「目指せ"オープンジャーナリズム"」 ジャーナリスト堀潤の新しい活動はここから始まる!

2013-04-09 | メディア/ジャーナリズム/インターネット

堀潤の「次世代メディアへの創造力」
現代ビジネス2013年04月01日(月)堀 潤
【新連載キックオフ宣言】ジャーナリスト堀潤の新しい活動はここから始まる!
「目指せ"オープンジャーナリズム" 」
 筆者がNHKに退職届を提出した事が公になった3月19日、現代ビジネスの瀬尾傑編集長が「わたしたちもメディアの世界を変えたいという思いでやっています。ご一緒できるとすごく嬉しいです」とFacebookでメッセージをくれた。面識はなかったものの「ぜひ」と返事を返すと「今夜会いましょう」とまたすぐに連絡がきた。
  午後11時、新橋の居酒屋で落ち合い、終電の時間もすっかり忘れ午前2時頃まで二人で話し込んだ。
  組織の建前とジャーナリズムの実践が混在するマスメディアのジレンマ。ソーシャルネットワークの発達で加速する市民発信と既存メディアとの融合の未来像。一次情報保持者が直接発信する時代におけるジャーナリストの役割とは何か---話題は尽きなかった。なかでも、市民発信の可能性についての意見交換は盛り上がった
 *一次情報を持つ人々が直接発信する時代
  筆者は、去年6月から、ソーシャルネットワークを活用した市民投稿型映像ニュースサイト「8bitNews」を友人達と共に運営している。
  このサイトは、国民が自由に電波を使って発信できる権利「パブリックアクセス」の実現を目指し、前提となる市民側の発信力強化を目的に設立した実験サイトだ。 サイト側で投稿動画の選定や編集は行わず、市民が手元のスマートフォンやコンパクトカメラなどで撮影した動画がそのままYoutube経由で投稿される。
  パブリックアクセスとは、アメリカやヨーロッパ各国、そしてアジアでは韓国がすでに法律で保障している市民の権利だ。英国のBBCや米国各地のPBS・公共放送がその受け皿となり、市民映像を電波にのせて発信するサポートを続けている。8bitNewsでは市民から取材や撮影の相談があれば、メンバーとして登録しているマスメディア在籍者や経験者が本人に直接アドバイスをして発信の手助けをする試みも続けてきた。
  サイトの開設から半年以上が経過し、投稿テーマの偏りや投稿者が次第に限定されてくるなどの課題も見えてきたが、一般の会社員女性が撮影した総理大臣官邸前のデモの様子が世界各国からのアクセスで10万回以上再生されたり、原発作業員自身による内部告発の投稿動画が、後にテレビ・新聞によって取り上げられるようになったりと、一定の成果もあげてきた。
 一次情報を持つ人々が直接発信する時代に、日本のマスメディアは今後ニュースにどう関わっていくのか・・・。筆者が所属していたNHKをはじめ、民放各社ともに模索を続けているのが現状だ。
 *英国名門紙「ガーディアン」の挑戦
  こうした中、欧米では「オープンジャーナリズム」という名のもと、市民発信とマスメディアの融合が先んじて行われている。
  代表例は、およそ1年前に始まった、英国の大手新聞「ガーディアン」の取り組みだ。ガーディアンは「次代の報道にオープンジャーナリズムの実践は不可欠だ」として、インターネットを駆使した市民参加型の新しい報道スタイルを確立しようとしている。
  オープンジャーナリズムとは、SNS・ソーシャルネットワークの発達に伴い存在が議論されるようになった概念で、従来、編集権を主張し特定の職業メディア人たちによって行わ れてきた取材、執筆・撮影、編集作業に、市民をはじめとした非メディア人が制作者の1人として関わる取り組みを指す。
  ガーディアン紙のサイトを覗いてみて欲しい。「Open Journalism」と銘打たれたページでは、"ジャーナリストは世界で唯一の専門家ではない"と語る編集長の言葉とともに、市民が執筆した記事や撮影した写真が並んでいるほか、市民からの意見や質問をもとに記者が取材を進めた記事などが掲載されている。
  情報公開の徹底ぶりにも驚く。特筆すべきは「The Guardian's open newslist」というページだ。ガーディアンの編集部が、その日のニュースオーダーを決めていく様子をリアルタイムで公開している。どんな記事を準備し、誰が取材をしているのか、これまでブラックボックスだったニュースセンターの心臓部に、誰もがアクセスできる環境をつくったのだ。
