上にわたってつづっていた。
 事件で死亡した女性=当時(51)は建築を学ぶため米国留学し、帰国後は東京の設計事務所で働いたが平成23年にALSを発症。実家のある京都に戻り、ヘルパーによる24時間介護を受けながらマンションで1人で暮らしていた。
 身動きや会話はできないため、眼球の動きで操作できるパソコンを使用。30年5月3日、開設したブログの最初の記事のタイトルは、「早く楽になりたい」。唾液がうまくのみ込めず、一日中むせてせき込む様子を書き記し、「助からないと分かっているなら、(中略)本人の意識がはっきりしていて意思を明確に示せるなら、安楽死を認めるべきだ」と訴えていた。
 事件後、取材に応じた父親は、女性から「死にたい」などと打ち明けられたことはなかったという。活発ではっきり物を言う性格で、海外旅行や留学に飛び回っていた女性。だが、ブログには安楽死を切望する言葉がつづられていた。
 同月27日の投稿のタイトルは、「安楽死が救う命」。「先に待っている『恐怖』に毎日怯えて過ごす日々から解放されて、今日1日、今この瞬間を頑張って生きることに集中できる。『生きる』ための『安楽死』なのだ」と安楽死を肯定し、「確実に患者の精神的な意味でのQOLは上がるだろう」と強調している。
 約1週間後のブログでは、「病状が進行して窒息するのを待つ生活がまともな人権を得られているとは思えない」と主張。スイスなど安楽死が認められている欧米と、認められていない日本との違いに疑問を呈していた。
 だが、心は揺れ動いていたようだ。ブログを通じて出会ったある患者に向けて、「病の恐怖に怯えながらも、心の別の部分で今出来ることを考えて欲しい、私みたいな身体になる前に」とアドバイスする書き込みも。同年8月25日にはALSの新たな治療法や新薬のニュースに言及、「『スイスで安楽死を受ける』と言う挑戦をしばらくお休みさせてください」とつづるなど、病を克服して生きたいという思いがうかがえる。
 だが容体が悪化すると、安楽死への思いを募らせるような記述が目立つように。外出したいと思っても、他人と自分を比較してしまうと打ち明け、「自分はあんな普通のことさえできない身体なんだな、、、と身にしみて感じる」「どんな楽しいことを計画しても、こんな身体で生きるこの世に未練はないな、、、と思ってしまう」と吐露。昨年6月13日には鏡に映る自分の姿に、「操り人形のように介助者に動かされる手足。惨めだ。こんな姿で生きたくないよ」とつづっていた。

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 2人の医師が逮捕された嘱託殺人事件をめぐり、「安楽死」についてのご意見を募集します。住所、氏名、年齢、性別、電話番号を明記し、郵送の場合は〒556-8661(住所不要)産経新聞大阪社会部「安楽死取材班」、メールはiken@sankei.co.jpまでお送りください。

 ◎上記事は[iZa]からの転載・引用です
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〈来栖の独白 2020.8.13 Thu〉
>事件後、取材に応じた父親は、女性から「死にたい」などと打ち明けられたことはなかったという。
 親に心(ましてや生死の根本に関わる)を打ち明ける子などいないだろう。親子で、生死について日ごろから考える、意見を出し合うなど、そう有る景色ではない。
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