学校のかたち，社会のかたち

　千葉県船橋市に蜂の巣教室の学校があるというので見学させていただいた。蜂の巣教室とは、平面が六角形の教室のこと。六角形教室が集まって、真中に共有のスペース（階段含む）を持つ。それが東西に１ユニットづつ、３階建てなら６学年が入ってしまう。廊下（動線）が短くて合理的と考えられた実験校舎が、1960年代に全国で５校程建てられたと聞く。船橋市の法典東小学校は今も残る貴重な一校だった。（U研究室設計の呉羽中学校のY字型校舎も、同じ60年代で考え方はよく似ている）
　室内も外観もとても楽しく、遊び心を刺激する。共有スペースからは各教室が一度に見渡せる。共有スペースの階段からの上下階への見通しもいい。教室内は角がなく包まれた印象を受ける。教室のバルコニーが全部つながっていてぐるぐる回れる。反面、南面していない部屋は寒い。風が抜けにくい。既製品が合わない。などごもっともな欠点ももちろんある。合理主義、機能主義とよく言うが、合理機能の解釈は本来こうした幅広いものであって良かったと思う。
　しかし蜂の巣教室は受け入れられず、このユニークな試みを最後に、片廊下一文字校舎、そして高度経済成長へと日本は突き進むこととなった。

［かめ設計室］HP