小沢「国民の生活が第一」候補者200人大量擁立へ
日刊ゲンダイ2012年8月27日 掲載
橋下・維新の会との対決も辞さず
70以上の「空白区」でいまだ候補者を決められず、解散から逃げ回るか、議席大幅減を覚悟で総選挙に突っ込むしかない民主党。その凋落を尻目に、「国民の生活が第一」の小沢代表が着々と選挙準備を進めている。
26日、参院1回、衆院2回当選の都築譲元議員(61)が、次期衆院選に愛知12区から立候補することを表明。「国民の生活が第一」から出馬する。
「都築氏は元労働官僚で、新進党、自由党時代からの小沢シンパ。民主党との合併による選挙区調整で愛知15区に国替えしましたが、12区は自由党時代の地盤です。公選法がらみで議員辞職した後、昨年まで愛知県一色町(現西尾市)の町長を務めていました」(地元関係者)
愛知12区は現職の中根康浩経産政務官(民主党)のほか、すでに自民党の新人候補と、元総務官僚で昨年の愛知県知事選に落選した重徳和彦氏も出馬を表明している。
注目すべきは、重徳氏は次期衆院選に「大阪維新の会」から出るとみられていることだ。そこへ小沢は、早々と対立候補をぶつけることを決めたのである。
「国民の生活が第一」の党幹部が言う。
「小沢代表は、維新との連携を模索する議員に対し、『自分が判断するから手を出すな』と言っていました。維新の政策を見て、手を組めないと判断したのかもしれない。次期衆院選は維新に気を使うことなく、“独自路線”で行く。200程度の選挙区で候補者を擁立する方針です。増税や原発に対する反対票の受け皿がない空白選挙区があっては、有権者に対して申し訳ない。大量擁立は比例票の掘り起こしにもつながります」
小選挙区で200人となると簡単ではない。問題はどこから候補を探してくるかだが、小沢はその点、“自前”の人材供給源を持っている。都築氏のような、かつての仲間だけじゃない。長年にわたって続けている「小沢一郎政治塾」だ。
現在、小沢塾出身の議員は衆院に8人、参院に2人。小沢塾は今年で12年目を迎え、OBは相当な数に上る。県議など地方議員も多く“即戦力”になり得る人材だ。すでに出馬を打診されているOBは少なくない。
今月19日に行われた11期生の卒塾式では、小沢が塾生ひとりひとりと握手をし、そのツーショット写真を30分以上かけて撮らせるという異例の展開もあった。この中からも候補者が出てくる可能性がある。
小沢の頭の中には全選挙区の情報がインプットされ、適材適所で候補を擁立することが可能だ。
大マスコミはこぞって小沢新党に「展望がない」と書きたて、現状についても積極的に取り上げようとしないが、選挙準備は着実に進んでいる。
=====================
◆ 「国民の生活が第一」3日に結成大会(岩手県) 次の衆議院選挙に向けて、本格的に動き始める 2012-08-26 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
国民の生活が第一、3日に結成大会(岩手県)
新党「国民の生活が第一」の県連は、25日、盛岡市内で会合を開き、来月3日、結成大会を開くことを決めました。「国民の生活が第一」は、今月8日に県選管に県総支部連合会の設立を届け出ており、25日は国会議員3人と県議会議員8人が参加して、午前9時すぎから会合を開きました。そして県連の結成大会を、来月3日、盛岡市内のホテルで開くことを決定しました。結成大会では、役員人事を決めますが、25日の準備会では、党本部の小沢一郎代表を県連代表とすることをあらためて確認しました。今後、次の衆議院選挙に向けて、本格的に動き始めることになります。
[ 8/25 18:01 テレビ岩手]
◆ 橋下維新 選挙資金「100億円」スポンサーの実名/橋下氏「衆院定数を半減」すり寄る国会議員に“踏み絵” 2012-08-27 | 政治
大阪維新の会 大口後援者にマルハン、ソフトバンク、パソナ
NEWSポストセブン2012.08.27 07:00
橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会が次期衆議院選挙の準備を本格化させつつある。
