龍安寺の興ざめ

　仕事で京都を訪ねた折りに、龍安寺に立ち寄りました。有名な石庭で世界各国から訪れている観光客が思い思いの瞑想に耽っています。白砂は日射を反射して眩しいほどです。それを眺める人々は、世界に投影される光をどのように観象するのでしょうか？

　突然、掃除機の轟音が響いて来ました。静謐に瞑想する参拝客の思索を分断する騒音です。見ると方丈の畳を掃除機で丁寧に掃除しています。拝観をする人々がいる日中にする必要があるのでしょうか？これでは、龍安寺の名声が地に堕ちてしまいます。何という気が効かない行為でしょうか！

　柱には、静寂を保つために説明のテープは必要なときしか流さないと注意書きがしてありました。カメラのシャッター音も掃除機の轟音にマスキングされて気になりません。どういう神経をしているのでしょうか？拝観料さえもらえれば、あとはどうでもいいのでしょうか？