てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

准教授・高槻彰良の推察 1話(その3)

2021年10月10日 | 准教授・高槻彰良の推察(ドラマ)

第四小学校の教室

高槻彰良(青和大学文学部の准教授)伊野尾 慧
深町尚哉(青和大学文学部の新入生)神宮寺 勇太
生方瑠衣子(高槻の研究室に所属する大学院生) - 岡田結実
の3人が、担任の
平原まりか(第四小学校5年2組の担任) - 志田未来 に話しをしている。

高槻:この学校ではコックリさんは禁止されているそうですね。なのに禁を破ってまで3人が行ったコックリさんへの質問はあまりにも優等生的でした。だから聞いたんです。「他に何か質問したのって。」

神倉里帆(第四小学校5年2組の児童) - 米村莉子 は、教室で高槻に教えなかったが
公園で話をした 
石井あかり(第四小学校5年2組の児童) - 船附純白 と 光村杏奈(第四小学校5年2組の児童) - 木村夏蓮 は高槻に内容を話してくれた。教室に貼りだしてある絵の中の1枚「千原康太」は、サッカーの絵が描かれておりサッカーが好きであろうこと。石井はサッカーをしないのに、願いが叶うという話の時にサッカーが上手くなれるかどうかを気にしていた、よって千原康太が好きこと、そして光村はカットバンの内側に「両想いになるおまじない」で好きな子の名前を書いていた、相手は「辻昭雄くん」と、彼の名前の書かれた絵を指さした。そしてこのクラスには「中村翔くん」という男子がおり、神倉が好きなのはこの子ではないかと、平原に話す。平原は、「そうかも知れません。でも、それがなにか。」と答えた。

高槻:皆このクラスに自分たちを好きな人はいますか?と聞いたそうです。皆自分の好きな人を指して欲しいと潜在意識で強く願う。辻くん、千原くん、中村くん。そのことが予期意向となって、無意識にコインを動かしたんです。(「つ」と「ち」と「な」を探して十円玉が動き出す描写)その3文字が3人の脳裏に一つの名前を浮かび上がらせた。意識すればするほどコインは動くんですよ「ち」「な」「つ」とね。これがコックリさんが「ちなつ」と指した理由ですよ。
ロッカーが開いたのは偶然ですよ、古くて扉が曲がってますからね。(曲がった扉を開け閉めして見せる)
子供たちに潜在意識という解説は難しいですから、コックリさんはお祓いをしていなくなったと話せば安心しますよ。

生方は立ち上がり、自分はお祓いのバイトもしているので、お祓いについては任せてくださいと平原に告げる。

平原:ありがとうございます これで気が楽になりました。
頭を下げ、そう礼を述べた。
しかし、その声は歪んで尚哉の耳に届く。(顔を背ける尚哉を高槻が見ている)

高槻:コックリさんをやるように仕向けたのは、貴女ですよね。
平原:私、私はやり方を知りません。
声の歪みに哉は、俺もう無理とばかりに席から離れていく。高槻は尚哉が苦しむ様子を察したかのように、少し責め口調で平原を問いただす。

高槻:コックリさんに使った紙、燃やしたんですよね。コックリさんに使用した紙はすぐに燃やす。これはコックリさんの作法です。貴女は相当詳しい筈だ。貴女はあの3人にコックリさんのやり方を教え、最後の質問を指定しコックリさんが「ちなつちゃん」の名前を告げるように仕向けた。でも何のためにそんなことをしたんだろうと考えたとき、思い出したんです。貴女はちなつちゃんが転校したと言ったときこう言った「私のクラスの児童になんてことを」あなたにとってちなつちゃんは、まだこのクラスの児童なんですね。
そして、この教室に貼ってある絵は26枚。これは5年2組全員の絵ですね。

平原:はい。

高槻:でもこの教室に机は27ある。(尚哉は机を見渡す)

平原:ちなつちゃんの席です。いつでも戻って来られるようにと思って、なのに。
放課後、3人の女子が帰りの挨拶を平原にしたとき、彼女はちなつの転校を教えたそうだが3人はちなつのことを全く覚えておらず「そんな子はいない」と答えたことがあった。
尚哉は、友達想いのいい子で一体感があったんですと答えた平原の声が歪んでいたことを思い出す。

平原は、「こんなの理想のクラスじゃない。私頑張ってるのに何が足りないんだろう。誰か仲間外れになっている子はいないか、勉強が楽しくない子がいないか」と、目を配っているつもりなのに、どこまでやっても足りない。そう言って取り乱し始めた。大事なクラスメイトを忘れるなんて、きっと私が楽しい思い出を作ってあげられなかったのかな。自分以外の人が担任なら、こんなことは起きなかったのかも もう私が担任じゃ、皆が可哀想 手あたり次第の悩みをぶちまける。

高槻は平原の手を取り、ちなつが転校先でちゃんと過ごせていることを知らせる。生方も平原に「ちなつちゃんは、このクラスが楽しかったと言っている」と、その様子を伝えた。しかし、神倉たちがそうでもなかったことを気に病むと、高槻はこう言って平原を諭した。

高槻:あなたの言う理想のクラスは、大人の価値観の理想じゃないですか?忘れることも子供にとっては成長の証です。子供の毎日は初めてで溢れてるんだから。

平原は落ち着き 気が楽になりました。 と言い、その声はもう歪んではいなかった。高槻にハンカチを差し出されたとき、教室のロッカーは安心したかのように、音を立ててそのドアを開けたのだった。

高槻の研究室にて

「頭をおさげください。」
鈴の音を鳴らした生方が巫女の装いで、うやうやしく高槻と尚哉の二人を祓う。
これから、5年2組のお祓いに出かけるようだ。
生方が出ていくと、高槻が尚哉に飲み物をすすめる。

何飲みたい?選択肢はココアかコーヒーか紅茶かほうじ茶。紅茶とほうじ茶はティーパック仕様、因みにココアは初めてココアパウダーを作った国、オランダ産だよ。

コーヒーをお願いします。

おススメだよっ!

