<タリウム事件>女子学生、ナイフも所持
河北新報 2015年05月22日金曜日
劇物の硫酸タリウムを同級生2人に飲ませたとして、名古屋大の女子学生(19)=宮城県出身=が殺人未遂容疑で再逮捕されてから22日で1週間となる。愛知、宮城両県警の合同捜査本部の取り調べに、女子学生は冷静に応じているとされるが、犯行の動機は依然、不透明なままだ。
「タリウムを飲ませて症状を観察したかった。必ずしも、あの2人でなくてもよかった」。女子学生は再逮捕された15日、こう供述したという。
捜査本部によると、女子学生は2012年5月27日ごろ、仙台市内のカラオケ店で中学の同級生だった女性(19)のソフトドリンクに、同年5月28日~6月上旬ごろ、当時通っていた高校の教室で同じクラスだった男性(19)のペットボトルに、それぞれ硫酸タリウムを混ぜて殺害しようとした疑いが持たれている。
予兆はいくつかあった。事件直前の同年5月下旬、女子学生は父親に連れられ、仙台市内の警察署を訪問。父親は硫酸銅などの薬瓶を示し、「娘が劇物を持っていた」などと相談した。
父親は女子学生が隠し持っていたサバイバルナイフも持参していたことが、捜査関係者への取材で新たに分かった。暴力的なシーンが繰り返し登場する映画に触発されて入手したとされ、当時から人の死に強い関心を示していたことがうかがえる。
名古屋市の自宅アパートからは、過去の凶悪事件に関する書籍なども押収された。学校の化学のテストは常に満点だったとの情報もある。捜査関係者は「蓄積された化学の知識と殺人への興味がない交ぜになり、犯行への意欲が増していったのではないか」と推測する。
事件は、警察署間における情報共有の在り方の課題も突き付けた。被害者の男性は事件の半年後、女子学生の父親が相談に訪れたのとは別の同市内の警察署に被害届を出した。ところが、両署で情報が共有されたのは、女子学生がことし1月、名古屋市の高齢女性を殺害した容疑で逮捕された後だった。
宮城県警の横内泉本部長は「捜査に抜けた部分があったとは思わないが、結果的に被疑者にたどり着けなかった。今後の捜査に生かせる点は生かしていきたい」と話している。
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