  また本サイトでは、オープンジャーナリズムを実践する狙いを周知するために、人形劇仕立ての動画も掲載し、ガーディアンへの参加を呼びかけている。
  この動画では、保険金詐欺の事件をめぐって同紙が発した第一報を、SNSで繋がり合った市民が様々な角度から検証し合い、マスメディアが明らかにできなかった新事実を見つけ出して社会運動にまで発展させる、というストーリーが描かれている。
 ガーディアンのアラン・ラスブリジャー編集長は、ジャーナリストが専門家であるとは限らず、いまや他者の意見を広く取り入れなければ物事の検証は十分にできないと語り、市民とマスメディア側のネットワーク化やジャーナリズムの更新が必要だと説明している。
 *日本のマスメディアはガラパゴス化してしまうのか
  インターネット後のメディアは、大きな変革期を迎えている。
  世界の動きに目を向けると、これまでの概念を打ち破る新たなジャーナリズムの実践も様々な形で、その試みが始まっている。足踏みを続ける日本のマスメディアは世界の潮流に乗り遅れ、ガラパゴス化していくのか---。
  この連載では、世界のメディア変革の動きに目を向けつつ、次世代メディアの創造力を皆で刺激し合いたい。
  次回は、オープンジャーナリズムで変わる「戦争報道」について書いてみたい。
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堀潤の「次世代メディアへの創造力」 オープンジャーナリズムが戦争報道を変える 2013-04-09 | メディア/ジャーナリズム/インターネット  
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NHK堀潤アナが世に問う「反原発映画」総力特集「原発&放射能危機!」 2013-03-19 | メディア/ジャーナリズム
  NHK「イケメン」堀潤アナが世に問う「反原発映画」総力特集「原発&放射能危機!」
  現代ビジネス 経済の死角 2013年03月19日(火)
  取材・構成:飯塚真紀子(在米ジャーナリスト)
 2月28日、アメリカ・UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の視聴覚室で、ある自主制作ドキュメンタリー映画の上映会が開催された。集まった数十名の観客は監督・堀潤氏(35)の説明に聞き入っていた。
「テレビではやれないことをやりたかった」
 上映会でそう語った堀氏は、端正な顔立ちで〝NHKきってのイケメンアナ〟として知られた存在。'77年に兵庫県に生まれ、神奈川県立横浜平沼高校、立教大学文学部ドイツ文学科を卒業後、'01年にNHKに入局した。『ニュースウオッチ9』のリポーター時代には、報道局が特ダネに対して贈る賞を4年連続で5回も受賞。'10年には32歳の若さで『Bizスポ』の総合司会に抜擢された。女性人気だけでなくアナウンス技術も高く評価され、NHK次代のエースと目されていた。そのままいけば、間違いなく『ニュース7』キャスターなど、NHKアナウンサーとしての〝王道〟を歩んだだろう。転機となったのは、'11年の東日本大震災だった。原発事故後、反原発発言や、NHKの〝誤報道〟への謝罪や批判をtwitterで発信し続けたのだ。
〈福島県で除染作業に携わっていた60代の男性が亡くなった。男性の死亡原因について国は「除染作業と関係はない」としているが何故関係がないと判断したのか、その根拠も示さなくてはいけない。チェルノブイリ事故でさえ人体への影響について研究が続けられている最中だというのに。情報公開の徹底を!〉('11年12月12日)
〈国や組織に期待してはだめだ。もうだめだ。僕らで動こう。僕らで考えよう。僕らでこの国を変えよう。だって、僕らの国なんだからさ〉('11年12月12日)
 堀氏の踏み込んだ発言は局内で問題視され、徐々に立場を失っていく。出世街道を捨ててまで、彼を突き動かしたものはなんだったのか。原発の取材をする中、交友するようになった堀氏が、ある時、こう話してくれた。
