認知症の進行速度を緩やかに、アルツハイマー薬「レカネマブ」を国内でも申請…エーザイ
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製薬大手エーザイは16日、米製薬企業バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」について、厚生労働省に製造販売の承認を申請したと発表した。米国では今月6日に迅速承認された薬で、対象は早期の患者。病気の原因とみられる物質を脳内から取り除き、認知症が進行する速度を緩やかにすることを狙う。
アルツハイマー病は、脳内に「アミロイドβ(ベータ)(Aβ)」という異常なたんぱく質が蓄積することで神経細胞が傷つき、認知機能が低下すると考えられている。レカネマブは脳内のAβを除去することで、長期的に脳の損傷の進行を抑えることを狙う。
エーザイは、米国では2021年秋~22年春に承認申請、米食品医薬品局(FDA)が6日に迅速承認した。欧州でも9日に承認申請した。
同社は昨秋、早期のアルツハイマー病患者1800人を対象にした最終段階の臨床試験で、レカネマブを2週に1回、1年半にわたり点滴した集団は、偽薬を点滴した集団に比べ、症状の悪化を27%抑制する効果が確認されたとする論文を発表した。この差について、「病状の進行を7か月半遅らせることに相当する」と説明している。
エーザイは、米国での販売価格について、患者1人当たり年2万6500ドル(約340万円)に設定すると発表している。日本で承認されれば、公的保険診療の中での使用が想定される。薬価は国が決め、米国よりも低く設定されることが一般的だが、それでも年間百万円単位になるとみられる。患者の自己負担は、国の高額療養費制度があるため、70歳以上の一般所得層(年収156万~約370万円)の場合は年14万4000円が上限となる。
最終更新:読売新聞オンライン
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です