甘いもの苦手なんで。

大仏柄のマグカップにコーヒーが注がれ、尚哉の前に出される。(尚哉:え、大仏。大仏なの?の顔)そして、自分のカップにこれでもかとマシュマロを入れたココアを用意する高槻にも驚く。

(唇にのこったマシュマロの泡を指で拭き取る仕草をしながら)このレポートの件だけど、不思議なお祭りに迷い込んだ少年は、そこで何か食べたんじゃないかな。(目の前に尚哉が書いたレポートを置く)

どうしてそう思うんですか?

(ボードの前に歩き出し)どこかに行ってその場所のモノを食べる行為には、その共同体に属するという意味があるんだよ。古事記に出てくる黄泉戸喫(よもつへぐい)がまさにそれだ。(ボードに文字を書く)イザナミは死者の国のモノを食べたから、その国の者となってしまった。少年が嘘が判るようになったことも、異界のものを食べることによって向こうの世界に半分足を踏み入れてしまったからだと思う。嘘が判るようになった少年は、辛い思いをしたと思うな。(尚哉の形相が変わる)

大人たちは自分の持っていない能力を持った年下の人間を嫌うから。
やっぱりこれは、君自身が経験したことなんだね。

ここには「少年は他人の嘘が判るようになってしまったそうです。」と書かれている。「なったそうです。」ではなくて。
これは、少年が嘘が判るようになったことが否定的に捉えられていると

君が知っている証拠だ。

深町君は時々顔をしかめるよね。
もしかしたら君には、嘘がなにか他の人とは違う音で聞こえてるんじゃないかな。

嘘を聞くと、声が歪むんです。

それは、お祭りに行った後からなんだね。

正確に言うと、「祭りで飴を食べてから」です。

青い提灯の祭りで(尚哉の回想)

祖父- 吉満寛人 に社殿へ連れて来られた子供の頃の尚哉-嶺岸煌桜
台の上には、尚哉から見て右から「りんご飴」「あんず飴」「べっ甲飴」が並んでいる。
祖父はひとつを選べと言う。
尚哉:飴?これを食べるだけでいいの?
祖父:注意して選べよ、りんご飴を選べばお前は歩けなくなる。あんず飴を選べばお前は言葉を失う。べっ甲飴を選べばお前は孤独になる。

*********************

歩けない大変さや、言葉を失う辛さは想像できたけど、子供だったから孤独になるって意味がよくわからなかったんです。だから選んだ。嘘が判るようになってからも、初めはなぜそれが孤独と繋がるのか分かりませんでした。でもそのうち気が付いたんです。嘘を見抜いてしまう人間なんて、誰もそばにいて欲しいと思わない。友達も・・・親もです。

なるほど。

ということなんで、失礼します。

背を向けて部屋を出て行こうとする尚哉に、高槻は言葉を投げかける。

君はもうここの人間だよ。
ここのコーヒー、飲んだだろ?

尚哉が振り返る。

だからもし、話し相手が欲しいときはここに来ればいい。
僕は君の前で嘘は言わないから。
(尚哉に歩み寄る)
何より・・・

 

素晴らしいよっ!
(抱きつかれる尚哉:へ?俺今告白しましたよね?孤独って言いましたよね、聞こえませんでした?コ・ド・クって。

 

僕は怪異を経験した人間と初めて出会った。

君との出会い事件だよっ!

 

いや、今、事件に会ってるのはですけどっ!(汗)

 

強く抱きしめられ、高槻に放してくれるようなんとか敬語で伝える尚哉。

ゴメン、痛かった?

いっやっ、痛くはぁないですけど。こういうのどういうリアクションしていいかワカラナクテ。

ゴメン。

お、俺この後授業あるんで失礼しますっ!

逃げ出すように研究室を後にする尚哉。
ベンチに座り、気を取り直してイヤホンをつけかけてやめる。ずっと聞きたかった風や木々の揺れる音が聞こえた。
(尚哉の声で)
先生と出会った意味は、当時はまだよくわかってなくて、この大学に来て良かったかもな。と思った程度だった。
あの時はまだ、先生にも大きな秘密があると知らなかったから・・・。

研究室で

一人尚哉のレポートを見つめる高槻。

やっと見つけた。

そう言って、感慨深げに目を閉じる。
再び瞼が開いたとき、その両目は青く光っているのだった。

***********************

第1話(その3)終了です。 およそ、12000文字のテキスト乙


お疲れ様っす。
その3の描写を細かく記載するために、1話を敢えて3分割させていただきました。
簡単に「女王の教室」のアンチテーゼで終わらせないのが憎いですね。
そして、神社~神話のくだりはあの時とっても必要になります。
水煮がどうなったかはミステリーですが。
お寺ではなく神社で起きたことですから、神話へ話が流れるのは当然っちゃ当然ですな。

 

コメント
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