わたしは六百山

サイゴンでの365日を書き直す 

マドレーヌ ベトナム便り 60

2006年05月03日 | できごと
こちらv-603.
メコンデルタ2泊3日のツアーから帰ってきました。ベトナムのツアーには、体力が必要だとつくづく思います。移動はバスや船ですが、この暑い太陽光線をバスの窓から、あるいは船の場合は直接浴びなくてはなりません。
さて、こんなことがありました。
少数民族チャム族のへ行ったときのことです。
5~6歳の女の子が 観光客相手にマドレーヌを、それを右手のひらの丸い小さなお盆にのせて、売っていました。
最初7個あったのが、女の子のいたいけなさもあって、残りが3個になりました。
時間が来て、ガイドが次の見学場所(イスラムのモスク)へ客を促しました。
何人かがガイドの後について行き、私も移動し始めました。
と、私の前の、オーストラリアから家族で来ている一家の主婦に、女の子が、マドレーヌを買ってくれと近づいてきて、いらないというその主婦の後について歩き始めました。
10mほど歩くと、そこに木製の階段がありました。そこをのぼって広い道路に出るのです。
主婦がまず登り始めました。そのあとに執拗に女の子がついていきます。
女の子が階段に足をかけた、そのとき、主婦の上げた足が、マドレーヌをのせたお盆にかかりました。
女の子が接近しすぎていたのです。
お盆は、からから と音たてて地面に落ち、マドレーヌも泥の地面に転がりました。
何が起きたのかと、主婦は後ろをふりむきましたが、あらっ という顔をして階段をのぼって行きました。
女の子は、べそをかきそうな顔になりました。
私は、モッ・ハイ・バー(いち・に・さん)とかぞえながら、ちょっと泥のついたマドレーヌを拾い集めました。
しかし、女の子はうらめしそうに、主婦の背中を見つめています。
お盆の上にマドレーヌをのせて、さあ、これをまた売ったらいいじゃないの と私は女の子に渡しました。
女の子はまだ泣きそうな顔をしています。
その時、私の後ろから、おかねをのせた手が出てきました。
振り向くと、ブラジル人の女性でした。
彼女の手には20,000ドン札がのっています。
マドレーヌは一個2000ドンです。
私は彼女に、どうしてこんなに? と目で聞きました。
すると彼女は、あとはチップだから と言うのでした。
女の子は渡された高額紙幣(彼女にとっての)に驚きました。
そして、なにが起きたのかわからないというようすで、マドレーヌをのせたお盆を両手でかかえながら、階段から離れました。

私は、女の子が突然手にしたこの20,000ドンを母親に渡したときの、母親の顔を思い浮かべました。
このブラジル人の女性は、サンパウロで語学教室を経営しているということで、とても積極的な性格にみえました。今は一年間の休暇をとって、旅行中だと話してくれました。
オーストラリア人の主婦は、3人の子供のお母さんで、ご主人は53歳、末の娘が15歳になって連れて出られるようになったので、旅行に出てきたと言っていました。もの静かな、ほほえみをたやさない女性でした。

あなたは この20,000ドンについて、どう思いますか?


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1 コメント

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マドレーヌ (viet)
2006-05-27 20:24:49
あのマドレーヌというかスポンジケーキというか、そんなにまずくはないのです。うまく均一に膨らんでいるので感心しました。私は一個とって5000D渡したら、その子はもう一個渡そうとしました。あの小さな女の子ですがそんなにしつこくはないけど、車が走ってる通りまで、ずっとあとを追ってきますね。お金をあげるのが良いか、2万ドンが適切かは、やはりひとそれぞれでちがってくるでしょうね。私がその場にいたらどうするかと問われたら、う~ん、あの瞳、悲しそうな顔を見たら、1万ドンあげたかも。でも落ちたマドレーヌはもらって、ツアーの外人さんと分けて食べちゃう。
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