「ちょうど震災の2週間前、福島の農家の人たちを取材したんです。地銀と協力してブランド力のあるアスパラガスや養殖のマスを売り出そうという取り組みをされていたのですが、事故が起き、農家の方々の生活は完全に破壊されてしまった。それだけ影響力の大きい原発の安全対策があまりに杜撰なことに憤りを覚えたのがきっかけです。局内で僕は〝テロリスト〟のような扱いで、上層部の部屋に何度も呼び出されました。ですが、その度に、耳を塞ぐように聞いていましたね(笑)」
 局内で行き場を失ってしまった堀氏は、『Bizスポ』の終了に伴い、昨年3月から、UCLAに留学した。客員研究員としてデジタルメディアの研究をする傍らで、日米各地で原発の取材をし、ドキュメンタリー映画『変身』の制作に打ち込んできた。その作品の上映会が開催されたのだ。
『変身』は、福島、ペンシルベニア州のスリーマイル、ロサンゼルス郊外のサンタスザーナのメルトダウン事故を追った作品。被災者や原発作業員の内部告発などから構成され、徹底した反原発の視点から語られている。堀氏は上映会でこう力説した。
「事故が起きた、忘れた、の繰り返しではなく、将来、世界のどこかで起きるかもしれない事故に備え、過去の事故の経験や知識を共有しなくてはならないという思いから、この映画を作りました」
*復帰先は「きょうの料理」
 堀氏は〝テレビではやれないこと〟へのジレンマを抱えてきたのだろう。テレビ番組の数分の短いニュースは結論まで決まった台本が先にあり、それに合う映像を撮ってこなくてはならない。そのため、〝大本営〟発表に偏りがちになり、市民一人一人が抱えている不安や思いはこぼれ落ちてしまうことが多い。情報が多くの人たちと共有され、知恵が結集されることで、そこからいい解決法が生まれて来ると堀氏は考える。今回の映画でも、市民の提案や映像を4割も取り入れたという。
「テレビは、社の価値基準で判断した一つの最終完成形しか公開しません。しかし、〝テレビの取材はまだここまでしか到達していない〟ということが分かれば、専門家や市民が新たな角度やデータを提案して、別の到達地点を探すことができる。テレビは多様な見解や提案を受け付け、それらを研究するシンクタンク的存在になるべきだと思います」
 4月から、堀氏はNHKに復帰し、日本に戻ってくる。しかし、報道番組ではなく、『きょうの料理』の司会者としてだ。
 二度と政治的な発言をしないようにと用意されたポストだろう。「1年後はどうなっているか。フリーになっているかもしれない」と笑うが、仮にそうなったとしても、政治的な発言を繰り返す彼を起用しようとするメディアは多くはないだろう。だが、本人はこう語る。
「これまで、上を恐れずに発言してきたつもりです。そして、これからもおかしなことがあれば意見して変えていきたい」
 アナウンサーとしては、茨の道が待っているかもしれない。しかし、〝王道人生〟を捨てたイケメンアナは、自分の信念に忠実であり続ける。
「フライデー」2013年3月22日号より
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NHK堀潤アナウンサーが退職へ 原発映画上映会で“亀裂”か 2013-03-20 | メディア/ジャーナリズム
 NHK堀潤アナが退職へ 原発映画上映会で“亀裂”か
 サンスポ2013/03/20 12:03
 NHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」のリポーターなどを務めた堀潤アナウンサー(35)が退職することが19日、分かった。退職は4月1日付。NHKによると、堀アナは「一身上の都合」とした上で「インターネットを使った次世代の情報発信方法を確立したい」と説明したという。
 堀アナは昨年6月から米国の大学に留学。東京電力福島第1原発事故などを題材にしたドキュメンタリー映画を製作し、話題になっていた。現地で映画の市民向け上映会を企画したが、NHKは認めなかったという。
 NHKは「留学の成果を大学外部で上映することは留学の目的から逸脱しており、認められない。映画の内容は問題にしていない」としている。
 堀アナは4月から「きょうの料理」などを担当する予定だった。
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堀 潤 JUN HORI
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