わたしは六百山

サイゴンでの365日を書き直す 

『ねー』 と 『ねー』 ベトナム便り 117

2006年10月08日 | 日本語教師
こちらV-603.
「かわむら」さん。コメント(お便り?)ありがとうございます。
こちらでも、あるクラスはシェラトンホテル(の横の小さな居酒屋)で、送別会をするぞ、といってくれています。
ほんとうは、わたしの教え子をみんな集めて、お互いに交流させたいのですが、時間や会場の都合などいろいろあって、なかなかうまくいきません。

さて、
投宿しているホテルを手伝っているPさんの話によると、このごろ日本人の観光客がとても少ないということです。
私が街を歩いて見る限りでは、日本人だけでなく、デタム界隈の安宿街は全般に観光客が少なくて、どのホテルもVACANCYの看板を掲げていますし、レストランも閑散としています。
それなのに、旅行会社の話では、10月は日本からの客が多くて、飛行機のキャンセル待ちはなかなか困難だといいます。11月にAPECがあって、それを避けて10月にベトナムへの観光客が集中しているといいます。
この不整合は、サイゴンの高級ホテルからの企業への案内書を見ると解決します。
「11月はAPEC が開かれるため客室が足りなくなることが予想されます。予約はお早めに。なおこの期間、料金を10%値上げさせていただきます」

つまり、日本からの客が来ても、その人たちはここデタム界隈に泊まるような客層ではない、ということでしょう。
でも、APECはたしかハノイで開かれるはずでしたが・・・?

ところで、
私のあるクラスにNさんという大学生が入ってきました。
大学で日本語を勉強しているということです。
ですから、そこそこ話せるのですが、『ない形』を言うとき、「ねい」と発音するのです。
私が「ない」と直しても「ねい、ねい」と言います。
クラスの他の学生たちはちゃんと「ない」と言っていますから、ベトナム人が「ない」と言えないというわけではないのです。
私はふと、あることに気づきました。そこで、Nさんに「ない」と言って、リピートさせました。
N:ねい
私:先生はナイ、Nさんはネイ。じゃ、Nさん、なー。
N:ねー
私:なー  N:ねー
私:ねー  N:ねー
ここで、クラスの他の学生に聞きました。
「Nさんの『な』と『ね』は、ちがっていますか」
みんながこたえました。
「ちがっています」
そうです、Nさんは日本人にはわかりませんが、ちゃんと『な』と『ね』を違えて発音していたのです。
ベトナム人にはそれが明瞭に聞き取れるため、いままでだれにも注意されてこなかったのです。
日本人と話すときにはこれでは困りますから、はっきりと『あ』を発声するように直しました。
でも、微妙な発音の違いを聞き分ける耳を持った彼らがちょっとうらやましくなりました。



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