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つくるよろこびのじだい。

2011年12月15日 17時41分25秒 | 雑貨・メーカーシリーズ
TUNIC(チュニック)というメーカーをご存知だろうか。
ナイティーやインナーや小物などを製造卸販売している会社だ。
創設者は鴨居羊子さん。
僕の大好きな尊敬する画家、鴨居玲氏の姉である。

鴨居羊子さんは記者として勤めていた読売新聞を退社し
女性向け下着デザイナーとして独立。
当時として、かなり斬新で独創的なデザインは世間や時代を巻き込み
多くの女性の支持を受け、社会的一大ムーブメントへと発展した。
1991年にこの世を去るが
最後の最後まで、一線で活躍した
いつまでも女性の憧れである存在の方である。

チュニックさんの商品は、とっっっても斬新且つ独特である。
色合いといい配色といいカタチといい
そして使い勝手までも
毎回あちこちお店で拝見する度に惹き付けられて圧倒されっぱなしだ。

僕が当社に入社し、営業回りをし始めた頃に
お取引先さんでチュニックさんを初めて見た衝撃は
高校生時代に鴨居玲氏の作品を初めて見た時の衝撃とまるで同じだった。
モノを前にして立ち尽くし思わず「あり得ん」と呟いてしまう僕がいた。

普通じゃない、枠を飛び出している
そう、弾けているのだ。
モノ溢れのこの時代に
これだけ堂々と個性をあらわにした商品はなかなかない。
商品が買い手を選んでいる。
誘惑している。
POPで爽やかに弾け跳んだカワイイエロスで
ワタシって素敵でしょ?
って商材が元気に手招いているかのようだ。
とっても人間臭い、生々しい良い香りがするのである。

鴨居玲氏の作品もそうだ。
酔っ払いや道化師、自画像まで
次々登場する人物からは、一見暗い世界観を見るが
しかしこれがまた愛くるしくお茶目である。
独特の匂いを放つ鴨居玲氏の絵画は時に闇ばかりが目立つが
僕にはその向こう側に
一瞬ひらけたオチャラケ的明るさが見えて仕方ない。
何だかとってもカワイイのだ。

鴨居玲氏の画との出会いは僕が高校生の頃である。
当時の僕は一瞬にして鴨居玲氏のトリコになった。
寒い中、必死で宅急便バイトをして画集を買った。
今でもそれは宝である。

僕は無知なまま2人の鴨居さんの世界観に触れていた。
まさかチュニックの鴨居さんと僕の大好きな画家の鴨居さんが姉弟だなんて
この仕事に携わりだいぶ経った頃まで知らずにいたくらいだ。

昨日、当社お取引先さんでチュニックさんのコーナーを眺めながら
そんなこんなをお店スタッフさんと語り合った。
人によっては敬遠されがちなこの独特さ加減が
僕にはとっても心地よいものだと。

コーナーから発せられた強すぎるくらいのカラーは
人を常にワクワクとさせ、前向きにさせ
くさい言い方をすれば、夢と希望を与えてくれる。
これはやっぱり鴨居羊子さんの強さで
唯一無二なるものなのだとスタッフさんはおっしゃっていた。

その通りだと僕も思う。
時代を、作り上げた
確固たるカタチだ。

当社先代婆さんも
メーカーを始めるきっかけのひとつが鴨居羊子さんの本だったと言っていた。
先代と仲良しの雑貨メーカーの女性社長さんもまた
同じくして鴨居羊子さんの影響を強く受けた1人だ。
今から三、四十年まえあたり
独立してメーカーを立ち上げた女性の多くは
鴨居羊子さんに憧れ、影響を受けてモノづくりを志したのかもしれない。
それくらい鴨居羊子さんという方は
アパレルや雑貨等の業界に大きな足跡を残したのだ。

お取引先さんで久々にチュニックさんの商品をじっくり見た事がきっかけで
先代の、そんな本の話を思い出す。
僕は営業を終えたその足で
博多駅ビル内の本屋さんに立ち寄り
冒頭写真の文庫を購入した。
だいぶ以前、当社先代に薦められた鴨居羊子さんの本である。
薦められた当時は、へ~と思った程度で
読んでみようなんてまったく思いもしなかった。
今になって、逆に、読んでおくべきだろうと思い、購入に至った。
それは当時と立場が変わり、生き方すらもまるで変わったからに他ならない。

演劇をしていた頃
“フリフリ好きの変態サラリーマン”って役を演じた事があった。
今やフリフリ商品を作って売る人になっている。
高校生時代に多大なる影響を受けた鴨居玲氏。
その姉である鴨居羊子さんの立ち上げたチュニックさんと同じような業界で
まさか働くことになるだなんて
人生の繋がりとはこれ、わからんものである。
本当、得てして不思議なものだ。

これは偶然?
いいや、自分で選んでここまで歩んできた人生だもの
必然以外のナニモノでもない。
何かの型にはめ込める程
人生は単純じゃないってことだ。
だから、面白い。
だから、面白いものを、人は生む。

めけめけ~。

写真。文庫。


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