大仏サブレ。

鎌倉駅キオスクで大仏サブレっちゅうものを買った。
駅前で鳩サブレを買って早々のことだった。

その日は会社の商品デザインに関するリサーチをデザイナーと共にしていた。
当社3人いるデザイナーのうちの“真ん中的存在？”“次女？”みたいな子とふたりで
鎌倉ぶらり旅である。

大仏サブレは鎌倉から横浜へ移動するホームで
「あ！なにこれ！大仏サブレだって！」と発見、購入。
迷いなく大仏サブレをむんずと掴み
惜しげもなく支払いする僕を見るデザイナーは完全にひいていた…。

鳩サブレも大仏サブレも会社へのお土産として買った。
事務所へ戻り、みんなで食べようということになる。
だれもかれも、そろいもそろって大人たちが、この2つのサブレの反応に困った顔だ。
社長…こいつなにやってんだ？みたいな。

それがパッケージを開けてみたら結構盛り上がった。
鳩サブレが鳩のように、大仏サブレはちゃんと大仏のカタチ。
大仏のサブレがなんともいえぬ間抜けで味のある風貌だったからだ。

ゲラゲラ笑って、仲良くみんなで食べた。
お味はダントツ鳩サブレの方が美味しかった。
大仏は、ややパサパサしていた。
牛乳が欲しくなる。

「このパサパサがまた大仏食ってんだぞーみたいな感じでいいね！」とスタッフが言う。
いや、意味がわからない。大仏食ったことないし、大仏とパサパサは結び付かん。
しかし、その意味不明な言葉に一同爆笑である。
なんだこの一体感は。
大仏サブレに関する意味不明な味の感想に
大仏サブレを買ってきたという大元のギャグが負けた瞬間である。
「大仏食ってんだぞー」のそれだって、大仏サブレありきなことじゃないか！
大仏サブレを買ってきたことに対して、もっとありがたがれっ！

よくわからんが、鳩サブレより味の落ちる大仏サブレの方が先に無くなった。
みんな大仏食いたがっていた。大人気である。
なんだか、ありがたい。

大仏サブレは、橋田壽賀子に似ていた。
なにかいいこと、ありますように。
渡る世間は大仏ばかり。
ありがたや、ありがたや。


めけめけ～。

写真。大仏サブレ。