9月12日に「大阪から国を変える!!」をスローガンに地元で大々的な政治資金パーティを開き、その後、維新候補たちが全国遊説に乗り出す予定だ。
総選挙を戦うには軍資金が必要だが、すでに大口スポンサーの名前も挙がっている。
橋下氏は大阪府知事時代から大阪カジノ構想を推進し、今年2月には松井一郎・大阪府知事とともに香港のカジノ運営会社CEOと会談、「任期中に誘致の道筋をつけたい」と協力を要請した。さらに記者会見(5月24日)でも、「先進国でカジノがないのは日本くらい。カジノは観光や集客のツールになるだけではなく、うまく使えば所得税制に代わるか並ぶくらいの所得の再配分機能を果たす重要なツールになる。国会議員にそういう発想はないんですかね」と持論を展開してみせた。
維新の会の情報収集をしている民主党関係者が語る。
「カジノ構想に熱心な企業が京都のマルハン。全国にパチンコ店やボウリング場、ゲームセンターなどを展開する年商2兆円という遊技場最大手で、マカオのカジノに出資したり、カンボジアに銀行まで設立している。
しかし、日本では国の規制が強くてカジノの実現にはハードルが高い。そこでマルハンがカジノに理解のある橋下維新の会の国政進出を支援するという情報がある。Jリーグ・大分トリニータに十数億円出したスポンサーとしても知られる資金力豊富な企業だけに、維新の会の人気に、大口スポンサーが結びつけば大変な脅威になる」
マルハンと橋下氏には接点がある。橋下氏が府知事時代に発足したカジノ構想の研究会「大阪エンターテイメント都市構想研究会」の会員企業には大手広告代理店や鉄道会社、電機メーカー、建設会社と並んでマルハンが参加している。
さらに、今年5月に溝畑宏・前観光庁長官(現・内閣官房参与)が大阪府特別顧問に就任したが、溝畑氏はカジノ構想の推進者で、大分トリニータ社長時代からマルハンとのパイプが太いことで知られる。
その溝畑氏はマルハンの維新支援情報についてこう語る。
「橋下氏とは私が観光庁長官になる前からのおつきあいで、今回、松井府知事から大阪を元気にしたいという要請があって全面協力しようと顧問に就任しました。マルハンの韓昌祐・会長にもJリーグの時から随分お世話になっています。韓会長のもとにはいろんなところからスポンサーの要請が日に何件も来ているようです。
とはいえ、一代であれだけの事業を築き上げた方だから、(支援するかどうかの判断は)相当シビアだと思いますね。維新の会のこともあくまでニュートラルに見ているのではないでしょうか。少なくとも、私がマルハンと維新の会をつないだというのは誤解です」
マルハン経営企画部は、「大阪エンターテイメント都市構想研究会には娯楽産業の振興を目的に参加している。チャレンジする人を応援するというのはわが社の社風ですが、維新の会を社として応援しているということではない。会長や社長が個人的に支援しているかどうかまでは把握しておりません」と回答した。
一方、橋下氏自身はこの間、有力経済人と政策について意見交換をしてきた。ソフトバンクの孫正義・社長はツイッターで橋下氏にエールを送ってきたことで知られるが、橋下氏は今年1月に上京した際、孫氏や宮内義彦・オリックス会長らと会談し、エネルギー政策や大阪府市改革で意見交換したことが報じられている。橋下氏が大阪府知事選に出馬した2008年当時に堺屋氏とともに応援した経済人にはパソナの南部靖之・社長もいる。
宮内氏は小泉内閣の総合規制改革会議議長として郵政民営化を推進した人物で、孫氏と南部氏は安倍晋三・元首相のブレーン経済人として知られる。
安倍氏は維新の会と連携して政界再編を志向する動きを見せているが、背景には、「安倍氏を中心とする上げ潮派(経済成長重視派)は橋下氏とブレーン人脈や支援者が重なっている。上げ潮派はいまや野党自民党の中でも反主流派だけに、日の出の勢いの維新の会と組むことで政界の主導権を回復し、スポンサーを維持したいという思惑がある」(自民党町村派議員)という指摘があることも見落とせない。
※週刊ポスト2012年9月7日号
. . . . . . . . .
