プロ選手にとって試合をあきらめる決断は、どんな大会であっても、痛みを伴うはずだ 2020.8.28

2020-08-28 | 文化 思索

中日春秋 
2020年8月28日
 「まっすぐな道で迷った者はいない」。文豪ゲーテが残し、語り継がれている言葉の一つである。人は固い信念があるとき険しい道であっても、まっすぐに進んでいくことができる。そう言っていようか
▼米国からのニュースに、驚かされた。テニスの大坂なおみ選手が勝ち進んでいた大会を棄権した。警官による黒人男性の銃撃事件に対する抗議である。プロ選手にとって試合をあきらめる決断は、どんな大会であっても、痛みを伴うはずだ。スポーツ界からの政治的な行動と受け取られて、批判を招くおそれもあるが、まっすぐ進んだ決断であったようだ
▼それを感じさせる強い思いがこもったメッセージを、自身のツイッターに投稿している。自分は選手である前に黒人女性であり、自分のテニスを見ることより重要なことがある、白人が多数を占める競技の中で会話が始まるといいと
▼強い使命感も思わせる言葉だろう。「いつになれば、もう十分になるの」などと、嘆きと憤りの荒い息遣いを感じさせる言葉も書き込んでいる▼状況は悪化している。今回の事件が起きたウィスコンシン州では、抗議デモに対し、銃で武装した自警団が現れたと報じられていて、緊張が高まっている
▼抗議の行動は大リーグなど他のプロスポーツでも拡大していた。大坂選手のようにまっすぐな道をみている選手は、増えているようである。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です


大坂なおみ「私はアスリートである前に黒人女性である」2020/8/27


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