時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』

2021-07-05 | 舞台/役者

舞台は恐山
半世紀もイタコ試験に落ち続けている
イタコ見習いの皆来(みならい)・アタイ(白石加代子)のもとに
降霊を求めてやって来た
小さな箱を抱えた男・mono(高橋一生)と
彼より年配の男・楽(たの/橋爪功)がやって来る
ダブルブッキングで鉢合わせしたこのふたりが
イタコのアタイを押しのけて
何者かに憑依したように
不思議な対話を始める
それは
リア王/オセロ/マクベス/ハムレット
シェイクスピア
四大悲劇の台詞であり
その言葉に呼ばれるように
ウィリアム・シェイクスピア(野田秀樹)も現れて…


Image/ぴあエンタメ情報

半人前のアタイを叱り飛ばす
先輩イタコ・オタコ姐さん(村岡希美)
神の使いと称して現れた
アブラハム(川平慈英)と
三日坊主(伊原剛志)
アタイの母親だと言う
伝説のイタコ(前田敦子)と
monoの弁護人と豪語する
星の王子様(前田敦子)も登場し
野田ワールドが展開

「フェイクスピア」とは
まさしく
「 偽物」の「フェイク」と「シェイクスピア」が
混ざった造語
そこに
恐山のイタコテイストが加わる


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イタコの発する「言の葉」は
亡き人の言葉なのか
はたまた
偽りの言葉なのか
それはつまり
今を生きる
我々が
自らの口から発する言葉と
SNSを通して発信する言葉の
真実と虚構に対する
危機感と申しますか
警鐘を題材にした作品?
と推測するも…


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冒頭
深い森の中
唐突に木々がなぎ倒されていく
人知れず
なぎ倒れていく木々
のそばに
何故か
をもった一人の男(momo/高橋一生)いる

場面は恐山へ
現(うつつ)であっても異界
それが恐山
人と死者が共存する異界
神々の領域
そこは
時間軸が歪んでいて…
観客は
一気に異世界(異空間)に
ぶん投げられます


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降霊を求めてやって来た
monoと楽(橋爪功)がブルブッキング
赤の他人と思われた二人
親子?
パパがmomo
息子が楽

何々?????

なんで
父親の方が若い?
なんで今
老いた息子の前に現れた!?

残された時間は少ないい
momoは
楽に渡すべく(伝えるべく)
白い鳥(前田敦子)が
天空から投げ捨てた箱を探すべく
過去へ
8月12日
と向かう


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ちりばめられていた
ヒントが
8月12日
で繋がった瞬間

も~
全身ゾゾゾ
鳥肌ですよ

想像以上の
想像を遥かに超える展開に
打ちのめされました

野田秀樹氏は
やっぱり
凄い劇作家であり
演出家でした

野田氏は
言葉(台詞)を
魔術師のように操ります
軽やかです
スピード感
躍動感があり
はじめは
楽しいんです
でも
途中から
ん? あれ??
さりげなく発せられる
言葉の重要さ重さを
実感させられるのです

今回も
ガツンと
やられてしまいました


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メインキャストの皆さん
素晴らしかった
白石加代子さんは
以前から
何作品か
舞台拝見しているので
言わずもがなですが

中でも
橋爪功さん
素晴らしかった
もう
圧巻
圧倒された
秀逸です

やっぱり
舞台は
劇場で観劇するに限る!

今だから
こんな時だからこそ
下を向くことなく
前を向いて
歩いていきたい
そう思える作品です

NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』
<東京公演> 2021年5月24日(月)〜7月11日(日)東京芸術劇場プレイハウス
<大阪公演> 2021年7月15日(木)~7月25日(日)新歌舞伎座