維新公約に「衆院定数半減」、橋下氏が明言
地域政党・大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は26日、衆院議員の定数(現行480)について、「国全体の仕事を絞り込めば480なんて数はいらない。維新として半減ということをしっかり出す」と述べ、次期衆院選の公約「維新八策」に「衆院定数半減」を盛り込むことを明言した。
維新と交流のある政治団体・松山維新の会が松山市内で開いた集会で語った。
橋下氏は維新八策の施策を実現するため、維新中心の勢力で衆院の過半数を目指す考えも明らかにした。
その上で、維新への合流を模索する国会議員との意見交換会を9月上旬から始めるとし、「一緒にやろうと言う人は多いが、衆院定数を240にすると言えば、ほとんど消える。過半数を取れる勢力を皆さん(有権者)が作ってくれるかどうかだ」と訴えた。
(2012年8月27日01時27分 読売新聞)
. . . . . . .
「衆院定数を半減」 維新の会
東京新聞2012年8月27日 朝刊
橋下徹大阪市長は二十六日、松山市で開いた中村時広愛媛県知事との対談で、自ら率いる大阪維新の会が次期衆院選公約「維新八策」に、衆院定数半減を盛り込むことを表明した。「四百八十人の衆院議員を二百四十人に半減すると維新としてしっかり出していく」と述べた。
国会議員の給与にあたる歳費や政党交付金もそれぞれ三割カットする方向。数値目標を掲げて「身を切る」改革を前面に押し出し、議員定数削減に手間取る既成政党との違いを強調する狙い。
ただ、具体的手順や小選挙区と比例代表の配分など詳細な説明はなかった。「一票の格差」解消のため大規模な区割り見直しも必要になるとみられ、実現は容易でなさそうだ。
橋下氏は同会が立ち上げる新党への合流を希望する現職国会議員との公開議論を九月上旬に実施すると表明。「『一緒にやろう』と言ってくる国会議員は多いが、半減すると言えば、ほとんどみんな消え去っていく。国会議員に聞く」と述べ、議員選別の“踏み絵”にする意向も示した。
. . . . . . .
〈来栖の独白2012/8/27Mon.〉
衆議員定数を半減して、政治に民意が十分に反映されるだろうか。
民主党政権にも困ったものだが、選んだ(政権交代させた)のは国民だ。その国民が今度は橋下維新を選ぶのか。「パンとサーカス」が、いよいよ姿を現してきた。その姿を見ないことには、国民は悟れないか・・・。
・月刊『文芸春秋』2012年3月号(1975年論文「日本の自殺」再掲載)より
『日本の自殺』p20~
ローマ市民の一部は1世紀以上にわたるポエニ戦争その他の理由で土地を失い経済的に没落し、事実上無産者と化して、市民権の名において救済と保障を、つまりは「シビル・ミニマム」を要求するようになった。
よく知られている「パンとサーカス」の要求である。かれらは大土地所有者や政治家の門前に群がって「パン」を求め、大土地所有者や政治家もまたこれら市民大衆の支持と人気を得るためにひとりひとりに「パン」を与えたのである。このように働かずして無料の「パン」を保障されたかれら市民大衆は、時間を持て余さざるを得ない。どうしても退屈しのぎのためのマス・レジャー対策が必要となる。かくしてここに「サーカス」が登場することとなるのである。(略)
だがこうして無償で「パンとサーカス」の供給を受け、権利を主張するが責任や義務を負うことを忘れて遊民化したローマの市民大衆は、その途端に、恐るべき精神的道徳的退廃と衰弱を開始したのである。(~p23)
◆政党政治が崩れる~問責国会が生む失望感===透けるポピュリズム
論壇時評 金子勝(かねこ・まさる=慶応大教授、財政学)2011/02/23Wed.中日新聞
歴史の知識を持つ人にとって、今日の日本政治には政党政治が崩壊する臭いが漂っている。約80年前の大恐慌と同じく、今も百年に一度の世界金融危機が襲っており、時代的背景もそっくりだ。
保坂正康「問責国会に蘇る昭和軍閥政治の悪夢」(『文藝春秋』3月号)は、昭和10年代の政治状況との類似性を指摘する。
