海住恒幸の松阪市議会通信 

議員活動を通して、自治体議会や自治体のあり方を考えるブログ

議会通信32号(巻頭記事その1)

2007年07月24日 09時27分52秒 | Weblog
将来への責任とれますか?

 新しい松阪市になって最初の市議選が2005年(平成17年)7月24日に行われてから、2年がたち、議員活動も折り返し点を迎えました。特に、この1年は、昨年9月の松阪市民病院増築工事(ホスピス棟)の随意契約、今年3月の松阪駅西地区再開発事業予算案と大きな問題が続き、無我夢中のうちに時がたってしまったような気がします。
 市民の関心もきわめて高い問題に対し、一議員としてどう取り組んでいくか、その姿勢や力量が問われますので、旧松阪市議会時代の約2年間を合わせた4年の中でももっとも覚悟が試される日々となりました。
 すなわち、議会という機関上の行為としては、審議し議決すればそれで役割を終えたということになりますが、ホスピスの随契問題と駅西再開発事業は「(議会上の)終わり」が問題の新たな展開の「始まり」だったのです。
 ホスピスの随意契約は19億円という高額な契約であるにもかかわらず、競争入札をしなかったことで、大勢の市民からも疑問の声が上がりました。わたしが思ったことは、地方自治法に照らしてこの契約は違法の疑いがあるということです。賛成討論したある議員は「この契約は法的に問題がないことから賛成である」と述べました。この発言にはがっかりすると同時に腹立たしく思いました。その議員は、「法的には問題がない」かどうか、どこまで検証したというのだろう。「法的には問題がない」という市の説明を信じただけではなかったのか。
 議会には適法か違法かを検証する権能は持ち合わせていません。わたしには、あの議員がなぜ、「法的に問題がない」と断定することができるのか。できるはずがないのに「問題がない」と断定したことが、このままでは終わらせたくないという決意へ駆り立てたたせてくれました。
 議会でこの問題に対するわたしのスタンスは、「違法性の疑いがある」というものでした。違法かどうかに決着を付けるために、新たな闘いを始めています。いま、わたし自身が原告、公職としての市長が被告とした住民訴訟です。審理は津地裁で進められています。

index p3 9月定例会 市民病院・公共下水道などの決算
   p4~8  ホスピス問題、その後


議会通信32(巻頭記事その2)

2007年07月24日 09時26分12秒 | Weblog
駅西再開発
事を急げば、「30年先、50年先までの後悔」が待ち受けている。

 松阪駅西地区再開発事業は、わたしの議会通信の30号、31号で特集しましたが、3月議会の時点では絶対に見直すことはできないというスタンスだった市が、議会、市民ばかりか、専門家からも厳しい指摘を受けるに至って、ようやく、見直しのための検討を始め、都市計画決定を遅らせています。
 この問題は、議会という場ではこの事業の最初の予算がついてしまいましたが、まだ押し切られたわけではありません。議会の議決という行為は終わっても、市民や専門家を交え、望ましくないプランは退け、正しい提案こそ採用されるよう、みちを開いていかなければならないと思っています。
 これまで専門家を含め、多くの人々と話し合った感触では、現在のプランに心から賛成している人はいないということです。心ならず賛成している人の方が多いのではないでしょうか。圧倒的に多数の人は建物の配置という基本から見直すべきであると思っていると、わたしは考えます。いまこのまま、事業が進めば、30年先、50年先までの後悔が待ち受けていると予想されます。将来に対する責任のためにも、計画の決定を急ぐことなく、本当の市民参加の手法を練り上げ、2,3年じっくり検討した方が良いと思います。
 今年2月から3月にかけ、市は、いま進めなければ、24階建てのマンションが来てくれないと言って結論を促してきましたが、なんと拙速な態度だったことでしょうか。マンションは万能ではありません。逆に高層マンションの建物が今後50年間存在し続けることが、マイナスになることもあり得ます。将来への責任と、地権者の都合とどちらが優先されるべきか、じっくり考えましょう。

議会通信32号(巻頭記事その3)

2007年07月24日 09時24分35秒 | Weblog
ことを焦って後悔しても、いまの政策決定者には将来、責任を負うことができません。自ら責任の負える範囲内の決定なら少々拙速でもやむを得ません。しかし、今回の計画は、だれも責任を負うことのできない将来への意思決定なのです。例えば、ベルファームのイングリッシュガーデンは、4〜5億円かかり、わたしは「松阪に造らなければならない必然性がない」として反対しましたが、この場合はお金の無駄遣いという失敗は残るものの、将来の松阪に影響を及ぼし続けるほど回復不能な失敗ではありません。しかし、駅前再開発の中でも、とりわけ、24階建て、78メートルの高層マンションは、いったん建築されれば、おそらく50年先まで、松阪駅前の風景を支配するものとなるでしょう。30年先、50年先に住む人がいなくなったり、空き家の目立つ建物になったとしたらーー。そのころ、そこに住む人の負担でメインテナンス(維持管理)していくことは可能でしょうか。もし、メインテナンスしていけなくなったらどのような状態になることが予想されるでしょうか。
 やはり、等身大で責任の負うことのできるサイズのまちづくりをじっくりと醸成していくべきで、エイヤッーとばかりに、プロセス(市民への説明や意見交換、修正、同意)抜きで大急ぎで決めてしまうのはあまりにも危険です。
 将来に対する罪を犯すことになりかねません。