受刑者の労働、楽すぎ? 出所者雇う企業から批判 1日7時間、土日祝日も休み
西日本新聞 10月17日(月)10時42分配信
刑務所受刑者の勤労意欲を醸成する目的で行われている刑務作業の時間が、一般的な労働時間とされる1日8時間に達していない。出所者を雇う企業から「労働に耐えられる集中力がない」などの意見が寄せられたことを受け、法務省は全国8刑務所の約600人を対象に「8時間労働」を試験導入。受刑者には意外に好評だが、刑務所内の運営の問題もあり、定着には時間がかかりそうだ。
刑務作業は刑法に規定された懲役刑の一つ。受刑者は多くの時間を作業に費やしており、規則正しい生活を送らせることで社会復帰につなげる目的がある。
労働基準法では、1日8時間を超えて労働させてはならないと規定。刑務作業も同様に定められている。ただ、法務省によると、実際の作業は運動時間などを引いた7時間程度とされ、週に2、3回は入浴で1時間以上短縮されることもあるという。
日本労働組合総連合会の調査では、正規労働者の1日の平均労働時間は8・9時間で「刑務所は社会からはほど遠い」(刑務所関係者)。ある受刑者は「土日祝日も休み。短い労働時間の中に休憩もたくさんあって、とても良心的な環境だ」とする。
■残業代がかさむという課題も
企業からの要望を受け、法務省は2014年度に広島、高知刑務所で8時間制を試験的に導入。15年度にはさらに6刑務所に拡大した。九州で唯一、試行している佐賀少年刑務所では、木工工場の20人が対象。入浴は作業後にさせるなどして対応しており、ほぼ全員が「社会復帰に役立つ」などと肯定的。他の刑務所では「長く働いた分の食事が欲しい」「意味ない」などの意見はあるが、前向きに捉える者が多いという。
だが、全面導入となれば刑務官の勤務時間が延び、残業代がかさむという課題も。法務省の担当者は「慎重に検討した上で、拡充も考えたい」としている。
. 西日本新聞社 最終更新:10月17日(月)13時39分
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