保坂によれば、「検察によるまったくのでっち上げ」であった「昨年の村木事件」は、財界人、政治家、官僚ら「16人が逮捕、起訴された」ものの「全員無罪」に終る昭和9年の「帝人事件」とそっくりである。それは「検察の正義が政治を主導していく」という「幻想」にとらわれ、「いよいよ頼れるのは軍部しかいないという状況」を生み出してしまった。
ところが、「民主党現執行部」は「小沢潰しに検察を入れてしまうことの危険性」を自覚しておらず、もし小沢氏が無罪になった時に「政治に混乱だけが残る」ことに、保坂は不安を抱く。さらに「問責決議問題」は「国家の大事を政争の具にした」だけで、「事務所費問題」も、国会を「政策上の評価ではなく、不祥事ばかりが議論される場所」にしてしまった。
保坂によれば、「最近の政党が劣化した原因」は「小泉政権による郵政選挙」であり、その原形は「東条内閣は非推薦候補を落とすため、その候補の選挙区に学者、言論人、官僚、軍人OBなどの著名人を『刺客』としてぶつけた」翼賛選挙(昭和17年4月)に求めることができるという。そしてヒトラーを「ワイマール共和国という当時最先端の民主的国家から生まれたモンスター」であるとしたうえで、「大阪の橋下徹知事」が「その気ならモンスターになれる能力と環境があることは否定できない」という。
保坂とは政治的立場が異なると思われる山口二郎も、「国政を担う2大政党があまりにも無力で、国民の期待を裏切っているために、地方政治では既成の政治の破壊だけを売り物にする怪しげなリーダーが出没している。パンとサーカスで大衆を煽動するポピュリズムに、政党政治が自ら道を開く瀬戸際まで来ている。通常国会では、予算や予算関連法案をめぐって与野党の対決が深刻化し、統治がマヒ状態に陥る可能性もある」(「民主党の“失敗” 政党政治の危機をどう乗り越えるか」=『世界』3月号)という。
山口も同じく、「小沢に対する検察の捜査は、政党政治に対する官僚権力の介入という別の問題をはらんでいる。検察の暴走が明らかになった今、起訴されただけで離党や議員辞職を要求するというのは、政党政治の自立性を自ら放棄することにつながる」とする一方で、「小沢が国会で釈明することを拒み続けるのは、民主党ももう一つの自民党に過ぎないという広めるだけである」という。
そのうえで山口は「民主党内で結束を取り戻すということは、政策面で政権交代の大義を思い出すことにつながっている。小沢支持グループはマニフェスト遵守を主張して、菅首相のマニフェスト見直しと対決している」と述べ、民主党議員全員が「『生活第一』の理念に照らして、マニフェストの中のどの政策から先に実現するかという優先順位をつけ、そのための財源をどのように確保するかを考えるという作業にまじめに取り組まなければならない」と主張する。そして「菅首相が、財務省や経済界に対して筋を通すことができるかどうか」が「最後の一線」だとする。
しかし残念ながら、菅政権は「最後の一線」を越えてしまったようだ。菅政権の政策はますます自民党寄りになっている。社会保障と税の一体改革では与謝野馨氏を入閣させ、また米国の「年次改革要望書」を「グローバルスタンダード」として受け入れていくTPP(環太平洋連携協定)を積極的に推進しようとしている。小泉「構造改革」を批判して政権についたはずの民主党政権が、小泉「構造改革」路線に非常に近づいている。
まるで戦前の二大政党制の行き詰まりを再現しているようだ。戦前は、政友会と民政党の間で政策的相違が不明確になって、検察を巻き込みつつ、ひたすらスキャンダル暴露合戦に明け暮れて国民の失望をかい、軍部の独裁を招いた。現在の状況で総選挙が行われて自民党が勝っても、政権の構成次第では様相を変えた衆参ねじれ状態になり、また野党が再び問責決議を繰り返す状況になりかねない。
このまま政党政治が期待を裏切っていくと、人々は既存の政党政治を忌避し、わかりやすい言葉でバッシングするようなポピュリズムの政治が広がりかねない。何も問題を解決しないが、少なくとも自分で何かを決定していると実感できるからである。それは、ますます政治を破壊していくだろう。
いま必要なのは歴史の過ちに学ぶことである。それは、たとえ財界や官僚の強い抵抗にあっても、民主党政権はマニフェストの政策理念に立ち返って国民との約束を守り、それを誠実に実行する姿勢を示すことにほかならない。
==============================